「日本映画の感想文」のトップページへ

「サイトマップ」へ


B・G物語 易入門


■公開:1962年

■制作:大映

■企画:川崎治雄

■監督:富本壮吉

■原作:黄小娥

■脚本:桜井康裕、笠原良三

■撮影:村井博

■音楽:宇野誠一郎

■美術:井上章

■照明:田熊源太郎

■録音:三枝康徐

■編集:山口巌

■主演:万里昌代

■寸評:

ネタバレあります。


B・Gってビジネスガールの略ですが、アメリカ人によると「商売女、街娼」みたいな意味になるらしいので、近年O・Lになったわけですね。

さて、昭和30年代、まだ日本が少子化なんて予想だにしていない時代です。女性は結婚して子供を産んで幸せな家庭を築くことが常識とされていたので、就職の目的が結婚相手のハンティングってのも、ある程度は必要悪として許容されていたということですね。

さて、ここに、仲良しのB・G四人組・万里昌代渋沢詩子宮川和子加茂良子がおりました。彼女たちのそれぞれの恋愛物語がほぼオムニバスで展開します。

冒頭、本作品の原作を執筆した黄小娥と俳優の田宮二郎が易とは?について解説するミニコーナー付。

数多くのボーイフレンドを掛け持ちしていた渋沢詩子はデートがトリプルブッキング、一応決まったボーイフレンド・大瀬康一がいる宮川和子、株に興味津々の加茂良子はアパートの向かいに住んでいる自称サラリーマン・杉田康に値上がりする銘柄を教えてもらって小銭を稼ぎます。

三人は恋愛に対してガッつきますが、万里昌代だけはそうでもありません。万里昌代は渋沢詩子に頼まれて占った結果がズバズバ的中してしまったので3人からことあるごとに易を頼まれるのでした。会社の人事異動について課長・中条静夫からも易を頼まれ、これまた的中します。

渋沢詩子はさえない幼馴染・三角八郎から「オリオンズの山内」を紹介されますが当然、あの、山内一弘ではなく、オリオンという店を経営しているだけのどんくさい男でした。しかも、ご丁寧に本物の山内一弘と同じ名古屋出身のようです。ガッカリな渋谷詩子でした。

宮川和子はボーイフレンドのさえない将来設計に失望し、いきなり飛び込んできた見合い相手が優秀な建築技師だったのでドキドキしてはみたのですが、実は相手にはすでに決まった彼女がいるらしいのです。ガッカリな宮川和子でした。

株で一儲けできそうだしわりとハンサムな杉田康でしたが、コイツは実は結婚詐欺師らしいのです。別の女が乗り込んできたので、ガッカリな加茂良子です。

しかし、天は彼女たちを見捨てませんでした。

満を持して登場した新任課長の田宮二郎、実家は資産家、出世街道まっしぐら、長身でハンサムで物腰もスマート、仕事のときは厳しくもあり優しい上司でもあるという、天然記念物のようなスーパーサラリーマンだったのです。燃える三人娘、プレゼント攻撃は見事にスカされますが、万里昌代の占いは全員良いので期待継続。

ハンサムが風邪をひいたとなれば、さっそく、お見舞いに押し掛けるのでした。

思い出しましょう、四人娘のうち万里昌代だけは、易には熱心でしたが、男関係にはあまりガッついていなかったことを。そうです、彼女にはすでに決まった相手がいたのでした。

てなわけで、万里昌代は田宮二郎に売約済、じゃなかった二人は婚約していたという壮絶な逆転満塁ホームラン。

そうか、そうだったのか、三人が最後に受け取った易の結果は万里昌代の総取りだったってことらしいっす。

ここが新東宝なら三人娘は万里昌代を城ケ島に誘い出し崖の上から突き落として殺してしまい、万里昌代のおばあちゃん(五月藤江)の手で吸血魔に変身させられるところですが、新東宝はすでに倒産していたので万里昌代はそのまま田宮二郎と無事にゴールインできそうです、良かったね!

流行りモノをうまく利用して1本撮っちゃったって感じのお手軽企画、こういうバカバカしいけど罪のない映画に真面目に付き合う田宮二郎の臆面のなさもまた魅力であります。

2012年08月05日

【追記】

※本文中敬称略


このページのてっぺんへ

■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2012-08-05