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尼くずれ


■公開:1968年

■制作:大映

■制作:川崎治直

■監督:池広一夫

■原作:今東光

■脚本:舟橋和郎

■撮影:武田千吉郎

■音楽:渡辺岳夫

■美術:下石坂成典

■照明:山下礼二郎

■録音:奥村雅弘

■編集:菅沼完二

■主演:横山道代(大楠道代)

■寸評:

ネタバレあります。


尼映画、それは淫らな性生活をエンジョイするハゲ頭、海女映画、それはスケスケのむちむちプリン。

いずれも本職の皆様におかれましては大変迷惑な映画ジャンルであろうかと思われます。

尼寺に捨てられていた孤児の安田道代は自動車の教習所に通う、飛んでる尼さんです。今日は教習所のスケベ教官・森乃福郎にモーションをかけられましたが、ヤクザに負われていたトルコ嬢を救出するドサクサにまぎれて逃げ出しました。

京都ってスゴいところだわ・・・。

三木本賀代はフーテン娘でしたが、ヤクザの幹部・中谷一郎に優しくしてもらい、就職先を斡旋してもらってからというもの、彼のことが大好きになってしまったのでした。いやいやいや、就職先といっても、それは中谷一郎の所属する暴力団の息がかかったトルコ風呂、つまり彼は黒いリクルート活動をしていただけだと思いますが。

安田道代が三木本賀代に諭しますが、恋は盲目です。まったく耳を貸してくれませんでした。

尼寺には庵主・三宅邦子、ベテラン尼・しめぎしがこ、小娘尼・小林直美が共同生活をしながら修行しています。小娘尼はまだ俗世間に未練がアリアリなのでこっそり「週刊実話」のお色気小説で発情しながら大人の階段を上り中でした。しめぎしがこは、そもそも進歩的な安田道代のポリシーが気に入りません。

せっかく安田道代が免許を取って、庵主様のアクティビティをフォローしたいというのですから、自動車を寄進してくれる檀家もいてくれました。それはキャメラマンの高原駿雄、しかし彼の狙いは安田道代のヌード撮影。そんなもん自動車と引き換えにすることじゃないですから、キッパリお断りした安田道代なのでした。

中谷一郎が本性を現わします。自分に惚れてる三木本賀代に売春を強要、しかし、安田道代の言葉を思い出した三木本賀代は仲間のトルコ嬢を引き連れて尼寺に駆け込みました。

親分の小松方正にしめしがつかないと説教される中谷一郎。目には目をということで、セックスを頭でしか理解していない小娘尼の小林直美を口説き、自分の女にしてしまったのでした。これ以上、身内から中谷一郎の被害者を出すわけに行きませんが、小林直美は言うことを聞きません。

とにかくイキナリ増員した元トルコ嬢の尼さんたちの生活費を稼がねばなりません。安田道代は気が進まなかったのですが、高原駿雄のヌードモデルに応じました。身体を張る安田道代、しかし写真の使用条件は公開しないこと、尼さんの本分も守りたい安田道代なのでした。

だが、しかし、元トルコ嬢の足抜け費用には到底足りません。安田道代は腹をくくって、小松方正と話し合いをしました。お、非常に珍しく男気を見せるかと思われた小松方正でしたが、どっから嗅ぎつけたのか?安田道代のヌード写真のネガを使って恐喝してくるのでありました。

とうとう最後の手段です、お金のために小松方正に身体を売った安田道代、よりにもよってあんなブサイクでクドいセックスをしそうな小松方正に身体を許すなんて、気の毒すぎです!安田道代の貞操、大ピーンチ!そこへ乱入したのは中谷一郎でした。乱入っていうか、それは安田道代を救出するためではなく、中谷一郎の正体を知ってしまった小娘尼が逆上して、彼の腹に出刃包丁をぶち込んだため、パニックに陥った中谷一郎が親分の小松方正に助けを求めたのであって、結果的に安田道代の貞操は守られました。

実は高原駿雄の前の女だったベテラン尼のしめぎしがこがチクったので安田道代は破門になりかかったりしたのでありますが、心の広い庵主様のおかげで修羅場に警官隊が乱入、売春容疑で小松方正は御用になったのでした。

さて、美人なのに男気も溢れる安田道代、片肌脱いで小松方正に啖呵を切るところはまさに尼くずれの称号に相応な活躍でしたが、実生活では当時は泣く子も脱糞するくらいの恐怖アイテムだった若山富三郎の恋人でしたから、例え映画の中とは言え、彼女とヤッたらボコボコにされるに違いないと、小松方正とスタッフは思ったかどうか知りませんが、乱入してきたのが中谷一郎ではなく若山富三郎だったらものすごく面白くなったと思います。

しかし疑問が残る映画です。なぜ、中谷一郎ごときが(ファンの皆さん、ごめんなさい)高原駿雄がモテモテなのでしょう?それはね、日ごろから強制的に男日照りな尼さんだから、冴えないオッサンや激安なチンピラにいともカンタンにヤラれたりするわけですね。

男の妄想を中枢を刺激しまくる尼映画、くれぐれも本職の皆様とは何の関係もないフィクションだと言っておきます、念のため。

2012年04月30日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2012-04-30