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生声(2)


筆者が1996年〜1998年ごろまでに聞いた話をダイジェストでまとめてみました。酒が入っている場合がほとんどなので多少、記憶がずっこけている場合があるかもしれませんし、なんとなく場のイキオイとしか思えない発言も入り混じっております。ご了承願います。


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最初の舞台は「学芸会だ」と酷評されたらしい

◇◇ 舞台はいつごろから出始めたんですか?

中丸 「研究所にいたころ芸術座に出た(1955年、題名「海抜三千二百米」)。中田康子の恋人役だった。」

◇◇ 永田社長(大映)のところへ行った中田康子さんですね。

中丸 「うん。」

◇◇ 評判はどうだったんですか?

中丸 「学芸会だって言われたよ。(笑)」

◇◇ いきなり映画に出てたのかと思ってましたけど、そういう演技の勉強をする研究所とかあったんですね。

中丸 「そりゃあるよ。僕たち若い頃は演出のほうと一緒にどうやったら芝居が上手くなるか集まったりしていたんだ。君は(何も考えないで芝居やってると思ってるだろうから)そんなの信じられないだろうけどな。」

◇◇ し、信じますってば(汗)。

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過去は振りかえらないらしい

中丸 「僕はいままで出た台本なんかは全部捨ててるからね。僕は過去を振り返らないんだ。」

◇◇ あ〜あ、もったいない。

中丸 「大切にとっておく人がいるけどね、僕は捨ててる。なんにも残ってないよ。」

◇◇ 『屋根の上のバイオリン弾き』(初演)もですか?

中丸 「うん。僕は過去を振り返らないんだ。ニューヨーク行って帰ってきて『ファンタスティックス』のオーディション受けて落っこちたんだよ。それを森繁さんに拾ってもらった。パーチック役でね。あのとき村のダンスのシーンだったかな?踊っていて誰かに蹴飛ばされたかな、って。そのあとも毎回。」

◇◇ なんですか?それ。

中丸 「(映画の俳優が舞台に出るのが)気に入らなかったんだろ。(劇場の)裏へ(相手を)呼び出してね、何のつもりだ、って。」

◇◇ で?

中丸 「やっちゃったよ。」

◇◇ 映画のまんまですね。

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ブタ箱に入ったことがあるらしい

◇◇ 『電送人間』の頃は?

中丸 「あの頃は家に帰らなかったな。遊んでいたし、車も持ってたから。下北沢で酔っ払ってね、一方通行を運転していて向こうから車が来て、なんだ一通なのに!と思った。」

◇◇ 逆進してきたんですね、相手が。

中丸 「いや、(逆進してたのは)僕のほう。それでぶつかった。」

◇◇ 無茶苦茶だなあ。飲酒もあったからそりゃまずいでしょう。

中丸 「警察に捕まって『おまえ映画に出てるんだろう(もっとちゃんとしろ)』って言われて、留置所に入れられた。明日は撮影があるから帰してくれって言ったら『(ふざけるな)身元保証人呼べ』。」

◇◇ 家には電話できない、で、どうしたんですか?

中丸 「撮影所の所長に電話してもらい下げてもらって、そのまま撮影した。」

◇◇ じゃあブタ箱帰りだったんですか?『電送人間』は。

中丸 「うん、そう。」

◇◇ 一番、好きだったのになあ、あの頃が。夢が壊れるなあ。

中丸 「そんなもんだよ。そんな事していても映画ではちゃんとかっこよかったろ?それが俳優なんだよ。」

◇◇ 円谷監督の印象は?

中丸 「あの頃は、もう、いいおやじさんだったな。映画は、、顔が悲惨な役だったな。よく覚えてないな。あの後、もう1本似たような話しが来たけど断わったら、友幸さんに3ヵ月ホサれた。それで土屋嘉男の所へ行ったんだよ。」

◇◇ 『ガス人間第一号』誕生秘話!(爆)

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合宿するとすぐ酒盛りになるらしい

◇◇ 『野盗 風の中を走る』はお好きな作品なんですよね?

中丸 「楽しかったからね。谷(晃)さんと。そばかすだらけで、三枚目だった。」

◇◇ 子守したり、ほとんど漫才してましたね。全編ロケですから合宿ですか?

中丸 「宿で明け方まで飲んで騒いでたからな。翌朝、ふらふらになってるから、みんな馬からバラバラ落ちた。」

◇◇ 酒飲んでばっかしですね。しょうがないなあ。映画は面白かったけど。みなさん馬に乗るんですよね。

中丸 「夏木陽介はウエスタンの鞍持ってたから。僕はブリティッシュだね。おやじが好きだったから。学生時分から乗ってた。」

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「アニー」は楽しかったらしい

◇◇ 『アニー』ではルーズベルト大統領でしたよね。ウォーバックス氏が若山富三郎さんで。

中丸 「あれはね、若山(富三郎)さんが良かった。東宝が手放したからね(今は日本テレビ)、すぐ。今は大統領はつまんない役だろ?あれは歌無かったんだよ、初めは。僕がせっかくミュージカルなんだから歌わせろって言った。」

◇◇ 『トゥモロー』歌わないんですよね、大統領は。オリジナルでは。

中丸 「今は歌ってないだろうな。」

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若山富三郎さんとは仲が良かったらしい

◇◇ 日生劇場に『アニー』の看板が出て、若山富三郎と中丸忠雄って名前が並んでたでしょ?『日生劇場でやくざ映画でもやるのか?』って思いましたね私は。『屋根〜』のあとずーっと映画とテレビでアクション多かったし、その前は若山さんと『博徒外人部隊』でしょ?もう悪そう!って印象が強くて。

中丸 「ロケで沖縄へ行ったことがあるな、あれか。あの後『社葬』で、東映だったろ?若山さんは近寄り難いんだよ、みんなはね。セットで『忠雄、ちょっと来い。』って。僕が、なあに?若山さんって言ったら『これな、飴。監督にあげてこいよ。年とるとこういうの欲しいんだよ。』って手渡すんだよ。みんな『なんで若山さんと親しいんですか?』って聞くわけ。」

◇◇ 中丸さんは東宝だったから接点があるわけない、と。

中丸 「東映の人間は怖いんだよ、若山さんが。いや僕は『アニー』の舞台で一緒だったからって言った。もう一度やろうって言ってたんだよ、若山さんが。でも、もうできないけどね。」

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「スゥイニートッド」だけはもう一度やりたいらしい

◇◇ 『スゥイニートッド』は?

中丸 「染ちゃん(市川染五郎=現・松本幸四郎)がね、あれもう一度やりたいって。ツレちゃん(鳳蘭)とね。会うたびに言うんだ。でもだめだろう、演出家が東宝と喧嘩したからね。」

◇◇ あまり『もう一度やりたい!』ってのは無いんですか?

中丸 「ないね。でも『スゥイニートッド』はやりたい。単純な話は飽きちゃうんだ。一度やった役にはあまり興味無いし、こういう人がやりたいって言ってますが、って聞かれたら、どうぞ、って言う。」

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シェークスピアは一回やったのでもういいらしい

◇◇ シェークスピアもありますね?『マクベス』『オセロ』ああいうのは?

中丸 「勉強にはなったけどね。こういうのもできるんだ、と。でも、一度でいいよ。」

◇◇ 『化粧』は意外というか、今までの常識ひっくりかえすというか。あの役は竹脇無我さんだったでしょ?直前の映画では。

中丸 「制作発表のとき、作家(渡辺淳一)から『あなたが一番イメージにぴったりだ』って言われた。初めてだった、作家にそんなこと言われたの。」

◇◇ 『映画の椎名はセンが細すぎた』って何かに書いてありましたね。結構、図太いですよね、あの役。

中丸 「ひどいんだよ、子供ができたのに(恋人を)捨てて行くだろ。でもああいう(メロドラマ)役は、初めてだったし、ああ、こういうのも僕はできるんだなあと思ったね。」

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2002年12月10日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2003-05-16