裸の町 |
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■公開:1957年 ■制作:東宝 ■制作:滝村和男、佐藤一郎 ■監督:久松静児 ■原作:真船豊 ■脚本:八住利雄 ■撮影:玉井正夫 ■音楽:池野成 ■美術:小島基司 ■照明:今泉千仭 ■録音:西尾昇 ■編集: ■主演:池部良 ■寸評: ネタバレあります。 |
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裸の町、それは金に目がくらんだ亡者によって身ぐるみはがされる町ということでしょうか?それとも、裸で商売する町ということでしょうか?なにせ映画の主な舞台は新宿です。 演奏家としてのセンスは無いけど、評論家としては実力があるらしい池部良は趣味が高じてレコード店を経営しています。とはいえ流行歌を取り扱ない、商売っ気がもともと無いので、お上品なクラッシックばかり品揃えしているので集客能力が低く、結果として赤字続きの経営です。信用がないのか、借金を申し込んでも回答はその妻・菅井きんがそっけなく、にっちもさっちもいかない池部良でありました。 そこへもってきて池部良が保証人になっていた音楽家が自殺してしまいました。自殺した当人は親戚一同はおろか家族からも見放されていたので、返済責任はすべて池部良にのしかかってくるのでありました。 小口の債権者の一人、個人金融業の森繁久彌は、大手の金貸しである志村喬にライバル意識を燃やしていました。森繁は池部良の店の立地の良さに目をつけて、志村喬の愛人・淡路恵子に不動産を買わせて、その金で返済させようという計画を立てました。要するにライバルが出資したお金を自分の懐へ還流させるのです。 だが、しかし、森繁久彌は生来の金に対する執着心のせいで、お人よしの池部良が不動産屋からもらった金を巻き上げてしまうのでした。 大金を失っても深刻そうに見えない池部良にほとほと愛想を尽かした妻・淡島千景は、自殺した音楽家が金もないくせにペットにしてた高価なペルシャ猫を抱いて出て行こうとするのでした。 タンス預金をしている森繁久彌、金融機関さえ一切、信用していないのです。森繁久彌の妻・杉村春子はこんな守銭奴は子供の情操教育に悪影響だと思っていますが、食うためには仕方ないとあきらめていました。しかし、池部良と森繁久彌の大ゲンカを見て、杉村春子もまた夫に愛想を尽かしました。 ちょうどそのころ信用組合という新しい金融ビジネスが流行りはじめており、杉村春子の兄・織田政雄の紹介により、タンス預金よりはよっぽど儲かりそうだということで、杉村春子は森繁久彌に内緒でタンス預金を全額、信用組合に預けました。な、なんと!その信用組合のバックには志村喬が暗躍していたのでした。 ああ、なんてことでしょう!信用組合の雇われ社長が左卜全というだけで普通の人間ならNGですが。 さて、池部良と淡島千景は別れる、別れる言いながらも、やり直すチャンスを探しているようですが、池部良が煮え切らないのでズルズルとしているのでした。しかし、そうこうしているうちに、ペルシャ猫が死んでしまいます。ここでも池部良は「あ、死んじゃった」とブッキラボーだったので、たぶんきっとそのせいで淡島千景は絶望的な気持ちになるのでした。 志村喬はたっぷりと金を集めたところで信用組合を計画倒産させ、雇われ社長以下、従業員全員は夜逃げしました。森繁久彌は怒髪天をついて志村喬を絞殺しますが、お金は戻ってこないのでした。 さすがの池部良も少しは目覚めたのでしょうか、命よりも大切にしていたレコードコレクションを手放すことにしました。いや、いや、そんなの大したことじゃ・・・と思うのですが、池部良にしては一大決心だと評価した淡島千景は貧乏でも、池部良とやり直す決心をしたようです。 甲斐性なしが板についてしまった池部良についていかざるを得ない淡島千景、守銭奴のくせに一文無しになった森繁久彌と別れられない杉村春子、愛人もお金もとことんゲットしたうえに森繁久彌にも殺されなかった志村喬だけが高笑いというオチ。 この映画は金に無頓着すぎる池部良と金に強欲すぎる森繁久彌がドタバタする喜劇に見えますが、実は志村喬の妻・浪花千栄子も含めた三人の妻のほうに本当のドラマがあるなと思いました。 男のロマンは女の不満、三人の妻はこの先も夫に振り回されつつ生きていくのでしょう。 (2012年06月10日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2012-06-10