煉瓦女工 |
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■公開:1940年(公開:1946年) ■制作:南旺映画、松竹(配給) ■制作: ■監督:千葉泰樹 ■原作:野沢富美子 ■脚本:八田尚之 ■撮影:中井朝一 ■音楽:深井史郎 ■美術:小池一美、渡辺亀菊、宇野勇 ■照明: ■録音:富士スタジオ ■編集: ■朝鮮語指導:安英一 ■主演:矢口陽子 ■寸評: ネタバレあります。 |
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制作(1940年)から6年後(1946年)つまり戦中に制作されて、戦後に公開された映画。 矢口陽子が住んでいる長屋にはまことに雑多な人々が住んでいます。しかも、激安家賃が売りの長屋なので店子はもれなく貧乏人。 矢口陽子のお父さん・三島雅夫は腕の良い大工ですがいい加減な仕事が大嫌いな頑固者、母親・三好久子はマッチ箱のラベル貼りの内職をしていて、カワイイ弟・小高たかしもいます。 あっちこっちの貧しい家庭から娘達を養女に迎え入れて彼女達を助平な男のところへ派遣して稼がせている家の娘は矢口陽子と同じ学校へ通っていました。教室で女子は二人だけだったので矢口陽子は彼女と仲良しでした。 しかし両親が商売を拡大したい(派遣業だけでなくラブホみたいのを経営するらしい)とのことで、長屋にケチをつけて出て行ってしまったので矢口陽子は学校で一人ぼっちになりました。 両親・徳川夢声、水町庸子が旅回りの芸人をしていた家の娘の悦ちゃん(江島瑠美)は美人で感受性の強い女の子、声はコブシが回るくらいの渋い声ですが捨て猫を可愛がる孤独な少女でもあり、彼女もまた矢口陽子とは大親友です。 しかし彼女は日本中をあっちこっち旅していたので自分の名前も書けません、学校へ行ってないからです。矢口陽子は授業料がタダで、貧しい家庭の子供が通う学校へ悦ちゃんを誘います。 同じ長屋に子だくさんの家がありましたが、お母さん・赤木蘭子がヨイトマケの重労働をしないとやりくりできないくらいお父さん・小澤栄(小沢栄太郎)には甲斐性がありません。ここの家の男の子・小高まさるは幼い弟妹の子守や家の手伝いをしているので、学校で爆睡してしまいますが、先生・信欣三はやさしく見守るのでした。 徳川夢声は今では流しをしていましたが日銭が入らず、最後の勝負とばかりに河原で浪花節独演会をしますが、やはりそこでもお金を払う聴衆はほとんどいなかったので、とうとう一家は夜逃げをしました。 空き家になったところへ新しく入ってきたのは、姉御肌の母・藤間寿子、その息子・松本克平、その妻・清川虹子、松本克平の弟で色男の宇野重吉でした。 友達が次々といなくなり、教室に女子が一人だけになってしまい寂しくなった矢口陽子でしたが、ある日、学校に転入生がやって来ます。彼女・椿澄枝は朝鮮から来たばかりで日本語もまだろくに話せませんが、キモチの優しい少女でした。 矢口陽子は椿澄枝と積極的に仲良くしました。 椿澄枝の家は朝鮮人の長屋の中にあり、スクラップ屋をしている両親・滝沢修、原泉子(原泉)は娘の友達になってくれた矢口陽子を暖かく迎えます。 赤木蘭子は体調が悪いのに無理して働いたためヨイトマケの現場で倒れてしまいました。 遊び人の小澤栄はこんなときに不在、その間に赤木蘭子の容態はみるみる悪化してしまい、かけつけた三好久子らに見守られて「子供だけは頼む」と言い残して死んでしまいました。 女房の死も知らずにフラフラ帰ってきた小澤栄は、取り返しのつかない状況に背中で号泣するのでした。 矢口陽子と友達になった椿澄枝が学校を辞めるそうです。 ガッカリした矢口陽子でしたが、退学の理由が職工さんとの結婚だと聞いた彼女は大いに祝福し、朝鮮式の結婚式にも呼ばれました。 イロイロと悲しいこともありますが、心を入れ替えた小澤栄がガッツリ働くようになったので子供たちも明るく逞しく育っていくのでした。 こういう映画は当時の風俗を監督の美意識で切り取って残している貴重な文化財として文科省はただちに表彰しなさい。 制作されてから公開まで時間がかかったのは検閲によるそうですが、朝鮮人との交流の場面でしょうか? 大人たちは、朝鮮人たちは汚いんじゃないか?とか面倒くさい風評に惑わされたりするんですが、子供たちはそういうのを乗り越えるピュアな力を持っているんだと、今観ればすごくいいシーンだと思います。 それとも風俗業をやらされてる娘達が歌う、映画の中に出てくる流行歌を子供たちに教えてやろうとするのがダメなんでしょうか? こういうところも当時の事情が垣間見れて貴重だと思われます。 松本克平の妻を演じた清川虹子ですが、ヴァイタリティ溢れるキャラクターは当時からほとんど完成形と言って良く、矢口陽子の母親に両替だとウソついてちゃっかり借金して、しかも堂々と踏み倒すところは、概ね暗澹たる気持ちにさせられるエピソードの数々の中で唯一、爆笑ゲットでした。 ところで、主演の可憐で美人な少女を演じた矢口陽子は後に黒澤明監督と結婚します。映画監督ってモテるんですなあ、ま、見方を変えれば商売物に手を付けたと言えないことも無いですが。 (2011年10月30日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2011-10-30