ピラニア軍団 ダボシャツの天 |
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■公開:1977年 ■制作:東映 ■企画:杉本直幸、上阪久和 ■監督:山下耕作 ■原作:政岡としや ■脚本:松本功 ■撮影:増田敏雄 ■音楽:渡辺岳夫 ■美術:富田治郎 ■照明:金子凱美 ■録音:中山茂二 ■編集:玉木濬夫 ■主演:川谷拓三 ■寸評: ネタバレあります。 |
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通天閣、それは単なる広告塔の域に留まらず、東京に東京タワー(そのうち東京スカイツリー)のように、一番高いところとして、何事も大きな志を指し示すシンボルとして使われるようです。日本には富士山という高さでは最強アイテムもあるにはありますが、大阪では通天閣です。 海抜3000メートル越えの富士山に対して、大阪人の志の高さが地上100メートル程度であるということでは無いですよ、念のため。 一人前の極道を目指す、現在はただのチンピラ、松田天こと通称ダボシャツの天・川谷拓三は、今日も通天閣の膝下で不良学生・奈辺悟らのカツアゲを後方支援してあげる頼もしい兄貴です。しかし、本職のヤクザで、天の兄貴スジと対立している岩尾正隆にはまったく歯が立ちません。そこで登場するのが川谷拓三の兄貴分で、かつ、何事もやりすぎ感の強い夏八木勲です。 全身をケンカによる生傷によって覆われた夏八木勲ですが、よくよく考えてみるとそれだけ怪我してるということは、実は大した事が無いのではないか?という疑問を抱くことは、単細胞な川谷拓三にはありえません。夏八木勲には絶対服従です、だって兄貴は天の憧れの存在なのですもの。 本作品は劇画が原作ですから、登場人物がことごとくカリカチュアライズされている、むしろ夏八木勲は生まれながらの劇画顔という好材料、とにかく馬鹿馬鹿しいくらいの大げさ感が痛快です。その中でも特に原作にソックリな川谷拓三はまさに適役です。 夏八木勲は冬場のロケにもかかわらず体脂肪率の低いビルドアップされた肉体を惜しげもなく披露、六尺フンドシ一丁で走り回ったりするので、その手の趣味の皆様にもオススメです。 極道たるもの女の一人や二人はコマしておくのが義務。川谷拓三は売春斡旋のためにスカウトした純情そうな小娘・竹田かほりにゾッコン惚れてしまいました。しかし、商品テストは夏八木勲の役目。兄貴に犯されるのを黙って我慢しないといけないのかと思いきや、オッカナイ奥さん登場で、竹田かほりの貞操は守られました。 彼女にまともな就職先を探してあげたつもりでしたが、竹田かほりを雇った喫茶店のマスター・小松方正はどう見てもドスケベです。案の定、竹田かほりのアパートへ忍び込んで、パンティーを弄んでしまう小松方正をこてんぱんにやっつけた川谷拓三でありました。あ、実は川谷拓三も忍び込んでいたのですがね。 どうやら大きな抗争が近日中に勃発しそうです。夏八木勲の兄貴分であり組の幹部である菅貫太郎は不気味ですがわりと親切な人のようです。ケンカに参加して一旗上げたい川谷拓三の願いを聞き入れて、夏八木勲と一緒に暴力団グループの総帥・深江章喜の護衛役として九州向かわせました。 ピリピリする現地で、対立していた組織のチンピラ・志賀勝と立小便をめぐって川谷拓三が起こしたささいなケンカがトリガーとなり、つに大喧嘩が始まってしまいます。あっちこっちでドンパチが繰り広げられます。夏八木勲と旧友でありながら、敵と味方に別れて闘う室田日出男のシーンは渋くてステキでしたが、決着は落雷でした。 下っ端同士、川谷拓三と志賀勝はお互いに立派な極道になろうとして必死に戦うのですがだんだん奇妙な友情が芽生えてきます。抗争劇はひとつも汗をかかない幹部たちの話し合いであっさり手打ちが成立。ケンカする意味もなくなったので、仲良くなった志賀勝にステキな奥さん・橘麻紀を紹介された川谷拓三は、大阪に残してきた竹田かほりのことが恋しくてたまらないのでした。 ただし、全然反省しないのが川谷拓三の素晴らしいところなので、今日もまた元気に極道活動を繰り広げるのでした。 タイトルの冠がピラニア軍団ですから、見せ場もタップリ。ほぼ全メンバーが出演していますのでせっせと探してみるのも楽しいです。軍団ではありませんが、出場の多少にかかわらず、必ず観客にトラウマを残す菅貫太郎の怪演も捨てがたいです。糖尿病で不能なヤクザってどんなんだ。 夏八木勲が川谷拓三とつつく、てっちり鍋は「づぼらや」です。川谷拓三がきちんと店名をコールする東映のビジネスルールも定番です。 (2012年01月01日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2011-12-31