「日本映画の感想文」のトップページへ

「サイトマップ」へ


若い娘たち(1951)


■公開:1951年

■制作:東宝

■制作:藤本真澄、菅英久

■監督:千葉泰樹

■原作:石坂洋次郎

■脚本:井手俊郎

■撮影:会田吉男

■音楽:飯田信夫

■美術:小川一男

■照明:

■録音:

■編集:

■主演:杉葉子

■寸評:

ネタバレあります。


下宿させた大学生と、大家さんの娘が立続けに3人も結婚したのは、そこの娘達が美人だったからです。

当然のことながら地元の医大では、そこの美人姉妹の四女でまだ結婚していない杉葉子の噂はすでに飛び交っており、下宿したい学生が現在3名いるらしいです。大家さんは未亡人・村瀬幸子、ちなみにその家にはおさげ髪の高山スズ子も待機中です。

紹介を頼まれている大学の主事・藤原釜足の目の前でジャンケンをはじめた学生は、池部良伊豆肇佐田豊でありました。なんか学生のくせに老けてんな、とか言わないようにしましょう。途方もなく老けた大学生がでてくる映画は東宝で珍しくありません。若大将シリーズ見てみましょう。オッサンだらけです。

さて、ジャンケンに勝利したのは池部良でした。

ツイテルね!杉葉子!ここで佐田豊だったら面白かったのに!

親が仕組んだ恋愛なって真っ平な杉葉子は、下宿人に対する世間並みのサービスはしてあげるので感謝してもいいけど、恋愛感情を持つな、と池部良に宣言します。杉葉子、良ちゃんに腰が蕩ける日本中の女性ファンを敵に回した瞬間です。

さて、伊豆肇はどうかというと、村瀬幸子のお兄さん・河村惣吉が婿養子に入った荒物屋の女主人・清川玉枝も「優秀な下宿人を置いて品定めをして娘とくっつけちゃう作戦」を展開することになったので、そこへ下宿することになりました。髯面、ダサいファッションセンス、荒物屋のお嬢さん・若山セツ子はさっそく彼のことをゴリラ呼ばわりです。

ちなみに杉葉子は池部良のことを寒鮒と呼びます、アゴがシッカリしてるという意味ですね。詳しくは千葉泰樹監督の「山の彼方に」を観ましょう。

杉葉子と若山セツ子は互いに下宿人なんかと結婚しない約束をするのでした。

こういう女同士の約束って絶対に守られたためしがございません。「一生結婚しないでおひとり様同士、旅行に行こうね!」自分が行きおくれにならないための念書のようなものですが、概ねどちらかが一方的に破棄するものです。

伊豆肇は若山セツ子がものすごく可愛かったので映画に誘いましたが「無理!」と言われてしまい、思い切って髯を剃ってみました。まるで小津安二郎の「淑女と髯」のようですが、伊豆肇は岡田時彦ほどのビックリ感はありませんでした、残念。しかし、箱入り娘の若山セツ子はあっという間にノックアウトされました。

杉葉子は相変わらず意地っ張りです。ホントは好きなくせに、射程距離に良ちゃんがいるのに好きにならない女子なんているはずがありませんので。

大学祭で「ロミオとジュリエット」を上演することになりました。ロミオ役は池部良、ジュリエット役には美人看護士の島崎雪子が候補になります。最初は固辞していた島崎雪子でしたが、相手役が良ちゃんだとわかると急にハリキリ出してジュリエットの役を快諾、ラブシーンも含めた舞台稽古に熱がこもります。

気が気じゃないのは杉葉子。風邪引いた良ちゃんをかいがいしく看病する島崎雪子に胸がザワザワ、それでも本心を明かさない杉葉子。

とうとう大学祭の当日、劇は大成功します。良ちゃんは劇中劇でも台詞棒読みなので笑ってしまいます。本読みにつきあった杉葉子の棒読みを笑えた筋ではありません。

後夜祭のキャンプファイヤー、これまた恐ろしくオッサンくさい学生たち・広瀬正一堺左千夫のステキなフランダンス。伊豆肇と若山セツ子のカップルは学生達・近藤宏たちに祝福されます。そして、池部良と島崎雪子も。杉葉子はまたもや意地を張りますが、そこへデリカシーはありませんが正直者の伊豆肇が「好きなら好きだと言いなさい」とアドバイス。

思わず「良ちゃんのことが大好き!」と叫ぶ杉葉子でありました。

島崎雪子は本当の恋のライバルでしたが、潔く身を引きます。そんなライバルに背中を押された杉葉子は、シレっとして池部良と改めてイチャイチャするのでした。

末娘の高山スズ子にも恋の予感。医大の教授・清水将夫の息子・井上大助がお相手です。東京へ転勤する清水将夫が残していく井上大助は、杉葉子と一緒に独立した池部良のあとに下宿することになりました。一度は立ち消えになった河村惣吉が持ち込んだ、清水将夫と村瀬幸子の再婚話も再燃の予感です。

池部良がジャンケンに勝った瞬間から、映画のオチは丸見えですが、恋愛に不器用でモタモタとしてじれったいお兄さんやお姉さんに対して、最も円滑に進展していたのは、高山スズ子と井上大助。しかもスズ子は確実に玉の輿、村瀬幸子の老後は安心度100パーセント、美人な娘を産んでよかったね!お母さん!

2011年10月02日

【追記】

※本文中敬称略


このページのてっぺんへ

■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2011-10-02