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事件記者 拳銃貸します


■公開:1962年

■制作:日活

■企画:岩井金男

■監督:山崎徳次郎

■原作:島田一男

■脚本:山口純一郎、西島大

■撮影:萩原憲治

■音楽:三保敬太郎

■美術:横尾嘉良

■照明:河野愛三

■録音:片桐登司美

■編集:鈴木晄

■主演:沢本忠雄

■寸評:

ネタバレあります。


事件記者シリーズ第九作。前作から2年経過しております。

キャストは実直な刑事が木島一郎から玉村駿太郎、原保美と二本柳寛は日活版を卒業したようです。

日本は一般人の拳銃所持はフリーではないので、拳銃というのは小さくても威力のある凶器であると言えます。つまり気安く流通するシロモノではない、大変に怖いもの、人生を踏み外すくらいのパワーがあるモノということですね。

貧しさゆえに人は罪を犯すというのが当時の原則ですから、事件記者シリーズに登場する犯人のほとんどは金欲しさの犯行であります。愉快犯とかそういう難しいのはひとまず無しです。

アバンタイトルで展開する派手な銃撃戦、さすが日活、頭脳プレイだけでは物足りなくなったのでしょうか?

白タクのアルバイトを一斉検挙でフイにした野村隆は、にもかかわらず、元締めのヤクザに会費っていうか上納金を持っていかなくてはなりません。金はないし腹も空いたのでお友達のチンピラ・市村博と二人でおでんの屋台に立ち寄りました。

おばさん・新井麗子が一人で切り盛りしているし、のんだくれの客・山田禅二は爆睡してるし料金踏み倒したってたいしたことないもんね!しかしチンピラコンビの目論見は外れてしまいます。そうです、実はバックにヤクザがついてる新井麗子、彼女の口から出たのは「拳銃を貸してやるから金を稼いで来い」

稼いで来いといっても、マトモなやり方を要求しているわけではありません。しかし、人を殺せとか、押し込み強盗やれとかも言ってないので、いざとなったら犯罪の教唆にはならない、おばさん、実は頭が良いんだね!

じゃなくて、ぐっすり寝てるだけかと思った山田禅二ですが、実は凶悪犯で最近、刑務所を出たばかりでもう殺人を犯していました。それに、なんと新井麗子の元旦那なのでした。一人娘の父親が殺人犯だとバレてもいいのか?チンピラに貸し付けた拳銃にはすでに前科があるのでした。

金に困ったチンピラに武器を貸し付けて新たな事件を起こさせ、前科もコミコミでチンピラたちに背負ってもらいましょう、なんというズル賢い犯人でありましょう。

チンピラたちは情婦を囲えるくらいに景気が良いらしい質屋を襲撃。主人は拘束されましたが無傷だったので警察へ通報。記者クラブの面々・永井智雄滝田裕介山田吾一たちは大いに張り切ります。非常線にすぐにひっかからなかったので、今日は犯人逮捕は無いか・・・と一安心の警察と事件記者。

チンピラコンビはあまりにも上手くいってしまったのでもう一仕事することにしました。よせばいいのにまたもや別の質屋を襲った二人、しかしたまたま盗品調査をしていた刑事に遭遇してしまい、刑事をうっかり射殺。さらに瀕死の刑事が逮捕に協力を呼びかけた通りすがりの学生も銃撃してしまい重傷を負わせてしまうのでした。

刑事を殺すと警察は本気出しますので、チンピラ二人はオロオロします。おまけにせっかく強奪した金は山田禅二に上前ハネられてしまいます。

一方の新井麗子は、重傷の学生のお母さんの姿を新聞で見ていても立てもいられなくなり、警察病院へお見舞いに行き、ついでに自首しました。しかし部長刑事・宮阪将嘉の判断でこの事実は伏せられます。

が、しかし執念の事件記者たちはたまたま輸血に協力できた一人が病室に隠れて、この事実をキャッチするという、一つ間違えば始末書ではすまないような取材を敢行します。

ま、毎度のことですが結果が良いので事件記者が糾弾されることは無いのですがね。

チンピラ二人は逮捕され、あとは山田禅二の逮捕のみ。新井麗子はギリギリのところで、娘の将来を気遣ってお父さんを逃がそうとしますが、メキメキ銃撃戦が始まってしまい、山田禅二は逮捕されました。沢本忠雄がモノにした犯人の出自の記事は永井智雄によってボツにされました。

たとえ事実だからと言ってダボハゼのように扇情的な記事に飛びつくだけが新聞記者の仕事じゃありません、善意の第三者の幸せを優先するのも大切なことですよ、永井智雄の大人の説教に最初は反発する沢本忠雄ですが、母子が安堵する姿を見て思いなおすのでありました。

良かったよなあ、これが山田吾一だったら高城淳一が止めても記事出ちゃうところだったよなあ。山田吾一は悪い人じゃないけど、無神経だから。

被害者のお母さんを警察のパトカーで護衛して病院へスピード到着させるシーンは感動します。当然ですが、事件記者たちが待ち構えて写真撮りまくったわけですが、結果的にお母さんの顔写真が犯人逮捕の速度を上げたので、オッケーということになったようです。

ちなみにタイアップ広告の山崎パンは、この感動リレーの現場に配達車が何度も素通りするという押し付けがましいアピール、ならびにお酒大好きな事件記者の皆様に甘ったるいレーズンロールを丸かじりさせておりました。

2012年03月18日

【追記】

※本文中敬称略


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file updated : 2012-04-01