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ネオンくらげ


■公開:1973年

■制作:東映

■企画:矢部恒、寺西国光

■監督:内藤誠

■原作:

■脚本:内藤誠

■撮影:飯村昌彦

■音楽:三上寛

■美術:藤田博

■照明:大野忠三郎

■録音:内田陽造

■編集:田中修

■主演:山内えみ子

■寸評:

ネタバレあります。


東映東京の夜の街映画に出てくる女子たちは概ねかなり逞しいわけですが、この映画の主人公である山内えみ子は、彼女くらいの才覚と度胸があれば身体売らなくても、スタバのバリスタでも充分に成功できるんじゃないかとすら思われるくらいのシッカリ者。

さて、木賃アパートで冴えない彼氏・添田総司と同棲している山内えみ子は、セレブ御用達と思われる喫茶店でバイトしてます。

1杯1万円もするブランデー入りのコーヒーをオーダーしたお客様・片山由美子はどう見ても店に商売しに来たコールガールにしか見えませんが、山内えみ子はついうっかり、彼女の高級そうなスーツにコーヒーをたっぷりと飲ませてしまったのでした。そりゃ、怒るわ、片山由美子、しかし山内えみ子はギャーギャーうるさく文句言われたのに逆ギレしてしまい、そのまま退職してしまったのでした。

夜の街をフラフラしていた山内えみ子は自称カメラマンでキャッチバーのリクルーターを兼業している荒木一郎にスカウトされます。しかし、その手口は二束三文で雇ったチンピラに山内えみ子を襲わせて、すんでのところで荒木一郎が白馬の騎士になってかけつけるという古典的な手口です。

そんなステキな荒木一郎のヌードモデルをしたついでに一夜をともにした山内えみ子は身体でお金を稼ぐ味を覚えてしまったのでした。荒木一郎が斡旋したのは美人のマダム・川村真樹が経営しているキャッチバーでした。

アコースティックギターで渋い歌を歌う(ただし声は三上寛)添田総司と心ならずも別離した山内えみ子は、そのまま川村真樹のマンションに住み込み、荒んだ性生活でレズビアンにも目覚めてしまった川村真樹のお相手をしつつ、街に出てキャッチガールとして働くのでした。

ただでさえ鼻の下が長い感じの坂本長利を、マダムの店に連れ込んで高級なお酒をたくさん飲ませてから、いざ本番というのに、バックレてダッシュする山内えみ子、まさに鬼畜の所業であります、坂本長利としては。しかしながら、彼女の資本は身体ですから、貴重なリソースを無駄にしないというビジネスの基本とも言えます。

いや、むしろ詐欺だけど。

街で偶然再会した添田総司はあいかわらずイジイジしていましたが、やっぱり彼のことが忘れられない山内えみ子であります。

順風満帆と思われていたビジネスも、エロ酔客として美味しいお客さんだと思って山内えみ子が誘った、小松方正が実は風紀係の刑事さんだったので、彼女は逮捕されてしまいました。捜査のためとは言え、山内えみ子の身体を触りまくった小松方正、業務熱心と申しましょうか、単なる役得と申しましょうか。

荒木一郎にもらい下げをしてもらった山内えみ子は、こんなヤバイ商売に見切りを付けた荒木一郎と、こともあろうに川村真樹のマンションでセックスします。そこへ、ある意味、荒木一郎の元彼女である川村真樹が帰宅、男を寝取られた上に彼女まで寝取られて、Wの怒りに燃えた川村真樹と山内えみ子のキャットファイトが始まりました。

髪の毛つかみのバトルに割って入った荒木一郎が川村真樹に刺殺されてしまうと、ケロリとした山内えみ子は「関係ないもんね」の捨て台詞を残してそそくさと出て行きました。

添田総司のもとへ戻った山内えみ子は、今度は彼をヒモにして、再び夜の街でお金を稼ぐようになりましたとさ。

身体を売り物にすることをポジティブに捉えて、病身の母親思いの添田総司に純愛だった山内えみ子の立ち直りの早さは驚くばかりであります。「身体一つですむ事ならなんでもするわよ」という天晴れなモチベーションの原因が愛ってのがまたステキであります。

山内えみ子は演技以前でも、周りを荒木一郎、ロマンポルノの川村真樹、軍隊時代の慰安婦とのセックスを脳内再生して燃える田中小実昌(は、ともかく)、坂本長利らが固めているのでそれはそれで映画として成立していることと、三上寛のPVだと思えばそれなりにゴージャス。

2011年11月27日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2011-11-28