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殺人者(1966年)


■公開:1966年

■制作:大映

■企画:藤山健彦

■監督:安田公義

■原作:原田康子

■脚本:舟橋和郎

■撮影:竹村康和

■音楽:伊部晴美

■美術:加藤茂

■照明:加藤博也

■録音:海原幸夫

■編集:菅沼完二

■主演:安田道代=大楠道代

■寸評:

ネタバレあります。


誘拐されたのに、その犯人たちと一緒になって銀行強盗やらかしたパトリシア・ハースト事件が起こるのはこの映画のかなり後。

会社社長のお父さん・有馬昌彦の小切手をちょろまかして高額な絵画を無断で購入したお嬢様・安田道代は、お仕置き処置として、北海道は小樽にある会社の保養所へ幽閉されます。幽閉とはいえ、現地の事業所長・早川雄三のフォローがあり、管理人さんの上げ膳据え膳付であります。

懲戒目的にしては甘やかしすぎだろうとは思うのですが、東京で青春しているお嬢様の毎月のお小遣いが3000円上限というのは、そっちのほうがよっぽど辛いんじゃないか?と言えます。

隣の別荘には愛人生活をしている江波杏子が住んでおり、愛玩犬ではない猟犬のポインター犬をノーリードで散歩させた挙句に、安田道代の愛玩犬=トイプードルを襲撃させて高笑いという、サディスティックな性格の持ち主。おまけに愛人・神田隆を送っていく途中で安田道代をまたもや轢き殺そうとする、ほんとにまったく迷惑極まりない女でありました。

頭にきた安田道代は、夜中に彼女の家の前に止めてあった乗用車のタイヤをナイフでパンクさせてやったのでありました。

いや、なんというか、ココまで来るとどっちもどっち、ワガママでヒマな女というのはろくな事をしませんな。

ところがその江波杏子は若い男に銃殺されてしまったのでした。銃声と逃げる犯人・石立鉄男を目撃した安田道代は怖くなって家の戸締りを確認、運悪く管理人さんは外出中。愛犬のトイプードルがギャンギャン吠えるので、ドキドキしていると開いてる窓から侵入した石立鉄男が猟銃を持って立っていました。

と、ここまでなら陳腐なサスペンス映画になるところでしたが、ここからが意外性のある展開です。

翌朝、事件を担当する刑事・宇津井健が部下の刑事・藤山浩二とともに安田道代の家を訪ねてくると、安田道代は犯人を匿ったのでした。

あの、憎ったらしいビッチ女の江波杏子に弄ばれて捨てられた石立鉄男が頭に血が上って江波杏子を殺害したこと、睡眠薬を飲んで寝たのに石立鉄男が強姦しなかったこと、ていうか自分を殺して逃げなかったこと、それに石立鉄男の純情そうな性格、わりとイケてるマスク、等々を勘案した安田道代は、父親の高圧的な態度と宇津井健のあつかましい(刑事だから当然なんだけど、仕事だし)態度がデ・ジャ・ヴしてしまい、石立鉄男に対して同情とも、愛情ともつかないシンパシーを抱くようになるのでした。

それに、石立鉄男が罪を反省して自殺しようとしたということもあって、安田道代は彼を屋根裏部屋に隠して逃亡を幇助しようとするのでした。

しかし、宇津井健は優秀な刑事さんだったし、遺留品もたくさんあったので、捜査の網はジワジワと安田道代に近づいてきます。そこへ、頭の悪そうな安田道代の弟たちが乱入したりして、石立鉄男は何度もピンチになりますが、お嬢様のとっさの機転で事なきを得るのでした。

管理人さんに石立鉄男が発見されたとき、安田道代は彼を恋人だと言い張ります。やさしい管理人さんはお嬢様の味方になってくれました。

警察が石立鉄男のタバコの吸殻や小樽駅に預けた荷物の引換証をゲットしたことで、犯人が安田道代の家に未だに隠れていること、安田道代が江波杏子への反感から犯人を匿ってるんじゃないかということも判明してきて、逮捕状を取った警官隊がなだれ込んできました。

石立鉄男がバスで逃げたと安田道代が証言したので、警官隊が去ったのを見た安田道代が温室に隠れていた石立鉄男を逃がそうとするのですが・・・

競馬場で働いている騎手見習い(あんなデッカイ身体のジョッキーいるのか?)で愛馬の可愛らしさを無邪気に語る石立鉄男が好きになっちゃう安田道代の心理状態としては、つまり、動物好きに悪い人はいない、だって私も動物好きだし!このようなレベルの安田道代の浅はかさは、大人の宇津井健にはまったく無力なのでした。

ピュアといえばピュアですが、馬鹿と純粋なのとはかなり違うので、見ていて正直イライラしてきました。ファンの皆様、申し訳ございません、本音です。

ストックホルム症候群のような状況で芽生える恋は、婦女子にとっては憧れの一つでありますが、主人公がセレブのクソ生意気なお嬢様であるという時点で、あまり感情移入もできないし、石立鉄男には共感できても、安田道代には全然無理でした。

まだアイドル路線?だった安田道代ですが、この後で転向するヴァイタリティ溢れるヴァンプなキャラクターにハマっていくプロセスを再確認した次第です。

2011年10月22日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2011-10-30