「中丸忠雄全仕事」のトップページへ

「サイトマップ」へ


生声(3)


筆者が1996年〜1998年ごろまでに聞いた話をダイジェストでまとめてみました。酒が入っている場合がほとんどなので多少、記憶がずっこけている場合があるかもしれませんし、なんとなく場のイキオイとしか思えない発言も入り混じっております。ご了承願います。


「生声」のインデックスへ

一つ戻る

 

つづきを読む

「37階の男」は宝田明さんにやってほしかったらしい

◇◇ 『37階の男』について。私は小学校上がる前でしたけど見てました。

中丸 「あれは子供が見るもんじゃないな。いつも美女をはべらかせてな。女房がパーティーで外国人に『あんな役をやる俳優が日本人にいるなんておどろいたわ、奥さんの顔が見たいわね』って言われて『それ、私よ』って答えたって言うんだ。」

◇◇ 松浦健郎さんですね、原作が。ちょっと宝田明さん向きかな?って思うんですけど。

中丸 「そうだろ?最初は断わったんだよ、宝田のほうが向いてるって。こんなイヤラしい役は嫌だってね。でも松浦さんが『宝田明ではなく中丸忠雄に』って言ってるって。それで出たら、評判良かった。」

このページのてっぺんへ


現場のムードは悪かったらしい

◇◇ じゃ、好きな作品なんですか?『37階の男』

中丸 「なんだかね今見ると、青臭くてね、恥ずかしい。人気あったんだけどね。もっと続くはずだった。途中で会社から『高城(高城丈二さん)を主役にしたい。』って言われたんだ。」

◇◇ 制作途中でそれはないなあ。やる気なくしたでしょ。

中丸 「それで、分かりました、僕は降ります。ついでに東宝も辞めます、って言ったんだ。」

◇◇ それじゃあ会社(東宝)もびっくりしたでしょうね。

中丸 「うん。佐藤允や岡本喜八さんに、え?辞めちゃうの?なんで?って随分、言われた。」

◇◇ もう、他社から引き合いが来てたんですか?直後に東映、日活の映画にジャンジャン出ますよね。

中丸 「いや。でも使いたかったみたいだね、よそも。僕をテレビに使いたかったらしい。」

◇◇ 当時は東宝ってあまり専属俳優をテレビに出しませんでしたね。でも中丸さんが辞めてちょっとして、東宝は専属制を止めて、俳優部全員を解雇するんですから、先見の明あり、かもしれません。

中丸 「もう将来性がないな、と思ったのかもしれないな。」

【追記】

「37階の男」でもう一人の主役、高城丈二さんがかなりツッパッていたのは本当です。遅刻はするわ、相手役を「アイツ」呼ばわりするわでレギュラー番組とは思えないくらいの雰囲気の悪さだったそうで、他の出演者からも不評だったとか。ですが、後年、大病をされた後はすっかり性格が変わってやさしくなったそうです。「人間改むるに恥じず」ってことで(意味不明)。

このページのてっぺんへ


子供向けの特撮ドラマは苦手らしい

◇◇ 子供向けのテレビもありましたね、『大鉄人17』とか。

中丸 「ああ、あった。」

◇◇ あれはどういう経緯で出演したんですか?

中丸 「さあねえ。とにかく誰だれと一緒じゃないと中丸は貸しません、っていうところだったから。」

◇◇ 事務所が?パッケージじゃないと駄目だと。で、相馬剛三さんとか、原口剛さんが一緒に出てたのもその辺の理由ですかね。

中丸 「嫌なんだよそういうの。辞めたけどな。」

◇◇ あと『超電子バイオマン』てのもありましたけど。

中丸 「あれは監督に頼まれた。堀長文だよ。」

◇◇ 『キイハンター』では助監督、『Gメン』の監督やってたんですよね、堀さんは。

このページのてっぺんへ


悪役は40歳まで、だったらしい

◇◇ 『水戸黄門』とかの定番時代劇は?出ませんね最近は。勧善懲悪で安心度120パーセントの番組なんですけど、中丸さんだけは出てきた瞬間に善玉なのか悪玉なのかちょっとわからない。あの番組で善悪を交互にやってたのは中丸さんくらいなもんですからね。

中丸 「悪役で満足できたのは四十代までだね。もう迫力ないんだよ。単純な話だからねえ、たくさん出たからいいよ。」

【追記】

東野英治郎さんと西村晃さんは東宝時代の先輩格なので、お二人が水戸黄門に出ていたときはしょっちゅう出てましたが、佐野浅夫さん以降は出演していません。中丸さん、飽きっぽいからなあ。

このページのてっぺんへ


セットに襲われたらしい

◇◇ 最近、暗転の最中にセットが壊れて額を割ったとか。役者の顔に傷つけるスタッフなんて極刑ですよ実際。顔に傷があっていいのは旗本退屈男と安藤昇さんだけですからね。」

中丸 「長いことやってるけど、怪我したことは一度もなかった。血がバーっと出てね。客は不思議だったろうね暗転が長かったから。あわてて衣装を替えて出たけどね。今はみんなアルバイトだからねえ。」

◇◇ その安藤昇さんと一緒に映画に出てますよね、どんな人なんですか?

中丸 「こわいよ。」

◇◇ さすが元本職(一同、納得して爆笑)。

このページのてっぺんへ


ショーケンはある意味、凄い人らしい

◇◇ 最近のテレビドラマは?『課長サンの厄年』は新鮮ですね、ああいうファミリー向けドラマはどうです?

中丸 「スタジオドラマは慣れないね。どこから写しているか分からないし。でき上がってからああこんなところから撮ってたのかと思う。」

◇◇ 映画とは全然、違うわけですね。

中丸 「ショーケン(萩原健一さん)がカメラ探してぐーっと覗き込んだりするだろう?ああいうのはできないな。」

このページのてっぺんへ


ツマンナイ作品は出ても見ないらしい

◇◇『眠らない街・新宿鮫』は?

中丸 「2キャメラだった、今どき珍しいよ。監督(滝田洋二郎)が素晴しいね。でもズルいんだよ、もっと出番が少ないって言ってたのに現場でどんどん増やすんだ、監督が。」

◇◇観てるほうは嬉しいんですけど。時間単価が下がるという、、。

中丸 「そうなんだよ、でも良い作品だったから。」

◇◇ 『帝都大戦』は?

中丸 「観なくていいよ、僕も観てないから。」

このページのてっぺんへ


見てくれだけ、なのはツマラナイらしい

◇◇これからやりたい役はありますか?

中丸 「柄だけですんじゃうのはつまんないね。見てくれだけってのは。」

◇◇ 今、そういうのばっかりですからね。演技じゃなくタレントを見せる、みたいな。

中丸 「もうね、引退したいんだけどね。」

◇◇そりゃあ困るなあ、退屈しちゃう。今後も追っかけますからね。ぼちぼちでもやり続けてくださいね。


星亨は原作者が気に入ったらしい

◇◇『明治の群像』は久々の主演作品でしたが?

中丸「作家(江藤淳)が『鹿鳴館』に出てた僕を見て気に入ったらしくて、すぐに脚本を書いたんだ。」

◇◇『鹿鳴館』で星亨役だったんですよね、出番は少なかったんですけど。

中丸「『星亨にぴったりの俳優がいた』っていうことでね、とても気に入ってくれたらしい。」

◇◇「ビジュアルがピッタリ」だと江藤さんが思ったんだとしたらちょっとヤだなあ(笑)。

中丸「演説するところがあったんだけど、それが長い台詞なんだ。風邪ひいてたから。」

◇◇台詞が明治の言葉なんですよね。新聞のインタビューで『現代語なら前後の繋がりで自然に台詞が出てくるんですが』と答えてますが。

中丸「そう、だからNGを何回も出した。僕も立ったまま演説してるんだけど、聞いてるほうも立ちっぱなしなんだよ(笑)だからNGになるたびに『またか』ってがっかりした顔するのが分かるんだよ。それで何回目かでやっと終盤まで行ってね。聞いてる方が『あと少し、あと少しだ』ってね、顔がね(笑)。」

◇◇演説が終わって最後の拍手のシーンは、、実感こもってる、と(爆)。

中丸「みんな本当に喜んでるんだよね。こっちもね、ああ、やっと終わったってね(笑)」

一つ戻る

 

つづきを読む

「生声」のインデックスへ

2002年01月10日

【追記】とかなんとか言ってるうちに2001年に「俳優業引退」ということになりましたが、あくまでも商業ベースからの引退らしいですよ。

※本文中敬称略


このページのてっぺんへ

■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16