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ロボジー


■公開:2012年

■制作:東宝

■企画:石原隆

■監督:矢口史靖

■原作:

■脚本:矢口史靖

■撮影:柳島克己

■音楽:ミッキー吉野、五十嵐信次郎とシルバー人材センター

■美術:新田隆之

■照明:長田達也

■録音:郡弘道

■編集:宮島竜治

■主演:五十嵐信次郎

■寸評:木村電器の3人組は、小林・太田・長井、と身体的特徴が役名になっていてステキです。

ネタバレあります。


「なんだよ!吉高のパンツ、見えねえじゃん!」という邪悪なお客様もおられましょうが、あきらめなさい。

思いつきで社員を振り回すのは中小企業の社長・小野武彦にはよくあることです。白もの家電だけでは将来性がない、これからはロボットだ!という計画性のない社長の一言で、かき集められたプロジェクトチーム。成績の悪い営業マンや、実装経験の少ない設計者。小柄な小林・濱田岳、デブな太田・川合正悟、ノッポの長井・川島潤哉の3人は、発表会の直前にロボットの試作機「ニュー潮風」を破壊してしまいました。

鈴木さん・五十嵐信次郎は妻に先立たれて、現在は独り暮らしです。娘・和久井映見の家族が時々は遊びに来るらしいのですが、孫もすっかり成長してしまったので、現在ではたまに会うリアルおじいちゃんよりゲームに夢中なお年頃です。

頑固でダサい高齢者ともなれば、孤独死の影もチラつきますが、幸いにもここ、北九州ではまだ地域のインフラがきちんとしているので、鈴木さんは老人会のイベントで音頭を踊ったりして人気者です。ただし、デイケアセンターで一番モテるのは、カッコいい系の大石吾郎でした。

このままでは世間から完全にスポイルされてしまう。自分だってまだまだ働ける。それを証明するために、鈴木さんは、着ぐるみショーのアルバイトに応募してみたのでした。

そのバイトには厳格な体格の制限がありました。鈴木さんは、驚くほどピッタリでしたが、オーディション会場で審査をしていた、デブとチビとノッポの若造たちから馬鹿にされて、鈴木さんはすっかりショゲてしまいます。

高齢者は何もできない、社会に必要とされていない、馬鹿にされる存在、覚悟していた現実を突きつけられた鈴木さんはガックリと肩を落とすのですが、アルバイト採用された青年が金属アレルギーだったことから、鈴木さんの採用が決定したのでした。

ナイーブで知恵は無いけど寝食忘れて夢中になれる若者の体力と、度胸と悪知恵が発達した健康な高齢者がスーパーロボット・ニュー潮風を巡って繰り広げる、笑えて、ホロリとくるドラマです。

いや、実際のところはですよ、自転車乗れちゃう「ムラタセイサククン」のほうが素晴らしいんですけども、やはりロボットの原点は人命救助ですから、たとえインチキ臭くても、ニュー潮風の熱烈信者となってしまうのですよ、鉄腕アトムに熱くなれる人ならば。

ボンヤリした善人ばかりだと単調ですが、一歩間違えれば酸っぱい臭いが充満しそうなロボットヲタクを、変顔メイクで乗り切った吉高由里子は、幼稚な演技がアブナい人格と相まって好演でした。ブサイクや小汚いのばかりじゃ絵柄が汚いですから、一服の清涼剤とでも申せましょう。

強いて問題点を挙げれば、露出が少ないところでしょうか。ま、いいか、東宝だしな。

とはいえ、このジジイは何モン?ハゲてんのに、なーんかカッコいいぞ?膝の抜けたジャージも似合いすぎだけど?

少年少女のみなさん、このファンキーな高齢者の若い頃を知るためには、あなたのお父さんやおじいさんと一緒に映画館へ行きましょう。

「お母さん、ロカビリーって何?」「ミッキー・カーチスって何?」「若い頃にアフロやリーゼントで髪を傷めるとあんな風になるの?」最後の一言は余計ですが、とにかく本作品の素晴らしいところは、五十嵐信次郎を知っていてもミッキー・カーチスを知らない世代と、ミッキー・カーチスと日劇ウエスタンカーニバルが直結する世代が、一緒に笑えるところなんですよ。

しかも、素材が世代を超越する着ぐるみ映画というところも東宝らしくてグーです。

2012年01月29日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2012-01-29