君が若者なら |
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■公開:1970年 ■照明:平田光治 ■録音:東京スタジオセンター |
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集団就職、中卒の地方の若者たちが都市部で単価低い労働力として活用される制度。 つまりは、アフリカの原住民が先進国へ買われてきて貧乏くじをひく構図とそんなに変わらないような気がするのであるが、どうだろう。 集団就職の同期生、石立鉄男、前田吟、河原崎長一郎、林秀樹、峰岸隆之介(峰岸徹)は、就職先の工場が潰れてしまい、いつか自分たちのトラックを買って、独立しようと夢見ている。しかし、数年後、彼らの運命はバラバラになってしまう。 運送会社に再就職できたのは、石立鉄男と前田吟のみ。二人はそこで、念願の自家用車=トラックを手に入れて、独立採算でバリバリ稼ぐ。 河原崎長一郎は、海が怖くて漁師になれず、悪い仲間に唆されて押し込み強盗に加担し、あげくは一人逃げ遅れて守衛の頭をクリーンヒットしてしまったために現在、服役中。 林秀樹は水商売に身を投じたがエロいホステス・太地喜和子とデキちゃった婚。今では無職のヒモ生活で、それでもセックスだけはしてるから、また子供ができちゃって、出産費用の捻出すらままならない。 吃音で無口な峰岸徹は、ボクシングの選手になろうとするが、試合で惨敗。しかし、仲間達はその試合の客席で口汚い野次を飛ばす、東映のピラニア軍団のような連中・室田日出男、日尾孝司らにつかみかかって大乱闘。真面目で純粋な峰岸は仲間の友情に感動し、なんとかトラック購入の資金を稼ごうと焦り、スト破りのバイトをしていて不慮の死を遂げてしまう。 石立鉄男と前田吟は、順調に商売をしていて稼ぎも会社でトップクラス。毎月の月賦の返済も、ちょっとかわいい銀行の窓口嬢・藤田弓子に笑顔で迎えられる。しかし、景気が悪い、会社は給料の支払も滞りがちでストライキ中。社長・金井大に泣きつかれた石立鉄男は前田吟の制止を振り切って、スト破り。トラックは会社の同僚ドライバーの恨みを買って落書きだらけにされてしまう。 出所間近い河原崎長一郎の母親・荒木道子と妹・寺田路恵が田舎から出てくる。前科者が田舎で暮らしていくのはツライ、都会ならなんとかなると、田畑売り払っての上京である。 男二人のアパートに、林秀樹が金の無心にやってくる。渋々金を貸す石立鉄男と前田吟。 この頃から二人の思惑にズレが生じはじめるのだ。峰岸徹の姉・小川真由美と一夜をともにした前田吟。その頃、石立鉄男は寺田路恵とデキていた。 河原崎長一郎が脱走した。刑事・下川辰平が訪ねてきた。河原崎長一郎とかかわりになることを恐れる石立鉄男、彼の身を案じる前田吟。二人のズレはこの時点で決定的となる。そして、河原崎がアパートに逃げ込んできて、おまけに負傷しており、警察へ走ろうとする石立鉄男、彼の望みを叶えてやろうとトラックを奪って走る前田吟。 みんなが貧乏だったあいだは仲間の結束も固かったのだが、やがて貧富の差が生じ、家庭を持つなりなんなりして守るべきものができ、先を考える余裕と必然が、それぞれの進路を選ばせてしまう。 河原崎長一郎を警察に通報しようとした石立鉄男の前から寺田路恵は去っていく。市民の義務としては当然のことだが、保身のために仲間を売るようなヘタレは嫌い、特に自分の兄貴を売るような男は嫌い、てか、寺田路恵の存在が原因なのだが、そんなの関係ないわ!彼女は、最後まで兄貴を守ろうとしてトラック丸焼けにした前田吟のもとへ。 打算的な生き方は若者らしくないのである。 君が若者なら、投資対効果で人生を選択してはいけないのである。 君が若者なら、挽回できる体力と気力と時間があるからである。 残念ながら、オジサンやオバサンになるとそうはいかないのである。 「トラックが焼けてよかった」と言えるうちは、まだ若者だということである。 四十過ぎたら、んなこたあ口が裂けても言えません。そんな、はた迷惑なこともできません。できないことが増えていく、それがオトナになるってことなんだな。 ところで、なんで室田日出男と日尾先生が出てくんのよ、これ松竹の映画じゃないの?とか余計な心配。 (2010年11月14日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2010-11-15