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宇宙大戦争


■公開:1959年
■制作:東宝
■制作:田中友幸
■監督:本多猪四郎
■原作:丘見丈二郎
■脚本:関沢新一
■撮影:小泉一
■音楽:伊福部昭
■美術:安倍輝明

■照明:石川緑郎

■録音:三上長七郎

■特撮:円谷英二、荒木秀三郎、有川貞昌、渡辺明、向山宏、岸田九一郎
■主演:池部良
■寸評:


宇宙人や怪獣が日本を攻撃してきたときは、藤田進か田崎潤が出て行かないと苦戦する。高田稔じゃ、ちと迫力不足。本作品には怪獣は出てきません、宇宙人対地球人の「人」同士の対決です。

宇宙ステーションでは、怪電波により通信が中断されて困っています。ステーションの隊員・児玉清もお手上げです。さらには、通信妨害だけでなく、ステーションは攻撃を受けて爆破されてしまうのでした。

地球上では、重力を自由にコントロールできる謎の怪光線により、鉄道列車が谷底に落下したり、巨大な船が陸に上がってしまったり、世界各地でトンでもない事件が多発します。

それは宇宙人の仕業です。

この宇宙人はなかなか頭がよくて、悪がしこいのです。社会的名声の高い博士・ジョージ・ワイマンの頭に機械を埋め込んで、操り、自分たちを攻撃する兵器を破壊させようとします。異星人の脅威から地球を防衛する熱線砲を開発した科学者・千田是也池部良土屋嘉男は、ジョージ・ワイマンをマークしていた警部・村上冬樹とともに彼を逮捕しようとしますが、宇宙人は冷酷非情なので、正体がバレて用済みとなった博士を消滅させてしまいます。

さて、次に宇宙人たちがマークしたのは土屋嘉男です。

彼は熱線砲開発チームのメンバーですから破壊工作員としては適役なのです。

決して、土屋嘉男が平素から、撮影に来ないでどっか出かけちゃったりして、行動が勝手気ままなため多少のことでは周囲が怪しまないだろう、ということではありません。

土屋嘉男、池部良、千田是也、レオナルド・ウェルチ桐野洋雄、そして池部良の恋人・安西郷子も一緒に、月の裏側にある宇宙人の基地を粉砕するために、宇宙ロケットに乗って出発します。未だに土屋嘉男が改造されて操られていることは知られていません。

重力が少ない月面上を、ペラペラの宇宙服で俳優達がフワフワ歩くところはかなり間抜けですが、よくもまあ池部良がやってくれたよなあと、そういうの面白がる土屋嘉男ならまだしも。

さて、宇宙人の基地を熱線銃で攻撃している最中、土屋嘉男は2機あるロケットのうちを1機を爆破してしまいます。

ヘンテコな宇宙人の雑兵たちに安西郷子が誘拐されそうになったので、俄然、やる気を出した池部良は、ほぼ肉弾戦で宇宙人たちを蹴散らします。敵の基地に大打撃を与えて戻ってみるとロケットが足りません。コントロールが解けた土屋嘉男は責任を感じて、一人、月面上に残り、追ってきた空飛ぶ円盤を攻撃し続けてロケットの脱出をサポートして憤死するのでした。

宇宙人はナタールと言うそうです。その、上層部の正体はよく分かりませんが、下っ端はヘンテコなマスクをかぶって、ヘンテコな動きをする役立たずなので、そんなすごい兵器を作れる能力があるなら、優秀な戦闘ロボでも作ればいいのになあと思いました。

しかし、宇宙人も黙っていません、地球に総攻撃をかけることにしました。世界中が思想信条、政治体制、宗教の違いを乗り越えて一致団結します。アメリカ、ソ連、中国、それと日本が協力して熱線砲をパワーアップ、宇宙人を迎え撃つためにロケット隊・野村浩三、等が編成され本来なら「あのロケットに人を乗せることになろうとは・・」という片道切符な任務に就くのでした。

円盤=宇宙人とロケット=地球人の空中戦、大変な激戦の末についに宇宙人は回復に時間かかる大打撃を受けて地球攻撃をあきらめるのでありました。

確かに、特撮映画はミニアチュアや怪獣が主役なのかもしれません。ゆえに、俳優を生業とする人たちには、生身の俳優が重用されないということで、これらの類の映画に出演することを軽んじる人がいるのもむべなるかなと思います。

が、しかし。生身の演技には、この、荒唐無稽な諸々を現実と繋ぐ重要な役割があるので、そこに妙味を見つけ出した俳優、土屋嘉男こそが特撮映画の勝利者であると言えましょう。

ま、でもそこは良ちゃん、安西郷子とのママゴトのようなデートシーンで醸し出す、特ヲタには無縁の二枚目全開的なロマンスムードは土屋嘉男にはゼッタイに出せないので、双方、互角の戦いだったと言うことにしておきます。

2011年02月06日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2011-02-06