「中丸忠雄全仕事」のトップページへ

「サイトマップ」へ


TVドラマ解説「大鉄人ワンセブン」


出演したテレビドラマがどんな話で、中丸さんが何してたか?ということを書き出してみました。


「テレビドラマ解説」のインデックスへ

ブレインの生みの親は行動派。

かつて東宝では怪獣映画に出る俳優のことを「おばけ俳優」だのなんだのとバカにする風潮があったようだが、反面、こうした映画を子供に夢を与えるファンタジーでありそれに熱狂する客の存在を知り逆に誇りをもって出演していた平田昭彦(様)や土屋嘉男さんのような俳優もいたわけだが、中丸さんは違っていた。正直、たぶんそういう映画をバカにするというより、自分が何やってるのかよくわからないし(だって特撮だから)何もないところへ向かって演技するのがちょっと恥ずかしかったんだと思う。「電送人間」はカルトな人気のある作品だが、中丸さんは同じような話を断って大・田中友幸さんに激怒されたらしい。

特撮映画を「楽しんで演じる」ということは、根が真面目シャイな人にはむずかしいのである。こういうところを見透かされてしまうのが、東宝特撮映画ファンにいまひとつ高く評価されない所以である。

にもかかわらず巨大ロボット特撮番組「大鉄人ワンセブン」である。荒唐無稽な台詞をクソ真面目に喋り、ホリゾントの前で右往左往し、よくわからない(て言うか、見えない)相手に攻撃命令を出す、ブレインの生みの親・佐原博士、本名は佐原正光(関係ないけど)、というのが今回の役どころだ。

佐原博士は滅多に白衣を着ない。いつも濃紺か黒のスリーピースにネクタイである。あんなダンディーな理系はいない。東映の若手大部屋俳優さんたちはもちろん、精悍だがどこか控えめな剣持隊長役の原口剛さんよりも、よっぽど(たぶん)素手の技斗やったら強そうだし、自分が作ったコンピュータを守るためなら、敵から取上げたライフルで射撃までやらかしてしまう、どこが温室育ちで世間知らずの博士に見えようか?

敵側に囲まれたときも、いつブチキレて手を出すかとハラハラしたし、ブレイン基地で爆破に巻きこまれたときも、予想以上に火花が出た特殊効果に驚いたのか、我を忘れてはける方向を間違えた上に、平田昭彦(様)や大月ウルフさんをぶっちぎってダッシュしたそのスピードは体育会系以外の何モノでもなかった。

特撮映画や戦隊モノに出た女優さんはその後、脱いでしまうことがあるが竹井みどりさんもそうだった。しかし、佐原博士はこの番組出る前に、ゲストの女優をかたっぱしから口説いたり抱いたりしていた女ったらし(の役どころ)だったのであるから、本作品では珍しくマトモな家庭人(ついつい赤字で強調してしまうほど稀有に)だった佐原博士であるが、娘役の竹井みどりさんと並んでいるその姿はどうみても「実業家とその愛人」にしか見えず、子供と一緒に見ていた、佐原博士の過去を知っているお母さんやお父さんはちょっと困ったのではないか?

©東映

「テレビドラマ解説」のインデックスへ

2002年12月12日

【追記】

※本文中敬称略


このページのてっぺんへ

■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2004-12-21