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奇妙な仲間 おいろけ道中


■公開: 1970年

■製作:東宝

■製作:藤本真澄、金子正且

■監督:児玉進

■脚本:鎌田敏夫、井手俊郎

■原作:

■撮影:長谷川清

■音楽:八木正生

■美術:育野重一

■録音:伴利也

■照明:新井盛

■編集:武田うめ

■主演:夏木陽介、林与一

■寸評:

ネタバレあります。


意外なことだが夏木陽介はコメディをちゃんとやれる人だ、ということを本作品で知った。林与一はもともと芝居が上手いのでこれくらいは全然普通だが、しかし、元梨園の御曹司だし、時代劇のバリバリがここまで・・・というのはある。

日活ロマンポルノが嫌いな理由は、出てくる男子が(ほぼ)もれなくブサイクなので観るべきものがほとんどないからであり、喜劇映画が嫌いなのは出てくる喜劇俳優の作り込みが強すぎて胸焼けを起こすからである(あくまでも個人の感想です)。

喜劇に染まっていない二枚目が一生懸命身体を張って馬鹿をやる、これだけで本作品は評価されてしかるべきだと断定しよう。愛される二枚目に必要な要素は「ちょっと馬鹿」そして「ちょっとスケベ」であることも忘れてはならない。生きていくのに全然必要ではないが、覚えておこう。

海外しかもグアテマラで一山当てようと、日本に恋人・大原麗子を残して旅立ったドスケベ男・夏木陽介は二年で帰国、恋人のマンションに飛び込んで一発ヤレると思ったところが住んでいたのは別人で、あわてて部屋を飛び出したら階段から落っこちて病院へ。住居不法侵入と強姦罪になるかと思いきや、発見された大原麗子が警官・広瀬正一に証言して夏木陽介は釈放されるが大原麗子の態度がおかしい。彼女はすでに結婚していたのだった。しかも、グアテマラで大規模な災害があったので「てっきり死んだ」と思い込んでしまったというのだ。

彼女の夫は真面目なエリートサラリーマン・林与一。無職の夏木陽介と比較すればあきらかに林与一のほうが優良物件だが、純情で単純で後先のことをあまり考えない大原麗子は家出してしまうのだった。

出だしの10分くらいで、夏木陽介は階段の手すりが折れるんじゃないかと思うくらいの体当たりアクションだし、林与一は頭から水をぶっかけられたり、新婚生活のために買った家具を夏木に壊されてブチ切れる、二枚目破壊工作がハイテンションだ。

看護婦(現・看護士)の大原麗子はきっとどこかの病院にいるはずだとアテもないのに車を買って彼女を探すことにした林与一、元彼である夏木陽介も強引に林の車に乗り込んで、恋のライバルである二人は、珍道中を繰り広げる。当然だが、夏木陽介は車の運転が圧倒的に上手いので、病院の玄関に一発で横付けしたり、多少コマは摘んであるが公道で堂々と蛇行運転したりするので、カーアクション好きな人にもおススメだ、たぶん。

登場する病院名が東宝の砧撮影所の近所だったりするのはご愛嬌だ。

会社を辞めてしまった林与一は夏木陽介に「旅の途中で他の女とエロいことをしたら大原麗子をあきらめる」という約束をとりつける。さっそく、ヒッチハイクの二人・浜かおる夏海千佳子を拾った二人。無理やり挑発してくる二人にご機嫌な夏木陽介だったが、約束があるので二人の美女を途中で放出、たどり着いた旅館で夏木陽介の昔馴染みである芸者・団令子と再会。とにかく女と見れば「久々のジャパニーズガール」なのでやたらと口説く夏木陽介、マシンガントークで迫るのだが例の約束が気にかかる。反対に超カタブツの林与一は退職金の残金をチマチマとノートにつけるのだが、隣の部屋から聞こえてきたドラムの演奏になぜか興奮し出す。

大原麗子とセックスしてたときにいつもドラム演奏が聞こえてきたので、パブロフの犬のように反応する身体になってしまった林与一の悶々とする芝居が激しく笑える。二枚目ってトクだな、腰をクイクイさせるだけで爆笑できる。もちろん、女を口説きまくって失敗し思い切り一本背負いくらう夏木陽介も同様だ。

ヒッチハイクの二人に財布を盗まれ、ケンカ別れした夏木陽介と林与一。

夏木陽介はバスガ・桑原幸子を口説き、ベッドインまでするが、いざ本番となったらまったく「立たない」のだった。大原麗子以外の女に反応できなくなってしまった夏木陽介であった。

林与一は団令子のマンションに行き話し込んでいる内に、ドラム演奏が聞こえてきてしまったため、たまらず団令子と一発ヤッてしまう。失意の夏木陽介に対して、東大出身なためかアソコもゲバ棒だった(団令子・談)林与一、形勢逆転である。しかし、女とエロい関係になってしまった二人は大原麗子とは別れなければならないのか・・・勃起しない人生なんて!と絶望した夏木陽介がフラフラとベランダに出て行ったため心配した林与一ともみ合いになり、二人は一緒に階下のベランダへ落下、仲良く骨折したのだった。

運び込まれた病院でエロ看護士・松永てるほ(日劇ミュージックホール)の巨乳に盛り上がった夏木陽介だったが、そこで偶然、大原麗子とめでたく再会。しかし、大原麗子に惚れた男がまた一人、それは外科医・船戸順だった。

船戸順も東宝の二枚目だ。ジェラシーに燃えた船戸が、夏木陽介と林与一をイジメルところもなかなか笑える。やっぱ、二名目ってトクだよな。

珍道中の途中で、コソドロの浜かおると夏海千佳子をビーチで追っかけまわして、二人のビキニを引っ剥がすというまるで東映のピンク映画まがいのシーンもあって、これに夏木陽介と林与一が絡むのだから、東宝もここまでやるか!である。

大原麗子をめぐって最後の決闘。しかし、夏木陽介も林与一も相手に譲ろうとする。またもや板ばさみになった大原麗子が、断崖絶壁っても海抜1メートルくらいだけどもそこからダイビング!しかも泳げない!夏木陽介も後をおって飛び込むがこれまたカナヅチ。

どっちかに決められないまままたもや夏木陽介はグアテマラへ旅立つことにした。大原麗子を譲ろうと後を追ってきた林与一を空港のチェックインで、ボディに一発食らわせて悶絶させ大原麗子と強引にくっつけた夏木陽介は一人、日本を離れていくのだった。

とにかくスピードもテンポも圧倒的で平成の世でもまったく退屈しない出来だ。二人の二枚目の意外性もさることながら、日劇ミュージックホールからアンジェラ浅岡(途中でセミヌードを披露)と松永てるほ、東映の「プレイガール」から桑原幸子と浜かおる、エロも充実。

2010年08月09日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2010-08-10