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キングコングの逆襲


■公開:1967年
■制作:東宝
■製作:田中友幸
■監督:本多猪四郎
■助監:
■原作:
■脚本:馬淵薫
■撮影:小泉一
■音楽:伊福部昭
■美術:北猛夫

■照明:高島利雄

■録音:吉沢昭一

■編集:藤井良平

■特撮:円谷英二
■主演:宝田明
■寸評:


この映画を観て、天本英世のイメージが固定してしまった人は多いと思う。

本作品から学べる最大の知識はコレだ、天本英世は何を演ってもヤバイ、意味わからんけど、察してくれればいいです。

怪獣が流血することは好ましくない、子供に刺激の強いものを見せてもロクなことにならん。それは、とてもよいポリシーだと思うが、じゃあなにか、人間はいくら死んでも、流血してもいいってのか?とすら思ってしまうのが本作品。

北極に埋蔵されているレアな鉱物を発掘するために何を好き好んでマッドサイエンティストのドクター・フー・天本英世に依頼したアジアの小国から来たエージェント、マダム・ピラニア・浜美枝。ドクター・フーは巨大なゴリラ型ロボット、メカニコングを建造、しかし鉱物が発する強烈な磁力にあっさりとエンスト。「それくらいのこと予見できねえのかよ、この馬鹿博士!」くらいに怒った浜美枝はスポンサー契約を切ろうとするが、他の国に横取りされるのも困る。ドクター・フーは機械がダメなら生身の巨大猿を使おうと提案する。

油田調査をしていた国連の潜水艦、艦長のローズ・リーズン(声・田口計)、自衛官の宝田明、お色気以外に赤チン塗るくらいしかできそうもない女医のリンダ・ミラー(声・山東昭子)が発見した南の島には伝説のキング・コング(中島春雄)がいるらしい。前のときのようにケバイ爺さん(あのときは小杉義男)が出てくるかと思いきや、ホームレスみたいな小柄なジジイ・沢村いき雄が今回は、キングコングへの案内役。

例によって例のごとく、どんくさいリンダ・ミラーがゴロザウルスに襲われそうになっているときに、キング・コングが出現。子供向けの映画では如何なものかと思うほど、ゴロザウルスをフルボッコにして倒した後、リンダ嬢をやさしく抱き上げて、しげしげと眺めるコングさん。

そこへ、自分が目をつけた女をエテ公なんかにとられてたまるかと思ったかどうかしらないが、いや、たぶん違うけど、宝田明がかけつけて、潜水艦へ一目散。コングは潜水艦をお風呂のおもちゃのように揺さぶるが、リンダ嬢に説得されて中断。ドクター・フー一味はコングを操るにはリンダ嬢が必要と考え、ニセの命令を出して、宝田明たちを誘拐する。

以下、催眠装置で誘導されたキング・コングだったが、途中で装置を叩き壊してしまいとっとと脱出、一路、日本の東京へ。

馬鹿となんとかは高いところへ登る。メカニコングとキングコングは大勢の野次馬(最前列に中島春雄)と、自衛隊とか警官隊が見守る中、途中でリンダ嬢を助けたりしながら、実際に救助したのはレンジャー部隊と宝田明だが、メカニコングを追ってズンズン東京タワーへのぼり、メカニコングを地面へ叩き落したコング。

あわてて逃げ出すドクター・フーの船をイルカのようなスピードで追いかけたキングコングは、またもや船をぶっ壊しにかかり、大揺れの船内で一味は壊滅。キングコングはリンダ嬢の呼びかけに今度は一度も振り向かず、とっとと故郷の島を目指して去っていくのでありました。

何が凄いってば、浜美枝なんてアッサリ射殺されるし、ドクター・フーに至っては船が傾いてスリップしてきた巨大な机に腹を挟まれて大量血ゲロまみれで死ぬのである。おいおい、東宝ドンパチアクションだってあんな惨たらしい死に様は出てこなかったぞ。っつうくらいの、アレだ。

しかし、自衛隊のエライ人が北龍二だけってのは物足りない。そのかわりと言うわけではないだろうが、ドクター・フーの一味は凄いぞ。田島義文黒部進伊吹徹桐野洋雄草川直也鈴木和夫、それと堺左千夫までいる。東宝の大ヴェテランからスタアになりそこねたニュータレントまで、ある意味ゴージャス。

リンダ・ミラーはいかにもアメリカの中産階級のお嬢さんという顔立ちで親しみやすかったが、声が山東昭子だったので、小賢しいウザったいキャラになってしまったのは気の毒としか言いようがない。

2010年11月21日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2010-11-23