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女給


■公開:1955年

■制作:東映、藤本プロ

■制作:藤本真澄

■監督:千葉泰樹

■原作:

■脚本:猪俣勝人

■撮影:西川庄衛

■音楽:仁木他喜雄

■美術:田辺達

■照明:銀屋謙蔵

■録音:大谷政信

■編集:

■主演:越路吹雪、杉葉子

■寸評:


藤本プロの映画は、いつもいつもグジグジ、ウジウジしている女性映画なので性に合いませんが、東映映画との組み合わせは如何なものか?という興味本位だけで観て、途中で寝ました。

「女給」それは放送するときには要注意な用語、代替用語としては「ホステス」あたりで。 なんでダメかって言うのは本作品を見ればわかるわけですが、差別的な表現だということは「女給のくせに」「女給なんかに」あたりの台詞が証拠です。

会社勤めをしている杉葉子は同僚の伊藤久哉と近々結婚の予定ですが、結婚資金を得るために夜のアルバイトを始めます。当然ですがお母さん・英百合子には秘密です。お店を紹介してくれたお友達はすでに店を辞めていて途方にくれる杉葉子ですがママ・一の宮あつ子と先輩ホステス・越路吹雪にリードされつつ、ウブなお嬢さんから徐々に夜の女になっていきます。

いくら資金稼ぎといっても他の男に色目を使ったり、尻を撫でられて「きゃっ!」とか、恋人にそんなことをさせたいと思う男はいないと思いますが、伊藤久哉も同様です。まるでヒモじゃん?と内心思っていますが、コイツも案外ふがいないのと、杉葉子が強情なので辞めさせることができません。それはひとえに、家を出てしまった長男の替わりに、専業主婦の英百合子の面倒をみている杉葉子の状況が影響しております。

ようするに家にいたくないけど、お母さんを遺棄できない、そういうことです。お父さんが亡くなる前はわりとセレブだったせいか、お母さんに生活力はありません。さりとて、長男夫婦には母親を引き取る甲斐性もない。

伊藤久哉に母親の面倒まで看させるのがイヤな杉葉子ですが、夜の商売は案外とキツイので昼間の勤めは休みや遅刻が多くなります。

一の宮あつ子の愛人で店の実質的な経営者は不動産業をしている青年実業家・三条雅也(小柴幹治)。彼は公共工事の用地買収で一山当てたいので建設局の役人・徳大寺伸を杉葉子にあてがいます。しかし杉葉子はまだバージンらしいので、ガードが固い。そこで三条雅也はドライブに誘ってホテルへ連れ込み、そこで杉葉子のバージンを奪ってしまうのでした。

傷モノになった杉葉子は捨て鉢になり、こうなったら徳大寺伸からたっぷり金を巻き上げなくては!切替の早さはさすがですが、本来の目的は伊藤久哉との結婚資金を稼ぐため、何時の間にやらその目的は雲散霧消のようです。

一方、戦争未亡人である越路吹雪は一人息子・設楽幸嗣と二人暮らし。ふとしたキッカケで亡夫の戦友・上原謙と再会します。彼には妻も娘・藤田淑子もいましたが、妻が病弱であることと、実は越路吹雪のことが「ずっと好きだった」ので、店に度々客としてやって来るようになります。

杉葉子と越路吹雪の二人の女性のドラマで映画は進行します。一の宮あつ子、杉葉子、次々と商売モノに手を出す三条雅也。杉葉子はついに徳大寺伸の子供を身ごもってしまいます。フシダラな娘をなじる英百合子にブチギレた杉葉子は「お母さんなんか死んじゃえばいいのに!」とまで言い放ちます。

かつて日本映画の中で、母親に「死ねばいい」とまで娘がぶちまけるシーンはあまり見たことが無いので、まるで将来の介護問題を暗示しているようなショッキングなシーンだったと言っておきます。

徳大寺伸は三条雅也との取引に応じましたが、杉葉子へ渡した金も含めて汚職事件の犯人として逮捕されてしまいました。青春やらなんやらを犠牲にしてまで得た金を証拠物件として没収された杉葉子の怒りが怒髪天を突きます。贈賄側の三条雅也も逮捕されますが、じきに釈放されてしまいます。徳大寺伸から巻き上げた小切手を取り返そうとした杉葉子は、刑事にタンカを切りますが相手にしてもらえるはずがありません。

水商売を廃業して正業に就こうと決心した越路吹雪は美容師の免許取得に励みますが、上原謙との不倫関係は継続。しかし、上原謙の娘の家庭教師をしている大学生から、お父さんが家に帰ってこないので娘が寂しがっていると説教されてしまいます。

上原謙がくれた美容院の開店資金は、会社の金を横領したものでした。

越路吹雪は上原謙の窮地を救うために、三条雅也の誘いに応じて身体を許してお金を得ます。

三条雅也の「浮気」にキレた一の宮あつ子は越路吹雪をなじりますが、杉葉子から、三条雅也の下半身が暴走族なのはオマエも公認だろうが!と痛いところを突かれた一の宮あつ子と杉葉子が取っ組み合いのケンカを始めてしまいます。店の常連の漫画家・山形勲が止めに入りましたが、キャットファイトの定番は髪の毛のツカミ合いです。元陸上部の一の宮あつ子と、スタイルバツグンの杉葉子の戦いは期待以上の熱戦でした。

ヴァイタリティ溢れるホステスに成長した杉葉子、カタギの美容師を目指す越路吹雪。守るべきものが違うので、人生の選択肢は異なりますが、二人とも徳大寺伸と上原謙の人生を狂わせて捨てて、次のステップに進みました。そして一の宮あつ子も負けてはいません。今日も第二、第三の杉葉子が店にやってきます。

グズグズしているだけの伊藤久哉と上原謙、そして徳大寺伸も含めて社会的地位や信用を失うと心が折れてしまう男子と違って、女子の立ち直りは実に早い。やはり子宮を持ってる女性のほうが圧倒的に強いのであるなあと実感した次第です。

山形勲、上原嫌の同僚・岩城力(力也)、流しのギター弾き・潮健児くらいしかめぼしい東映の俳優はいませんので、東宝映画っぽい東映映画です。

上原謙の娘を演じた藤田淑子は後に「一休さん」の声優になる藤田淑子の子役時代。

2011年05月29日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2011-05-30