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不良少年


■公開: 1956年

■製作:東宝

■製作:田中友幸

■監督:谷口千吉

■脚本:菊島隆三、西島大

■原作:西村滋

■撮影:山田一夫

■音楽:渡辺浦人

■編集:

■美術:河東安英

■録音:小沼渡

■照明:金子光男

■主演:菅原謙二(大映)

■寸評:

ネタバレあります。


ひでえことしやがる・・・いくらアウェーとは言え、あんまりだ!

少年院の教師、西田・菅原謙二(菅原謙次、大映)は元不良で、自身の少年院入院当時の恩師、石坂・笠智衆の親身の指導で更正した過去を持つ。それゆえに、収容されている少年達とは同じ目線であることを自負している。

不良少年のリーダー、光一・久保明は西田に対して敵意をむき出しにする。同じくワイルドな少年(え?ええっ!?)・佐藤允、名前は善良だが根性がとことん歪んでいる善太・江原達怡も、西田の体当たりな指導にも醒めた様子でまったく理解を示さない。

そりゃそうだよね「昔はよかった」とか「俺も昔は」なんていう大人は、ほとんど信用ならないもんね。

西田の生徒が、卒院直後にヒロポン密売により警官に追われて列車にはねられるという事件が起きる。カタギの仮面をかぶった社長・沢村宗之助に騙され、取り調べた警官・村上冬樹からは教育方針の甘さをあざ笑われた西田は完全に自身喪失。

今は引退している石坂を訪ねアドバイスを受けて、かつての教え子、浮田・藤木悠、銀子・青山京子らを訪ねた西田は、元気な彼らを見て安心するが、同窓会を開催してもやって来なかった彼らにまたもや裏切られたようなキモチになり自暴自棄になってしまう。

新太・太刀川洋一(太刀川寛)は、熱愛のあげくに傷害事件まで起こした恋人・中田康子に売春をやらせていた。パンパンをやっている(それで更正したのか?)銀子のもとを酔って訪ねた西田は一夜をともにしてしまい、そういうつもりじゃなかったけどうっかりお金を渡したところを警察に踏み込まれ、買春容疑でブタ箱へ。

やることなすことチグハグで、空回りをしつづける菅原謙二が気の毒で気の毒で、泣けて泣けて。

少年院を辞職する決意を固めた、そうでなくても事務長・田中春男は諭旨免職させようとしていたらしいが、そんな西田のもとへ石坂が最後まで教え子の身を案じて急死したという報が入る。

西田が教師を続けることを決意したその夜、光一たちが脱走する。

自分がはいた痰を「舐めてみろよ」と菅原謙二を挑発する久保明。東宝では品行方正だけどちょっと頼りない坊やというキャラクターを貫き通した(本人の意思かどうかは別として)久保明、ここまでふてくされた久保明は他に例が無いのではないか?と思われる。

佐藤允、デビュー作ですでに出来上がってるところが凄い不良ぶり、そして江原達怡がいくら根性曲がっていても全然不自然じゃないけど、こんな久保ちゃんなんて見たくなかったわ!と横っ面の一発はり倒してやりたいくらいだ。

それにしても可哀想だよ、菅原謙二、なにもそこまで、この、不器用で誠実な一本調子の二枚目を苛めることはないんじゃないか?と余計な心配したくなるほどだ。

不良少年たちにボコられて、しかもだよ、羽交い絞めでめちゃくちゃ殴られて、あげくに泥水に何度も沈められちゃう。だって本当に入れられちゃうんだよ、鼻から絶対に泥水が入ったと思うけどなあ、菅原謙二って鼻腔が広がってるから。それよりもだ、大映の二枚目スタアにそんなことして大丈夫なのか?ひょっとして、この役、東宝のオジサンたち(池部良とか、三船敏郎とか)に総スカン喰ったんじゃないのか?

がんばれ!菅原謙二!観客はみんな君を応援しているぞ、ってか同情してるぞ!

しかし奇跡は起きる、何の伏線もないんだけどイキナリ。

唐突すぎる光一の覚醒、他の、少年には到底見えない少年たちの「先生!」の声がスクリーンにこだまする。泣いてる、光一が泣いてる!やっといつもの久保明。

よかったね!菅原謙二!じゃなかった西田先生。

でも、いい感じだった同僚の美人教師・安西郷子(なぜか彼女だけアップがソフトフォーカスなんだけど?)にあっさりフラれちゃったけどね。やせ我慢を笑いでカモフラージュする西田先生、なんていいヤツなんだ!

またもや少年達をヒロポンで悪の道に引きずりこむ恐怖のオッサン、沢村宗之助って「33号車応答せず」でも同じような役だったような気がするぞ。

で、不良少年達の中に、石井伊吉=毒蝮三太夫っぽいのがいるんだが・・・謎。

2010年06月20日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2010-06-21