愛のきずな |
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■公開:1969年 ■制作:渡辺プロダクション、東宝 ■制作:渡辺晋 ■監督:坪島孝 ■原作:松本清張 ■脚本:小川英、坪島孝 ■撮影:内海正治 ■音楽:広瀬健次郎 ■美術:育野重一 ■照明:高島利雄 ■録音:指田漸 ■編集:武田うめ ■主演:藤田まこと ■寸評: |
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原作は「たづたづし」らしいですよ。 冴えないサラリーマン・藤田まことが、雨宿りをしていた美女・園まりを下心全開で送りオオカミをしたのがすべての始まりでした。 藤田まことは会社の重役・山茶花究の娘・原知佐子の婿です。娘が一人います。そんな状況なので家では奥さんにアタマが上がりません。園まりはアパートで一人暮らしです。 園まりと彼女のアパートで結ばれた藤田まことは接待だとウソをついて、彼女とデートを楽しみます。しかも彼女は、結婚や金銭や子供を要求しません。ただ、一緒にいるだけで満足だと言います。藤田まこと、こんなに美人で都合のいい愛人があっさり持てるなんて・・・そんな上手い話があるわけもなく、彼女が現在一人身なのには、理由がありました。 実は彼女には傷害事件で現在、服役中の亭主・佐藤允がいます。これは、怖い、見た目も怖いし、その、傷害事件の理由というのが、女房の浮気相手をボッコボコにしたというもの。彼女にゾッコンな佐藤允に対して、園まりは、すべて事情を話してちゃんと別れるというのです。あせりまくる藤田まこと。いくら園まりが「説得します!」と言っても、その結果がついてこないのはすでに明白です。 ちなみに藤田まことが勤務している会社はスキャンダルに敏感で厳格です。不倫がバレて左遷させられる同僚・堺左千夫の送別会は実に冷ややかなものです。しかし、藤田まことは重役である義理のお父さんから絶大な信頼を寄せられており、政治家・上田吉二郎へのワイロや付け届けの偽装工作も任されています。 藤田まことは園まりをお泊り旅行に誘い出し、田舎の山中で彼女の首を絞めて殺します。しかし、現場から離れる途中、彼はバスの停車場で、偶然とおりかかった顔の怖いおまわりさん・広瀬正一にばっちり顔を見られていました。さらに、妻の原知佐子に「安物」呼ばわりされた指輪を盗み出して園まりにプレゼントしたのですが、その指輪が死体の指にはまったままでした。 翌日、その翌日、園まりの死体は発見されていないようです。新聞記事にも出ません。彼は安心します。身元不明の死体になれば、彼の身分は絶対安全です。 しかし、会社に佐藤允が乗り込んできました。出所して園まりの日記を発見したところ、浮気相手のイニシアルと会社名だけがわかったので、やってきたのです。応対した藤田まことは、適当に理由を付けて佐藤允を追い返します。 ある日、藤田まことの会社が観光開発のために、殺害現場付近のプロモーションビデオを撮影しに行ったところ、そこに園まりが写っていたのでした。彼女は記憶喪失状態で発見されており、今では地元の喫茶店で、フリーターの青年たち・西条康彦、岩本弘司、鈴木和夫のアイドルになっていました。 藤田まことは彼女の記憶喪失が本物かどうか確かめに現地へ。そこで、昔と変わらずきれいで素直で、かつ、記憶がなくなっている彼女と再会し、このまま放っておいて記憶が戻ると困るというもあって、東京へ連れて行くことにしました。しかし、その事実は奥さんである原知佐子の知るところとなります。夫婦喧嘩を目撃した園まりはひそかに、東京を去ります。藤田まことは、会社がワイロとして用意した現金を横領して彼女を追います。二人が汽車に一緒に乗っているところを、これまた超偶然に、佐藤允が目撃。園まりは佐藤允を思い出せません。 汽車のデッキで、怒り心頭の佐藤允が藤田まことをナイフで刺します。しかし、乱闘の最中、佐藤允はデッキから転落。重傷の藤田まことは園まりに助けを求めるのですが、あまりのショッキングな光景に過去の記憶がフラッシュバックしてしまい、園まりは藤田まことの手を放します。 またもや田舎の駅は土砂降りです。美人の園まりが一人でたたずんでいると、そこへ車が通りかかります。 すべての過去を結果的に、清算できてしまった園まりが、藤田まことと出会った同じシチュエーションで、再びにっこりと微笑んで自動車に乗り込むところはブラックユーモアの風情でした。 最初は左とん平とかが出てきたので、喜劇なのかと思ったら、喜劇俳優が活躍するホラー風味のミステリー。 藤田まことの部下で勝部義夫が、珍しく台詞多数で、ちゃんとお芝居します。ほかに駐車違反を取り締まる警官が関田裕、東宝大部屋フェチには嬉しい映画です。 園まりがお人形さんのようなので、巻き込まれる血なまぐさいクライマックスとのギャップはかなりなものでした。佐藤允が純情でクソ熱いキャラというのは定番、しかしながら若い妻の浮気に正体なくすようなふうにはとても見えず、分別も男臭さもありすぎです。 (2011年05月01日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2011-05-01