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温泉みみず芸者


■公開:1971年

■製作:東映

■企画:岡田茂、天尾完次

■監督:鈴木則文

■脚本:掛札昌裕、鈴木則文

■原案:久保田正

■撮影:古谷伸

■音楽:鏑木創

■編集:神田忠男

■美術:雨森義允

■録音:堀場一朗

■照明:

■主演:名和宏、小池朝雄・・・(推奨)

■寸評:

ネタバレあります。


で、なんでタイトルが「温泉みみず芸者」なんでしょうか?タコ芸者とかじゃダメでしょうか?

多胡家は、蛸壺漁を開発した人を始祖とする名門、とはいえ現在の当主は一杯飲み屋を経営する、ジャンボな初栄・松井康子と、その娘二人、巨乳の長女、圭子・池玲子と高校生の幸子・杉本美樹です。初栄は若い(か?)ツバメ・由利徹に全財産を持ち逃げされてしまいます。豊満な肉体をもてあます初栄のおかげで多胡家は借金まみれです。

借金が返済できないと先祖の墓が抵当に取られてしまいます。それじゃダメだと、ヴァイタリティー溢れる長女の圭子は東京に出て働くことにしました。

当然ですが風俗です。

当時はトルコ風呂と呼ばれていたソープランド、実際にトルコ政府からクレームがついて名称が変更になりましたが、ここでは劇中の呼称を尊重いたします。

圭子は入社当初からバツグンのテクニックの持ち主だったため、手でいくらでもイカせてしまいます。どこでそんなの勉強したのでしょう?やはり「血」でしょうか?ていうか、地元で圭子はそれなりにヤッていたようですし、母の初栄によれば「12歳のときから鍛えてきた、娘のお前達にも引き継がれている」アレのDNAということでしょうか、あ、なんか馬鹿馬鹿しくなってきたのでこのへんで。

トルコの経営者・芦屋雁之助はEDで悩んでいましたが、圭子のテクニックと自前の「蛸壺」のおかげで回春に成功したところで腹上死してしまうのでした。社長のボーナスを実家に仕送りした圭子でしたが、母親はまたもや男に騙されて土肥のホテルに人質として居残りをさせられていました。圭子が仕送りしたお金はすっからかんに無くなっています。

一度は母親を見限ろうとした圭子でしたが、たまたま知り合った板前の馬場・小池朝雄のとりなしもあって、この町で温泉芸者として働くことにしました。ホテルのオーナー夫人・三原葉子も大歓迎です。母親とともに置屋に住み込んだ圭子はたちまち売れっ子になります。

教育関係の政府の役人たち・田中小実昌団鬼六、の慰安会に動員された温泉芸者軍団・女屋実和子葵三津子らは青カンやら、花電車やら大サービス。圭子は偉いさん・大泉滉をまたもや蛸壺で昇天させてしまいます。そんな圭子のうわさを聞きつけたマムシドリンクの会社社長・芦屋雁之助(二回目、っていうか二役)は圭子のパトロンとなり、圭子もお金が儲かってラッキーと思った矢先、またもや腹上死してしまうのでした。

温泉芸者のアソコの型を取って土産物ビジネスに進出しようとしている芸術家の広瀬・山城新伍に初栄が騙されて、ていうか詐欺の共犯者になって借金を踏み倒して駆け落ちしてしまったので、圭子は莫大な借金を背負ってしまいます。

圭子と偶然知り合った馬場でしたが、なぜか圭子の肉体を求めてきません。それもそのはずで彼の悩みは、馬並の(馬場だけに)巨根。一度、太平洋というあだ名(ようするにアソコが広すぎてユルユルということ)に悩んでいた温泉芸者とためしに寝てみましたが、膝小僧と間違えるほどの大きさだったために彼女は再起不能になってしまうのでした。

デキないどころか、もはや馬場のアレは殺人兵器のレベル。思い悩んだ馬場は広瀬に作ってもらった大人の玩具を一人寂しく、テストするのでした。

いや、この、小池朝雄さんの独り遊びのシーン、なんかもう新劇のヴェテランとか、「どん底」のルカを演った演技派とか、そういうの全部飛んじゃって、赤裸々過ぎて、泣けて泣けて・・・このシーンだけでこの映画は名作と呼ばれましょう、誰に?とかは聞かないように。

温泉芸者の引き抜き専門の竿師段平・名和宏が弟子の黒竿・岡部正純と、ピストンの健・大下哲夫を連れて町へやって来ます。段平はセックス道を極めるというわけのわからない連中でしたが、そのテクニックで芸者たちの腰を蕩けさせて思うがままにしてしまうのでした。

ま、薬物でがんじがらめにするよりはよっぽど健康的で良心的な感じ(しませんか?)。

段平に芸者達を取られてしまってはタイヘンです。温泉芸者は大切は観光資源です。

圭子と初栄、そしておそらく高校を中退してグレたと思われる幸子も参戦して、段平とその弟子たちと母娘は「セックス三番勝負」をすることになります。

ようするに、なんだかんだ言ってセックスに持ち込みたいだけだな、ということです。

このあたりの展開は、あらゆる解決手段を麻雀に依存する大人の雑誌に連載されている漫画とほぼ同じ、それはつまり、観客層を同一にしているからにほかなりません。実に的確なマーケティングですね。

初栄は段平の黒竿が繰り出した前戯であっさりイってしまいます。

そんなんだから、由利さんや山城さんにヤラレっちゃうのよ!母さんの立派すぎる皮下脂肪は見掛け倒しなの?とでも叫びたい圭子と幸子でありましたが、実は初栄は勝負の前に弟子達に襲われて、前戯でイッちゃう身体にされていたのでした。

なんという卑怯なヤツラでしょうか!

次は若手の幸子がピストンに挑みます。幸子は圭子を凌ぐ、どういうふうに凌ぐのかはわかりませんが、蛸壺の持ち主だったのでピストンは正々堂々闘って轟沈されます。

そしてついに、竿師段平と圭子の大将戦。

二人はめくるめく対決の挙句、水中セックスで勝負、本当に水に入っているのでソレどころじゃないですが、そしてついに段平のアレが破壊され海面(実は琵琶湖)が真っ白に(実は牛乳)染まってしまい撃沈されるのでした。

町に平和が戻り、圭子たちはお金をたくさん稼いだので先祖の墓を売らずに済んだのでした。

東映ポルノは東映ピンクよりもさらに馬鹿さ加減がヒートアップしていますので、ドラマの延長線上にセックスがあるのではなく、セックスのついでにドラマがあるという、分かりやすい構図です。特に名和宏さんと小池朝雄さんの、情より性にシフトした男の欲情スケールが振り切れていて、いっそ清々しいくらいです。

女優さんたちがほとんど芝居らしい芝居ができませんから、当然といえば当然ですけど名和宏さんの馬鹿スパークは神がかり的と言っても過言ではありません。その筋の皆さんは名和宏さんの自宅方面には決して足を向けて寝ませんように。

当時ハイティーンだった池玲子と杉本美樹のデビュー作。初々しさというよりも、生々しいところが凄いです。

で、青カンしている温泉芸者と政府の役人たちの現場に、トンでもない大物俳優がカメオ出演[菅原文太]してますのでお楽しみに。

2010年03月28日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2010-03-29