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ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘


■公開:1966年

■制作:東宝

■制作:田中友幸

■監督:福田純

■原作:

■脚本:関沢新一

■撮影:

■音楽:佐藤勝

■美術:北猛夫

■照明:隠田紀一 、岸田九一郎

■録音:吉沢昭一

■編集:藤井良平

■特撮:円谷英二、富岡素敬

■主演:宝田明

■寸評:

ネタバレあります。


タイトルですが「100発100中 南海の大決闘」でいいと思います。 宝田明、平田昭彦(様)、福田純、これで面白くならないわけがないでしょう?もちろん、特撮映画としてではなく、娯楽アクション映画として、ですけどね。

ヨットで遭難するという特撮映画のシチュエーションだと「マタンゴ」が有名ですが、何か食べたら変身するとかそういうのはありませんでした。

イタコに何かをお願いしているお母さん・中北千枝子がいました。大魔神の復活でしょうか?違います、遭難した息子の安否確認をお願いしているのでした。そしてイタコの回答は「生存」でした。

ところ変わって、ゴーゴー大会(ってのがあったんですよ)の優勝賞品が「豪華ヨット」だったので貧乏学生(え?ええっ!?)の砂塚秀夫当銀長太郎は果敢にチャレンジしましたがあえなく落選のようです。同じ会場にいた朴訥な少年・渡辺徹と友達になった砂塚秀夫と当銀長太郎はヨットハーバーへ遊びに来ました。

無人だと思って忍び込んだヨットで寝ていたオーナーらしき若い男・宝田明に銃で脅された3人でしたが、どうやらその男は金庫破りを生業とする泥棒のようでした。渡辺徹はイタコにお願いしていたお母さんの息子で、遭難した兄を探すためにヨットを勝手に出航させてしまいました。慌てる宝田明、砂塚秀夫、当銀長太郎でしたが、そのヨットは高名な冒険家が長期航海のために準備されていたので食糧も燃料も問題なし、しかし行く手に大嵐が迫っていました。

すでにこの映画の中では、インファント島とかモスラとかゴジラとかは当たり前の存在です。ゴジラもすっかり市民権を得ていたわけですね。

さて、ヨットは海から出てきた巨大なハサミに翻弄されて大破、4人は海に投げ出されてある島に漂着します。そこには謎の秘密基地がありました。小銃を剥き身で下げた警護の兵隊たちがウヨウヨしています。そこへ、黄色い液体を周囲に撒き散らしながら島に接近してくる船がありました。

宝田明たちは大声で救助を求めますが、どうやらその船は秘密基地に何かを運んできたようです。船長・天本英世を迎え出たのはアイパッチをしたナチス軍の人みたいな平田昭彦(様)でした。

船で運ばれてきたのは土人たちで、島でなにかの作業を強いられるようです。土人・広瀬正一鈴木和夫がカヌーで逃げ出したところまたもや海中から巨大なハサミが出てきて、なんとそれはバカでかいエビなのでした。

間抜けな顔をしてるくせに、このエビは残酷で、二人の大ヴェテラン俳優をこともあろうに角で突き刺して食べてしまいました。

エビはエビラという怪獣で、いつも島の周りをうろついているので他の船舶はこの島に近づけないのでした。絶望する宝田明、砂塚秀夫たちでしたが、もう一人逃げ出したセパレート水着(またはパレオ)の土人・水野久美を保護すると、都合のよいことに彼女は日本語が喋れました。

船で輸送されていた人たちはインファント島の人たちでした。彼らの代表者・沢村いき雄によれば、エビラ避けの黄色い汁を製造するために彼らを拉致しているのは革命組織の「赤い竹」という人たちだそうです。ちなみに組織の総裁は田崎潤なので、国粋主義的な革命に違いありません、たぶん。

お!やっぱりあの秘密基地で毒キノコ(マタンゴ=水野)とか、オキシジェンデストロイヤー(アイパッチ=平田様)とか空飛ぶ軍艦とか製造しているの違いない。

実は巨大な地下プラントでは核兵器を開発中のようです。

平田昭彦(様)たちに追跡された宝田明は、島の洞窟の底でゴジラが寝ているのを発見しました。

「ゴジラより核兵器のほうが悪い!」「ゴジラは核兵器の犠牲者だ!」それに、東宝のドル箱スタアとなったゴジラとしても市井の人々の支持を得ておくのも悪くない、とか思ったかもしれませんが、とにかくエビラを倒して、強制労働させられているインファント島の人たちを救うにはゴジラを復活させるしかありません!

渡辺徹は秘密基地の偵察用アドバルーンに吊るされて偶然、インファント島にたどり着いたところ、そこには兄・伊吹徹が島の人たちに助けられていました。パンチパーマで熱血馬鹿の伊吹徹は弟と二人で、秘密基地に舞い戻りました。

ゴジラは復活して、巨大なコンドルを焼き殺し、エビラとサッカーしたり、加山雄三のヒットソングでおなじみポーズをとったりして、観客に愛嬌を振りまいてからエビラを粉砕しました。

ゴジラが島をうろちょろしているのでインファント島の人たちは逃げ出せません。ここはモスラ(成虫)の出番です。水野久美がお祈りすると、インファイト島にいた小美人・ペア・バンビがこれに応えてモスラを秘密基地に向かわせました。ゴジラがちょっかい出しましたが、無事にインファント島の人たち、宝田明、砂塚秀夫たちを手製のゴンドラに乗せて脱出させたモスラでありました。

地下プラントの博士・伊藤久哉が自爆装置を仕掛けてしまい、このままでは島が大爆発するそうです。結果的にですが、人類を核の恐怖から救ったゴジラがこのまま島にいたのでは一緒に吹っ飛んでしまいます。ゴジラがまた東京に来たら凄く困るぞ!と「ゴジラ」第一作で大変に苦労させられた宝田明は言いますが、最後は他の島民たちと一緒に、モスラが殺されかかったのも忘れて「ゴジラ、逃げろ」と叫ぶのでした。

さすが「国民的スタア」のゴジラでは、空気が読める大人になっていたのでギリギリで海に飛び込みました。島の爆発から逃れたゴジラの無事を確認した、インファント島の人たちと宝田明、砂塚秀夫、当銀長太郎たちは笑顔でゴジラを見送りました。

高橋紀子の代役だった水野久美ですが、全編水着姿はともかく、モスラを呼び出すお祈りシーンはちょっと恥ずかしいものがありました、当然ですがプロの俳優さんですから真面目にお祈りしてました。

今回の小美人はペア・バンビです。特にコメントありませんが。

福田純監督らしいサービス精神過剰な台詞合戦がたまりません。特に、宝田明よりも年長の砂塚秀夫の名人芸は素晴らしいものがあります。「平四郎危機一髪 南海の大決闘」でもいいんじゃないかと思いますが。すでに二枚目稼業に見切りを付けたオタカの二枚目半の大活躍のほうが怪獣よりもかなり目立ってしまったのは否めない事実ですが、気にしないでお楽しみください。

2011年08月07日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2011-08-07