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喜劇 昨日の敵は今日も敵


■公開: 1971年

■製作:渡辺プロ、東宝

■製作:渡辺晋、大木舜二

■監督:前田陽一

■脚本:石松愛弘

■脚色:鴨下信一

■撮影:梁井潤

■音楽:山本直純

■編集:諏訪三千男

■美術:樋口幸男

■録音:磯崎倉之助

■照明:上島忠宣

■主演:それは、やっぱり・・・平田昭彦(様)

■寸評:

ネタバレあります。


お前ら何か?平田昭彦(様)になんか恨みでもあんのか?

タイトルに「喜劇」とついている映画で笑ったことが無い。それと、個人的にかつ生理的に受け付けない堺正章となべおさみが出ている。もう、これだけでもこの映画は絶望だ(、あくまでも個人の感想です)。

大学の応援部部長・なべおさみ、軽音楽部部長・やっちん=田辺靖雄、硬派と軟派の対決は、不自然なやっちんの長髪をいつもの丸刈りにしただけだったが、それだけではおさまらなかった。応援部も軽音楽部も部費稼ぎのバイトに箱根の小涌園ホテルにやってくる。

もちろん別々だったのだが、柄が悪い応援部の使いどころに困った支配人・藤村有弘は彼らを雑用係と兼用のボーイとして雇用。音楽部はエンタテインメント性が高いので宴会場でバンド活動をすることに。軟弱な新入部員・堺正章は、ホテルに来ていた大富豪・平田昭彦(様)と、お供の二人・大泉滉立原博、そして美貌のお姫様・紀比呂子に出会う。

一方、応援部は女子空手部の部長・范文雀に決闘を申し込まれ、なべが代表して戦い重傷を負ってしまう。流行の集団シゴキではないかと地元の駐在・いかりや長介が呼ばれるが、なべの根性に感動した范文雀の証言により疑いは晴れる。

平田昭彦(様)一行は、箱根に独立国家を建設するという。紀比呂子は自殺願望を持っており、堺正章はあやうく巻き込まれそうになる。大宴会の開催に不審を抱いた藤村有弘がいかりやに相談に行くが、あっさりと彼らに丸め込まれてしまう。

いよいよ平田昭彦(様)たちの言動がおかしくなってくる。大学の先輩らしいのでなべおさみは計画に協力的だったが、ホテルの爆破計画を打ち明けられてからは、なんとか計画を阻止しようとする。どうやら、彼らは精神病院を抜け出した誇大妄想狂達らしいのだ。

ホテルのお客さん総動員で人質になってしまうが、爆破装置をなんとか奪おうとした、なべと堺の活躍で、爆弾が実は単なる花火であり、病院から駆けつけた看護婦・吉沢京子が平田昭彦(様)たちを引き取って事件は解決する。

アイドルだから、そういうふうに派手にドタバタしなくちゃいけないんだろうけど、アイドルってもコメディリリーフ系なのだが、もう時代が経っちゃってるからこういう「あちゃらか」は見ていて実に辛い、ケツが痒くなってくる。

が、しかし、こんな絶望的な映画(あくまでも個人の感想です)でも見所はある。

この映画のオリジナルを「まぼろしの市街戦」(1966年、仏)だと思えばいいのだ。無理か?いや、頑張ろう。

平田昭彦(様)の堂々たるハッタリの効いた芝居が素晴らしい、実に見事な狂人である。大泉滉、立原博なんて元々オカシイんだからどうでもいい。インテリジェンス溢れる平田昭彦(様)の狂人演技。こりゃ、すごいぜ!「がらくた」は単なるスケベな人気役者が極限状態になってキレちゃうんだけど、こっちは最初から病気だ。

硬派の応援部とともに越中フンドシ一丁で入浴シーンもあるぞ!ほら、そこの平田様ファンは見たいだろ?うん、うん。

最後にいよいよ正体がバレたあとは、目からして完全にイッちゃってるんだぞ。

本当に真面目にこういうことしてくれる平田昭彦(様)に感謝しきりだ、それに、平田さん出てるところだけは、かろうじて映画として成立してたしな。

平田昭彦(様)信者の、避けては通れぬ踏み絵とでも言っておこう。映画の趣旨と全然関係ないけどな。

2010年07月25日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2010-07-25