旅篭屋騒動 |
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■公開:1939年 ■制作:新興キネマ ■制作: ■監督:森一生 ■助監督:竹森一夫、伊丹敏郎 ■原作:依田義賢 ■脚本:依田義賢 ■撮影:広田晴巳 ■撮影助手:佐野稔 ■音楽:武政英策 ■美術:上里義三、倉田照夫 ■照明:岡本誠一 ■録音:茂原システム、武井正二郎 ■編集:大井英史 ■主演:ミス・ワカナ ■寸評: ネタバレあります。 |
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原題は「お伊勢詣り」というそうです。 お伊勢参りは江戸庶民が唯一、自由に楽しめる旅行だったらしいです。 そういうガス抜きも人心掌握には必要ということですね。 なので、この旅篭屋に宿泊しているのは身分もイロイロ、職業もイロイロ、そう、本作品はグランドホテル方式の映画ってことです(か?)、舞台が旅篭屋だけに。 お伊勢詣りの沿道にある宿場町はいわばホテル街(変なんじゃなくて、変なのもあるけど)は今日も大変な賑わいで、あっちこっちで客引き合戦が繰り広げられております。 ある旅篭屋では主人・伴淳三郎がいまにも死にそうです。 ヤブ医者・平和ラッパが断言しているので家族は全員、枕辺で今か今かと?待っています。 美人の娘・森光子には許婚・南條新太郎がいますが、長男で未だ独身の息子・玉松一郎の将来が伴淳三郎はとても心配です。 心配しすぎで病気になったのか、何事にもノンビリしている長男のケツに火をつけるべく、仮病になったのか、そこいらへんは謎ですが、とにかくご主人が病気なので、客引きをしている実川泰正もガヤガヤと賑やかな団体客は断っていました。 死に掛かっていようがどうしようが金儲けのチャンスは大切にしたい伴淳三郎は、店の前を通りかかったお笑い芸人の集団のような団体客をお迎えするように番頭さん・松葉家奴に檄を飛ばしました。 一行は賑やかにそれぞれの部屋に通されました。 新人の女中・ミス・ワカナは田舎モノ丸出しでしたが素朴で真面目でした。 口は悪いのですがそのポンポンとモノを言う元気さに、若旦那の玉松一郎はグッと来てしまいます。 「彼女となら駆け落ちしてでも(本当)一緒になって素晴らしい夫婦漫才ができるにちがいない(本当)」と玉松一郎が思ったかどうかは謎ですが、ミス・ワカナとしては身分違いが気になるところです。 ミス・ワカナの欠点はたくさんありますが、とりわけ酒癖が悪く、客の飲み残しを失敬するうちに、ぐでんぐでんに酔っ払ってしまい、宿泊客とトラブルを起こします。 ワカナが乱入した部屋の客は旗本の次男坊・浅田家日佐丸でした。 時代劇で旗本の次男坊といえば、実家暮らしでニートのくせ態度がデカイ嫌な奴、あるいは公私共にフリーランスな人を指す事が多いようですが、本作品でもその通りで怒った次男坊様はワカナをお手討ちか、または、美人の森光子を欲しいと言い出します。 しかしこの次男坊様はお笑い好きでした。 他の宿泊客と旅篭屋の従業員たちは一晩ぶっ通しでなんとか次男坊様から爆笑を取るべく演芸大会を開催します。 何が何でもセックスとマージャンで勝負をつけようとする成人漫画雑誌のような展開ですが、なかなか次男坊様の浅田家日佐丸 は笑ってくれません。 日中戦争の頃の話なので蒋介石の悪口とかで笑いをとろうとしますが今ひとつです。 相方(本当)の平和ラッパのときは惜しいところまでいきました。 いよいよ真打、ミス・ワカナと玉松一郎の登場です。 江戸時代になぜアコーディオンがあるのか?というツッコミはこの際、無視します。 次男坊様のお許しが出ました。若旦那の玉松一郎はやる気を出し、ミス・ワカナは田舎へ帰って無事にお嫁さんになるそうです。 旅篭屋のピンチを救ったお客さんたちも、他の旅篭屋のお客さんや従業員に唄で送られて笑顔でお伊勢さんへ出発しました。 当然ですが、ご主人はバリバリ元気になりました。メデタシ、メデタシ。 昭和初期の関西喜劇人図鑑として手元に置きたいと思っている人は多いはず。 さすがに、ここまで古いと誰が誰だかわかりませんが、テレビなんてありませんから、ラジオ=声以外に芸人さんの動くところが観られる本作品はウケたんじゃないでしょうか? 当時はニュースも、ファッションも、全国各地にもっとも効果的に情報を流通させる手段は映画のみですから。 会話の半分以上が亭主に対する悪口で展開するミス・ワカナと玉松一郎の漫才に、ついに次男坊様は大爆笑です。 観てるこっちは平成時代の客ですが、夫婦漫才のネタなんて不変ですから全然笑えます。 (2011年07月24日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2011-07-24