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女めくら物語


■公開:1965年

■制作:大映

■企画:原田光夫、加藤裕康

■監督:島耕二

■原作:舟橋聖一

■脚本:相良準三

■撮影:渡辺公夫

■音楽:大森盛太郎

■美術:渡辺竹三郎

■照明:柴田恒吉

■録音:渡辺利一

■編集:鈴木東陽

■主演:若尾文子

■寸評:

ネタバレあります。


サングラスもかけず、目を開いたまま盲目の役を演じるのは難しいと思いますが、本作品では、盲目らしいかどうかはどうでもよいことなので、あまり気にしなくていいです。

マッサージを生業とする若尾文子は中途失明者です。今では、その道の大家と言われる師匠・中村鴈治郎(二代目)のもとで同僚のマッサージ師たちと住み込みで働いています。職場は花柳界、料亭がメインの若尾文子は酔客のセクハラにもめげず真面目に働いておりました。

身寄りの無い独身女性が頼るものは男かお金、または両方です。ある日、絵に描いたようなジェントルマンぶりを発揮した会社経営者・宇津井健と知り合った若尾文子は、ドスケベな客から逃げるために飛び込んだ部屋でまたもや宇津井健に助けてもらい、彼のことが大好きになってしまいます。

いままであまり他人から親切にしてもらった記憶が無い若尾文子。頼りの師匠は、最近仲間入りした目明きのマッサージ師・渚まゆみの身体に夢中で、妻・倉田マユミが身内の危篤で実家へ帰っているのをいいことに浮気三昧です。ないがしろにされた古参のマッサージ師は次々と退職していきました。

地獄に仏、いや、地獄にスーパージャイアンツ。こうなったら宇津井健めがけて猪突猛進の若尾文子。恋は盲目、他人の目なんか気にしない、そりゃそうだ、だって彼女は目が見えないのですから。

若尾文子は宇津井健の幼馴染の芸者・万里昌代を介して電話連絡をとろうとしますがある日を界にぷっつりと音信不通になりました。なんでも、宇津井健の商売が上手くいってないそうです。

慰安旅行先で偶然再会した宇津井健は若尾文子と心中を図ろうとするくらい追いつめられていました。つかの間の再会後、またもや若尾文子の前から姿を消した宇津井健。きっと自殺したに違いないと彼女が思い込んだのが不幸の始まりでした。

客の金を盗んで行方をくらました渚まゆみはこっそ戻ってきて、中村鴈治郎とのアバンチュールを再開。ちょうどそのころ、若尾文子はステキな若いマッサージ師・山下洵一郎と知り合い、宇津井健を失った心のスキマを埋める気持ちで、強引な山下洵一郎と肉体関係を結んでしまいました。

なんかタイミングが良過ぎるんじゃね?案の定、山下洵一郎の素行は不良、マッサージ師としての実力もたいしたことがなく、今では若尾文子のヒモ状態。おまけに、渚まゆみもほぼ同時期に中村鴈治郎にお金の無心、その手紙を代読した山下洵一郎が中村鴈治郎を恐喝するに及んで、いよいよコソドロコンビの化けの皮がはがれるのでした。

男に迷って持ち前の鋭い勘が鈍っていた若尾文子、渚まゆみと山下洵一郎がグルだったと知るといよいよ絶望感に苛まれてしまいました。

そんなどん底状態で、またもや宇津井健と再会した若尾文子は、尾羽打ち枯らした彼のためになけなしの貯金を差し出すのですが、やっぱりというか思ったとおりというか、宇津井健はその金を受け取らず去っていくのでした。

お金がいくらあったって幸せになれない、男運は悪い、とことん気の毒な若尾文子、夢見たことが次々に裏切られてしまうのですが、ただひとつよかったのは宇津井健がハンサムだったこと。

別れを予想してせめて思い出にと、宇津井健の顔を両手でしっかりと押し抱いて形を覚えさせながら、はらはらと涙を流す若尾文子に憐憫の情を抱かぬお客さんはいないと思われます。

本作品の男どもはおしなべて頼りなく、情けないのに、ヒロイン(あえて)二人の対決が見どころです。

キレイすぎるヒロインの若尾文子は完全なベビーフェース。どうやってアイラインと付けマツゲするのかしら?なんて底意地の悪いツッコミはともかく、ウルウルした瞳で恋に燃える若尾文子が堪能できて、結局は誰の持ち物にもならないのですから、彼女の男性信者にとっては至福の映画と申せましょう。

対するヒールは肉体を武器にして二股、三股かけて若い男と金をゲットした渚まゆみ。彼女のヴァイタリティは単なる悪女と片付けるには惜しい魅力です。そんなエネルギッシュな渚まゆみの主食はラーメン、時々二人前をペロリとたいらげる姿に魅かれてしまうのもまた事実。

2012年01月08日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2012-01-09