奥様は大学生 |
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■公開:1956年 ■制作:東京映画、東宝 ■制作:山崎喜暉 ■監督:杉江敏男 ■原作: ■脚本:長瀬喜伴 ■撮影:完倉泰一 ■音楽:神津善行 ■美術:小島基司 ■照明:今泉千仭 ■録音:西尾昇 ■編集: ■主演:木村功 ■寸評:香川京子の親友役の中村メイコ、音楽の神津義行、夫婦共演 ネタバレあります。 |
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木村功はとっくに大学を卒業していましたが、まだ就職できずアルバイトや実家からの仕送りで食いつないでいました。彼の婚約者は卒業間近い大学生・香川京子。彼女の成績は優秀で、現在は女性の自立についてレポートを作成し、教授の評価も高いです。香川京子の親友・中村メイコは大学の事情通です。 大学には女子学生が少ないので、ボーイフレンドは入れ食い状態らしいのですが、その結果、学生結婚が多く、学生女房となった女子学生も多いようです。シッカリ者の学生女房から「ボクちゃん」呼ばわりの太刀川洋一(太刀川寛)に代表されるように、家事一切は男女で分担していて、かつ、男女同権っぽい女性上位のパワーバランスが一般的です。 香川京子は木村功のアパートに通っていましたが、木村功の就職が決まったので正式に結婚することにしました。 木村功とルームシェアしていた宝田明は喜んで独立、とはいえ他の学生とまたルームシェアすることにしました。喫茶店の2階を借り切った、木村功と香川京子の人前結婚式、写真係も同じ大学の学生・石原忠(佐原健二)です。彼ももうすぐ恋人の女子学生・河内桃子と結婚する予感です。 木村功は事務職で会社に入社しました。彼は在学中は優秀な学生で、香川京子の翻訳のアルバイトも手伝えるほどの実力でしたが、社会人1年生は、庶務の女性達のお手伝いからスタートです。簿記もできないし、ソロバンも使えない木村功。庶務係の北川町子に深く同情されてしまいます。学歴が低い上司・瀬良明は大卒を眼の敵にしているのか?みんなの前で叱られて落ち込む木村功です。 さて、香川京子は試験を控えています。しかし二人の家庭の経済状態は劣悪です。木村功は親の許可を得ずに勝手に結婚したので実家からの仕送りストップされ、しかたないので香川京子が翻訳のアルバイトも量を増やした上に試験勉強をしているため、木村功のとれかかったカフスボタンを付けてあげることもできません。 主婦業と学業の両立に悩む香川京子。おまけに、田舎から木村功の父親・藤原釜足が上京してきて、事実婚状態の二人を別れさせて、田舎にいる許婚と木村功を結婚させようとします。 おいおい、そんな女が故郷にいるなら、そっちを先に片付けてから香川京子に結婚申し込むのがスジだろう?と、木村功に説教したくなるのは観客も同様です。 困った香川京子は、頑固なお父さんを説得するための助っ人に、藤原釜足と面識があって、しかもお気に入りの宝田明を呼び寄せ説得役を依頼、中村メイコが親父の好物を取り揃えてゴキゲンを直してもらう作戦に打って出ます。結果、藤原釜足は木村功のウジウジぶりはスルーして、健気でカワイイ香川京子とその仲間達に、ひとまず安心して、許婚との話は解消してくれると約束して帰って行きました。 香川京子は試験勉強に没頭しますが、そのサポートをしていた木村功は寝不足となり、会社でミスの連発です。ヤケ酒かっくらってクダまいて帰宅した木村功に申し訳ないと思った香川京子は、試験を受けずに、このまま退学でもして主婦業に専念すると言い出しますが・・・ 木村功は香川京子に勉強を続けて卒業するように薦めます。喜んで試験会場へ向かう香川京子を見送る木村功でありました。 香川京子が女子学生、香川京子が女子学生、三つ折りのソックスはいてるだけでドキドキする輩もいることと思います。そんな、香川京子を奥さんにした相手が木村功だという段階で先行きに不安を感じてしまいますが、最後はハッピーエンドでした。 会社では、自分の実力が認めてもらえない境遇や上司がいて、家に帰れば実力がありながら自分のために将来の希望を折ろうとする妻がいる、出口のない不満が鬱屈していく、こういうナイーブな役どころは年齢不詳の木村功の十八番です。最後に弱々しいながらも、今の自分を精一杯乗り切ろうという覚悟の表情は感動モノでありました。 ちなみに、木村功はラグビー部のOBという設定で、ショートパンツ姿を披露します。さぞやカッコよくトライを決めるかと思いきや、どこぞの学生ラグビー部のエキストラと一緒にヌルいパス練習してるだけでした。しかし、存外に良いガタイ、骨太な感じだったのでタックルの一つも決めて欲しかったと思う次第です。 大学の構内で若いカップルの男子学生役で、若き日の沖竜次(沖啓二)が一瞬出てきます。詰め襟の学生服姿ですが、顔はいつものジゴロ顔でありました。 (2011年10月16日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2011-10-17