「日本映画の感想文」のトップページへ

「サイトマップ」へ


青島要塞爆撃命令


■公開: 1963年

■製作:東宝

■製作:田中友幸

■監督:古沢憲吾

■脚本:須崎勝弥

■原作:

■撮影:小泉福造

■音楽:松井八郎

■美術:北猛夫

■録音:伴利也

■照明:金子光男

■編集:黒岩義民

■主演:佐藤允

■寸評:

ネタバレあります。


第一次世界大戦のときの話である。藤田進と田崎潤が出てきただけで太平洋戦争の話だと思うのは間違いである、わざわざ言わなくてもいいか。

まだ飛行機は兵器としての能力を疑われていた時代、もちろんそれは日本のことで、敵国・ドイツではすでに優秀な飛行機が開発されていた。これは、兵器としての飛行機の重要性を訴求することに心血を注いだ人たちの話である・・・帝国海軍版「プロジェクトX」。

青島(チンタオ)にビスマルク要塞を建設したドイツ軍の鼻っ柱を叩くために、陸軍と海軍が攻撃に向うが難攻不落。新兵器の開発を担当している少佐・池部良は、フランス製の飛行機の兵器としての利用価値をアピールする絶好の機会だと張り切り、長官・藤田進に意見具申。パイロットの夏木陽介加山雄三佐藤允、そして補欠の伊吹徹は輸送船で膠州湾へ向け出発。

日本軍が占領していた霊山島の基地から再度、初回の攻撃は、まだ飛行機用の爆弾が開発されていなかったため、しかたなくピストルくらいしか搭載できず(弾が途中で風に吹き飛ばされるだろう、それじゃ!)、そのため敵戦闘機との空中戦であっさりと一機撃墜されてしまう。飛行機の利用に否定的な艦隊参謀たち・清水元野村浩三大友伸に嫌味を言われてしまう。

赤いレンガをヒモで縛って頃合を見計らってヒモを包丁で切断というなんとも頼りない攻撃だが、空から落としたのを見たドイツ軍が「新型兵器だ!」(古沢憲吾監督がよくやるテロップ)とか叫ぶのって、どうだろう?東宝の戦争映画は、概ね真面目に戦争している映画が多いと思うので、ここは違和感アリアリだった。

佐藤允が助けた現地人の娘・浜美枝の兄貴・成瀬昌彦はテロリスト。輸送船の爆破のために火薬を満載した小船に火をつけて発進させる。輸送船の大尉・平田昭彦らが懸命に回避しようとするがアンカーをひきあげる時間も無い。船に残っていた伊吹徹が海に飛び込み、小船のへさきを押して回転させた直後、大爆発。伊吹徹は戦死してしまう。

残された加山雄三、夏木陽介、佐藤允はついに飛行機に乗れなかった伊吹徹を悼むのであった。特に、実はドイツ軍のスパイだった浜美枝の正体を見破れなかった佐藤允は落ち込む。

女に目がくらむ佐藤允ってのはある意味、貴重だな。

浜美枝の処刑を命令した司令部に対して、やっぱ女の子を殺すのは軍人としてアレだよね、ということでインチキ処刑をして浜美枝を助けた池部良。さすが二枚目、一本スジが通ってるよな(ちがう、ちがう)。

陸路からビスマルク要塞を偵察した佐藤允と夏木陽介は、砲台に弾丸を運ぶ列車に目をつける。列車を破壊すれば砲台が無力化するだけでなく、弾薬庫まるごとぶっつぶせる。しかし二人はドイツ軍の捕虜になってしまう。そこへ浜美枝が来て馬鹿なドイツ兵・オスマン・ユセフ(定番)をだまして脱走した三人だったが、途中のつり橋破壊で夏木陽介が行方不明になる。

基地では残った一機を敵前まで運んで、そこで燃料と爆弾を補給して、敵上空に少しでも長く止まって効果を上げようという作戦がスタート。しかし輸送船が爆撃されてしまい、飛行機が下ろせない(まだ空母でもなければカタパルトでもないので、飛行機っても水上から離陸します)、しかし上手いこと(か?)船が沈没したので無事に着水。

佐藤允と加山雄三は空から、小船を使って池部良と将兵たちが燃料と弾薬を担ぎ上陸作戦。飛行機が入江に接近してくる、ドイツ軍の見張りに発見されては大変。そこへひょっこり生き残っていた夏木陽介が登場し、敵兵を倒すが数が多い。おまけに、入江はすごい沼地なので足が取られて動けない。

泥まみれになりながら、ドイツ軍の銃撃をかいくぐって、なにせガソリン背負ってますから、なんとか飛行機に弾薬と燃料を渡し終えた池部良、そしてやっと海面から離陸した飛行機がビスマルク要塞へ向う。

リモコンとか無いのであくまでも目測で落下させる爆弾、弾丸列車になかなか命中しない、とうとうトンネルに入ってしまった列車の最後尾にやっとこさかすめた爆弾。加山雄三と佐藤允が作戦失敗を覚悟したとき、連結した車両がケツから連続爆発、ボンボン火を噴きながら弾薬庫へ突入した列車のおかげでビスマルク要塞は大爆発を起こすのだった。

ついうっかり太平洋戦争の話だと思っていると、クラシックな飛行機にビックリするが、実物大の飛行機が佐藤允のドジのせいで、不時着してしまい、牛飼いの左卜全にトコトコ運ばれてくるところがなんとものどかでいい感じ。

加山雄三が東宝の若手スタアとして全社的にイチオシになったころなので、夏木陽介が少々みそっかすな扱いなのは気の毒。

新進気鋭の伊吹徹だが、確かに軍人さん以外に適当な役どころが見当たらないタイプ、正直、野村浩三とかぶってるし。佐藤允はポジション確定なので安心、そしてやっぱり池部良はあいかわらずカッコいいし、ノホホンとしている。どうもこの人に緊迫感というのは無いな「暁の脱走」以外では。

2010年09月26日

【追記】

※本文中敬称略


このページのてっぺんへ

■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2010-09-26