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セックス女優 残酷史


■公開:1968年

■制作:日本芸術協会 配給=ミリオン

■企画:

■監督:向井寛

■原作:

■脚本:浜多加志

■撮影:伊藤正治

■音楽:芥川隆

■美術:清水好

■照明:

■録音:

■編集:

■主演:一星ケミ

■寸評:

ネタバレあります。


芸能界のセックスは入り乱れているに違いない、女優は役をもらうためには演出家やプロデューサーや原作者に身体を売っているにちがいない、女優になりたい田舎娘はADとは知らずにパクパク食べられているに違いない。

すべてはモテない男子の妄想だよと、片付けられない芸能界裏事情レポート。

新進女優・一星ケミ(星あけみ)今、ベストセラーを原作としたヒット間違いなしのテレビドラマの主役を勝ち取るためにライバル女優の動静が気がかりです。

すでにライバルは原作者の自宅に日参しているらしい、日参だけか?手土産は身体じゃないのか?業界人と称する有象無象からの情報ほどアテにしてはいけないものは無いのですが、彼女は必死なのです。

現在、大学生の恋人またはヒモ・久保新二と同棲しているためお金が要るのです。

久保新二は顔はキレイですが生活力がありません。そのくせ、ケミに買ってもらった分不相応な外車を乗り回していたりします。

ある日、久保新二は不良仲間の学生さんたちと一緒に行きずりの女を輪姦してしまいました。

男としてのコンプレックスを抱いている久保新二は、ケミがヒット間違いなしテレビドラマの担当ディレクターに身体を売っていることに嫉妬したからなのでした。

うん、うん、純情なボーヤだこと!んなわけがあるかあ!

犯された女は「私のバックには怖い人がついているのよ!」と捨て台詞を吐きました。

けっ!生意気なババアだぜ!そんな、口からでまかせを信用するわけないじゃんか!もう、ヤケクソな久保新二であります。

生意気なのはテメエのほうだ!と言ってやりましょう。同じ寝るんでも、ヤルんでも、ケミは仕事の一環(か?)ですが、久保新二の場合は遊びです。

下半身の刹那的な快楽と、経済活動のためのソレとでは意味が違います。ていうか、ケミのほうは合意の上だけど、久保新二のほうは犯罪ですから。

ある日、女優になりたいという田舎娘がケミのマンションを訪ねてきました。

留守番していた久保新二は、カチンと来てしまい田舎娘を乱暴に追い返すと、悲しさがこみ上げてきてナサケナイ自分を嘆き悲しんで、ケミの使用済みパンティーに顔をうずめて号泣するのでした。

やはり、女の生態認証は「香り」ということでしょうか。

さて、ケミが寝たディレクターですが、こともあろうに、あの田舎娘を強姦まがいの手段で襲ってしまったので買春容疑で逮捕されてしまいます。

ケミのライバル女優はそらみたことか!と原作者に再度の猛アタック。

ケミのせっかくの努力が無駄に終わるかとおもいきや、テレビ局が裏から手を回したのでしょう、金で解決したのでありましょう、ヤリ手でヤリまくりのディレクターは電光石火で釈放されてしまいました。

そして、ケミはいよいよ大女優の仲間入り目前です。

希望と野望に燃えるケミ、過剰なマスカラと付けマツゲが鬱陶しいくらいですが、瞳はキラキラです。

しかし、世の中、そうはたやすく問屋が卸しません。

久保新二が襲った女は、本当にヤクザ・三重街恒二の情婦でした。久保新二はヤクザに拉致られました。

「私のバックにいる怖い人」というのは職業のみならず、顔も超怖い人だったのですね。

さて、久保新二がケミのヒモだとわかったヤクザのみなさんは、ケミも誘拐してしまい、彼の目の前で犯してしまうのでした。

目には目を、歯には歯を、輪姦には輪姦を。

ケミは美形の久保新二の目の前でブサイクたちに犯されるのも我慢しました、みんな久保新二の命を救ってもらうためです。

女の身体でオトシマエつけるなんて、やっぱサイテーな!コイツ。

相手はプロなので二人の命までは取りませんが、ボコられた久保新二とケミは解放されます。

久保新二は「1からやり直そう!」とケミに言うと、二人は仲良く街を彷徨うのでありました。

いやいやいや、1からじゃないだろう、すでにマイナス100くらいからのスタートだと思うぞ、甘いなあ久保君。

一星ケミはスタイルはヨシですが、巨乳じゃないのでどうやらセックスシーンは吹替えなのではないでしょうか?

腋毛をフサフサさせながら、前バリでダンスを踊る一星ケミの隠微さはただ事ではありません。

そのものズバリを見せるよりも、見せないワイセツさというのはこういうことなのですね、いやはや勉強になりました。

セックス女優という扇情的なタイトルですが、まるで新東宝映画のようでした。

2011年07月03日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2011-07-03