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ちんころ海女っこ


■公開: 1965年

■製作:松竹

■製作:板橋貞夫

■監督:前田陽一

■脚本:石堂淑朗

■原案:富永一朗

■撮影:小原治夫

■音楽:山本直純

■編集:杉原よし

■美術:佐藤公信

■録音:大村三郎

■照明:市村政次郎

■主演:中村晃子

■寸評:

ネタバレあります。


タイトルに「ちんころ」とあっても別に海女さんが誰かを密告する映画ではないので、念のため。

八丈島ロケなので、為朝島(映画の中の島名)は流人の島という設定。

島をエロっぽい海女ショーで観光開発をもくろむホテル経営者・南道郎、ストリップ小屋の経営者・江幡高志らは、岬の上にトップレス海女の巨大看板を建設する。島の精神的なリーダである大納言様・浜村純は、海女たちに担がれて、お下品なショービジネスを広めようとしている男達を説教するが、まったく効き目無し。

目指せ!日本のハワイ!

海女の海中ショーを企画の目玉としている南道郎は海女ダンサーをリクルートするがケンモホロロに追い返される。しかし、将来は南の後妻におさまろうという野望海女・ホキ徳田は積極的だ。仕方ないのでストリッパーに海女の格好をさせてショーを実行することにした。

島の若い衆、竜一・加藤正はホキの妹・中村晃子に惚れていたが、晃子はこのまま海女として生きていくことに若干の疑問を感じており、ましてや男女の出会いの場が「夜這い」であるというこの島の倫理観には大いに絶望中である。

晃子とホキの父親・左卜全はご先祖様の言い伝えに従って温泉を掘っている。ボーリング技師・穂積隆信は半信半疑だがお金がもらえればとりあえずいいか、というドライな性格。しかし、いつまでたっても温泉は出てこない。かさむ借金に、左卜全は焦りまくる。

ストリッパーのニセモノ海女に怒った本職の海女達は、ストリッパーとキャットファイトを繰り広げ、結局のところは海女芸者とか、海女ダンサーも悪くないよねという打算の末にショービジネスの世界に参入を決意。しかし、島の男達の憧れの的である中村晃子だけは参加せず。

竜一は晃子にフラれたイキオイで、南の女房とデキてしまい、島の観光開発の一員となる。

とにかくドタバタ、がやがやと喧しい。そして、肝心のヒロインの運命は?

生理の間は小屋に篭るのが島の掟、そこへ夜這いをかけてきた男子に驚いた中村晃子は驚いて、大納言さまの屋敷へ逃げ込むが、なんと大納言様にも夜這いをかけられ、晃子はパニック。そのまま素っ裸で海に入り、水浴びするのでありました。

はい!ここまで!映画の見所はここだけだから、他にはなーんにも無いから。

集客能力をアップするために、肉体派女優・春川ますみを島に呼んだ村長たち。ダンサーやタレント(ようするに島のお姉ちゃん達)の指導に励む春川ますみ、しかし、南道郎や江幡高志らの目的は、彼女が泊まっているホテルの隣室に忍び込み、マジックミラーで夜の姿を覗き見することだったのだ。

なんだかなあ・・・中村晃子にムラムラっと来たことを反省した大納言様が切腹、左卜全はそこいらへんに自生しているソテツを引っこ抜いて温泉を発見、島の主たる産業は観光ビジネスになっていく。

そして、竜一にも故郷にも絶望した中村晃子は、これといって何もしないまま島を出て行ってしまうのであった。

で、このヒロインなんだけど、結局この人は何もしていないんじゃないか?まず、まったくモテる理由がわからない、確かに他の男子との相対的には二枚目かもしれないが、冴えない男子との失恋劇、ていうか竜一のオカボレ→浮気→別離という一人相撲。派手に見送ろうと思ったのか、彼の選別は、例の巨大海女看板の乳頭に点火して、灰にすること。

意味わからんし、中村晃子のアイラインとか、マスカラとか、そういうのが物凄かったという以外には、何があったのか映画終了後5分で忘れる。

そういうお気軽な感じが、最大のウリだったということか。

八丈島のロケが素晴らしくキレイなだけに、そっか!人間全部無視すりゃいいんだ!キレイなネイチャームービーだと思えば・・・いいのか?

2010年07月19日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2010-07-19