好人物の夫婦

■公開：1956年

■制作：東宝

■制作：佐藤一郎

■監督：千葉泰樹

■原作：志賀直哉

■脚本：八住利雄

■撮影：山田一夫

■音楽：伊福部昭

■美術：中古智

■照明：大沼正喜

■録音：藤好昌生

■編集：

■主演：池部良

■寸評：

ネタバレあります。

葉山、そこはアンニュイな土地柄、なのか？池部良がイケナイのは（そう、か？）自分が二枚目だと自覚しているところだな。

日本画家の池部良の妻・津島恵子は、昔、夫の浮気相手だった女中と瓜二つの女を見かけてドキドキしながら帰宅しました。お隣に頼まれた東京でのお買い物は焼き海苔などなど。

池部良は今は大人しくしてますが、昔はモテモテだったらしく（そうでもないか）女中に手を出したりしておきながら「若い女性を見たらムラムラっと来るのは生理現象」くらいなことを平然と台詞棒読みで妻に告白したりします。

怒っていいよ！津島恵子！だけど、やっぱり良ちゃんのことが好きなので、せめてそんなにはっきり言わないでほしいとちょっぴり思うのでした。

そんなこと言っておきながら気分転換に旅行がしたいという池部良に、旅先で浮気するに決まってると断言する津島恵子は正しいと思います、で、良ちゃんは思いとどまるわけですが、今度は津島恵子のおばあちゃん・滝花久子が病気なので大阪へ行くことになりました。

家事は、よく気がつく女中・青山京子がいるので安心ですが、しかし彼女もよく見ればプリプリのお嬢さん、池部良が手を出すんじゃないか？と一抹の不安が無いでもない津島恵子でしたが、死に目に会えないのは悲しいので、大阪の姉・中北千枝子のところへ出発します。

お隣の奥さん・東郷晴子は夫・有島一郎との間に男の子がいました。有島一郎は池部良の碁打ち仲間で、彼によると「浮気はしてもいいけど、絶対に奥さんに告白してはいけない」そうです。池部良はそんなもんかなあと、思いました。

年齢が離れているので良ちゃん、興味ないかとおもいきや、肩こりが激しいので上半身裸で（当たり前ですけど）青山京子にサロンパス貼ってもらってるところを東郷晴子が目撃、まるで「奥様は魔女」のグラディスさん（注：お向かいに住んでいるノゾキが趣味のおばさん）のように、帰京した津島恵子に報告。

「ああ、やっぱり！」と嘆く津島恵子に、さらなる不幸が！

なんと青山京子の妊娠が発覚、この、ドグサレ浮気野郎が！というような下品なキレ方を津島恵子がするわけもなく、悶々としているうちに、家の裏口からひょっこりと好青年・石原忠（佐原健二）が現れる。すべてを察した池部良は、彼が青山京子の彼氏だとわかり、一件落着。

二人は結婚するそうで、石原忠も「できちゃった婚」だけどきちんと責任を取るそうで、池部良と津島恵子は、青山京子に退職金を出してあげるのでした。

お隣は有島一郎の浮気が発覚したらしく、物が飛び交う大喧嘩、しかしそれも次第に静かになっていく。

夫婦はいろいろあるけど、互いにいとしみあっていればちゃんとおさまるらしいですね。

夫が池部良、妻が津島恵子、さぞ美男子か美女のお子様が生まれることでしょう、というくらい「見た目」には申し分の無い夫婦だと思うけれども、男の気持ちを正直に打ち明けらてもらえる妻もそうはいないし、それを受け止めて別れを切り出さない妻も貴重なのでどっちもどっちですな。

ま、普通はこう上手いこといかないし、亭主は池部良じゃないし、女房は津島恵子じゃないので、理想と現実はキチント見極めつつ、こういう夫婦っていいなあと映画の中だけでも夢を見ましょう。

（2011年09月08日 ）

【追記】

※本文中敬称略

■日のあたらない邦画劇場■