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事件記者 狙われた十代


■公開:1960年

■制作:日活

■企画:岩井金男

■監督:山崎徳次郎

■原作:島田一男

■脚本:山口純一郎、西島大

■撮影:萩原憲治

■音楽:三保敬太郎

■美術:横尾嘉良

■照明:河野愛三

■録音:片桐登司美

■編集:鈴木晄

■主演:沢本忠雄

■寸評:

ネタバレあります。


事件記者シリーズ第八作。

ハイティーン、それはもうすく成人して酒もタバコも合法になる前にちょっぴり背伸びしたくなる危険なお年頃。

ハイティーン、身体の発育はすっかり大人なのに、当時の法律に照らせば人を殺しても死刑にはなりにくいモラトリアムなお年頃。

そんなハイティーンの皆様が今回の主役であります。ただし、その中に男臭さも分別もある上野山功一が混ざっていますが気にしないようにしましょう。

お坊ちゃまの杉山俊夫は「理由なき反抗」にかぶれたらしく、深夜の神宮外苑で開催されていた非合法はバイクレースに参加してみたくなりました。胴元はチンピラの草薙幸二郎とその情婦。

あまりの騒音のためか駆けつけた警官にあわててクモの子を散らすように逃げ出した少年少女の中にいた杉山俊夫はうっかり通りかかりの大学生をバイクではねてしまいます。

警戒が厳しくなったので実入りの無くなった草薙幸二郎は金回りのよさそうな杉山俊夫に、大学生は死んだとウソを言います。パニックに陥る杉山俊夫、大学生の生死は確認できません。なぜならその交通事故は新聞記事にならなかったからであります。

警視庁の課長・二本柳寛から、違法賭博で胴元をしょっぴきたいので小さな交通事故の件は伏せておくようにと、警視庁の記者クラブに要請があったからでした。ちなみに大学生は死んでいませんでしたから、記事になってもたいしたこと無い、それなら警察に協力して恩を売り、大捕り物を記事にしたほうが朝刊の一面が派手になっていいよね、という大人の計算をした理想の上司、キャップ・永井智雄

さらに、当日夜の当事者達が集まるゴーゴー喫茶に潜入取材を企画、ハイティーンに無理なく溶け込むには、滝田裕介じゃアダルトすぎるし、ジジイの大森義夫は論外だし、かといって山田吾一じゃ馬鹿っぽいし、ということで童顔の二枚目担当である沢本忠雄が抜擢されました。

スマートさでは園井啓介とか綾川香でも良さそうですが、二枚目すぎるので淫行とかの余計な犯罪へ発展するとマズイという判断がされたに違いありません。

チルデンセーターを着用した沢本忠雄でしたが、真面目すぎる性格が災いしたのかロウワーなハイティーンからは敬遠されたました。しかし、ボンボン育ちの杉山俊夫には頼りがいのある先輩くらいに見えたのかもしれません。

眼光鋭いハイティーン・上野山功一は無理そうですが、杉山俊夫は脅迫すれば小遣い稼ぎの足しにはなりそうだと思った草薙幸二郎は、杉山俊夫の父親が大切にしている軍用拳銃を盗んでくるように命令しました。

ヘタレなおぼっちゃまが盗んできた拳銃を取り上げた草薙幸二郎は駅の事務所へ乱入し金庫の金を狙いましたが、警ら中の警官に発見されてしまい、脅すだけのつもりだったのについうっかり拳銃を発射、警官を射殺してしまったのでした。

共犯者にされた杉山俊夫でしたが、お父さんは拳銃の紛失に気がついて冷静に警察へ名乗り出ました。

草薙幸二郎の存在を掴んだ警察は、ほとぼりがさめてバイクレースを再開した神宮外苑に警官隊を派遣。もちろん、事件記者チームもこぞって取材へ向かいました。

今回は青春スターの沢本忠雄の熱いハートが炸裂するの巻でした。ちなみにスポンサーはカワサキらしく、バイクがふんだんに登場するのですが、そのバイクが凶器になったり違法賭博のツールにされたりするのでカワサキの社内での評価はどのようなものだったのか、余計な心配をしてしまいました。

2012年04月01日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2012-04-08