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ずべ公番長 ざんげの値打ちもない


■公開:1971年

■製作:東映

■製作:吉峰甲子夫、高村賢治

■監督:山口和彦

■脚本:宮下教雄、山口和彦

■原作:

■撮影:仲沢半次郎

■音楽:津島利章

■編集:長沢嘉樹

■美術:藤田博

■録音:長井修堂

■照明:

■主演:大信田礼子

■寸評:

ネタバレあります。


大信田礼子といえば都倉俊一である。なんかもう当時はその人気者どうしの夫婦生活は想像を絶する感じだったが、案の定、離婚した。理由は報道されている範囲でしか知らないのだが、とにかく大信田礼子はまぎれもなくアイドルだった。ただし、東映の、だが。

70年代の東映、女優はちり紙以下という価値観のもとで製作された数々のセックス映画とは一線を画す「ずべ公」映画というジャンル。

下着は白、かつ透けない!入浴シーンはあるけど、主役は乳首見せない!でも、他の人は見せてるから結果的にお客さんは損しないなし(か?)!リンチシーン場無し!出血は必要最小限!これが東映のアイドル映画(らしいですよ、たぶん、たぶんね)。

てことは、東映のアイドルは「ずべ公」ってことか、妙に納得。「ざんげ・・」の北原ミレイはクラブの歌手役で出演。でも映画の内容と歌の題名とは全然リンクしてない。これはシリーズ共通で。売れてるモノに乗っかれ!なイキオイ、ロジック無し、フィーリングのみ!それが東映。

正義のずべ公(注:概ね住所不定、職業不詳、未成年)のリカ・大信田礼子は前作のカラミで群馬県の赤城市にあるらしい矯正施設を無事、卒業して新宿へ舞い戻る。施設の同期生であるミドリ・片山由美子は父親の鉄五郎・伴淳三郎と折り合いが悪く、施設を出た後は、ヤクザの大矢組のチンピラ、浜田・滝俊介と同棲しており、ゴーゴーガールとして働いており、浜田はヒモ生活。それどころか、ミドリを保証人として博打でこしらえた借金を鉄五郎に肩代わりさせている。

中途半端な二枚目の浜田、なんでミドリったらそんなモミアゲがカールしてるような男子に惚れたのか?なんでそんなに鉄五郎が嫌いなのか?

リカは鉄五郎が経営している自動車修理の工場に就職。明るくてヴァイタリティーあふれるリカは、少々オツムが薄い、じゃなかった足りない工員のマカオ・たこ八郎のちょっぴり助平なアプローチも笑ってかわしている。

大矢組の組長、大矢・金子信雄は、女装が趣味の変態オヤジですが、ビジネスについてはシビアーな社長。幹部の青田・永山一夫@オオカミさん、子分のノッポ・土山登志幸@ジャイアントロボ、デブ・佐藤晟也らに、鉄五郎の工場がある不動産を有効活用してエンタテイメント産業への事業拡大構想をプレゼン。ようするに、浜田の借金をインチキ賭博で増やして鉄五郎から土地を巻き上げて、トルコ風呂(現・ソープランド)でも作って大もうけしようということであります。

リカは同じく赤城の同期生で今は、大矢組のOB(てか、肺病で引退状態)の圭一・中谷一郎と同棲しているマリ・賀川雪絵の家を訪ねる。マリは妊娠中、やがて生まれる可愛いベイビーのために一肌脱いだ(いや、脱いでませんが)リカは、今では立派なクラブのママをしている、しっかり者の長子・橘ますみ、口八丁のセンミツ(注:せんだみつお、ではない)・集三枝子に頼んで、マリをホステスとして就職させてもらう。

センミツ、長子、マリ、そしてミドリ、同期の桜の友情は厚い&熱い。

圭一は足を洗うために大矢組長のところへ行く。すると、昔は凄腕のヤクザだった鉄五郎に手出しができなくなった組長は、圭一に鉄砲玉を命令、見返りはマリの出産費用。浜田に愛想をつかして実家へ戻る決心をしたミドリ、そしてリカと嬉しいお酒を酌み交わしたほろ酔いの鉄五郎を圭一が襲う。凶刃を間一髪で避けた鉄五郎だったが、大矢組のデブとノッポがバックアップ。トラックの荷台にあった建築資材に体当たりされた鉄五郎が死亡。返す刀で圭一は、証拠隠滅のためにデブが運転していた乗用車によって轢死。

恩人と親友のマブを殺されたリカの怒りが爆発!真紅のマキシコート(どっから持ってきたんだか)に身を包んだ、リカ、マリ、長子、センミツ、ミドリは大矢組に殴りこみをかける。かけつけた、圭一の弟分で、リカといい感じになったトラックの運転手、竜二・渡瀬恒彦も参戦、ゴーゴークラブで大乱闘の末、大矢組の構成員ば全滅、組長はガラス張りのステージ上で血糊まみれの壮絶死。

この後は全員自首、ただし、マリは産休入り。

渡瀬恒彦とのママゴトのような恋愛譚は見てるこっちが気恥ずかしくなるが、だってアイドル映画だからさあ、これくらいでいいのよ。実交渉なんてあっちゃダメでしょ。それと、一人あたり血糊がバケツ一杯の出血大サービスも控えめ。ガマンの限界超したのか、それともネコさんだからいいや!ってことか、大矢組長のねちっこい死に様には職人芸を感じて思わず拍手。

大信田礼子のシリーズは本作品が打ち止め、主役が東映のアイドルから普通のアイドルへ進化したため。女優替えて続けることをしなかったところが、たいへんに珍しく潔い東映。

2010年06月06日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2010-06-06