女難コースを突破せよ |
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■公開:1962年 ■製作:東宝 ■製作:安達英三郎 ■監督:筧正典 ■脚本:長瀬喜伴 ■原作: ■撮影:玉井正夫 ■音楽:松井八郎 ■編集: ■美術:阿久根巖 ■照明:隠田紀一 ■録音:藤縄正一 ■主演: ■寸評: ネタバレあります。 |
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小林桂樹(39)、宝田明(28)、高島忠夫(32)、東宝現代劇の中堅若手(高島のボンは新東宝、おタカとともに後のミュージカルスタア)の一枚看板が三人揃えばさぞ賑やかだろうと想像がつきまが、どっこい、メインディッシュ三皿は食傷気味な本作品。 大学の演劇コンクールにて「三人吉三」を演じたトリオ、畑野(和尚吉三)・小林桂樹、柴田(お坊吉三)・宝田明、高木(お嬢吉三)・高島忠夫は卒業後、それぞれメーカーへ就職しています。先輩格の畑野には社長秘書の吟子・水野久美という恋人がおり、後輩二名としては学生時代に通った洋食屋・オヤジ・丘寵児、女将さん・東郷晴子にてパーティーを開催して晴れて二人を婚約させようと計画します。ちなみに後輩二名にもそれぞれテレビタレントのゆかり・中島そのみ、みどり・中真千子という恋人がいます。 小林桂樹の完成度に比較すると、とりあえずサラリーマン弥次喜多の高島忠夫はともかく、スマートでスケベな宝田明のサラリーマンはとことん似合いません。他には「月給泥棒」くらいしか思い当たりませんし、やっぱりおタカには浮世離れした役どころがドンピシャです。と、そんなミスマッチがのっけからツライ感じ。 ハワイのパイナップル王として知られる町田社長・左卜全が、エロっぽい娘の多佳子・団令子を連れて来日。ハワイ進出を目指す上木社長・有島一郎、柳原社長・柳家金語楼、大沢社長・森川信は早速お出迎えに羽田空港へ。社長の部下である柴田と高木もお供を命ぜられますが、多佳子のツアコンに指名されたのは高木でした。しかし二枚目の柴田も負けてはいません。スマートなアプローチで多佳子に気に入られます。 この後のストーリー。富豪の娘の婿探しをフレームワークとして、三人の主人公があの手この手を繰り広げ、接待と称して「女難コースを突破せよ」をお座敷で高らかに歌い上げ(決して上手いとは思えない宴会芸とともに)、それを見ていたヴェテラン喜劇俳優たち、じゃなくて社長連中が年季の入ったドジョウすくいを披露、アグレッシブな若手の努力は徒労に終わり無欲の先輩の畑野が令嬢の婚約者として指名されますが、彼には吟子という恋人がおり吟子のために後輩彼女チームが一芝居うって、令嬢は別の人と婚約しめでたく帰国、三人はそれぞれに恋人と上手くいくのでした。 相変わらず東宝の喜劇のストーリー解説は簡潔で楽です。 小林桂樹が上京してきた父親と下宿でとろろご飯食べるシーンは背景が完全にセットで、ご丁寧に電車のミニアチュアまで走らせます。ペラい映画かと思いきや丁寧なつくり。スリービューティーズから水野久美、お姐ちゃんトリオから中島そのみ(声がアニメ声)と団令子。どうだどうだの大サービス。 この映画の沢村いき雄は最高です。平素は胡散臭い悪事を働く中丸忠雄を小馬鹿にしたり、金星人の若林映子とお洋服を交換して警察に捕まっちゃったり、地味な運転手のくせに(しかもあだ名が「シイタケ」)デカイことやろうとして失敗したりと、出場が一瞬でもその映画の美味しいところを全部さらっていく座敷わらしのような癒し系。すでにできあがってる風格を持つ息子に、女性の魅力は気立てであると諭す笑顔を見ていると、こちらもシアワセな気持ちになります。見ているだけで幸福感を得られる俳優、それが沢村いき雄です。 沢村いき雄の役どころは小林桂樹のお父さんで、職業は僧侶。つまり小林桂樹は「実家がお寺」です。そういえば、そういうご家庭出身の東宝ナンバーワン喜劇タレントがいましたが? 畑野との結婚をあきらめて「関西のボン」と結婚することにした令嬢。「関西のボンボンって誰だ?」と高島忠夫が叫ぶシーンで「お前のことだよ!」とツッコミをいれた人は数知れずですが、実は全然違いました。帰国する町田社長と多佳子の傍には、ヘラヘラした若い男、原田・植木等がいました。仏教に興味のある多佳子はことあるごとにお経を唱えます。畑野と婚約者(実は一芝居うったゆかり)とのシアワセを祈る多佳子と一緒に原田もお経を上げるのでした。 お!出た!植木!団令子と植木等がお経を二人で唱えます。植木は途中で「わかっちゃいるけどやめられないっ、ときたもんだ」をインサート、期待を裏切りません。おまけにイイ声でお経も上手い、っていうか本職だし。 そうそう本職といえば、冒頭「三人吉三」の歌舞伎っぽい舞台を延々とやるのですが、映画俳優三名はとても一生懸命やってました。カラミのほうが本職の人たちらしい(クレジットに中村又三郎という人の名前があります)ので安心して見ていられましたが、舞台のセンスで演じているカラミの人たちの目の動きがずーっとキョロキョロしているで見ていて落ち着きませんでした。映画と舞台の違いは「クローズアップ」の有無。歌舞伎の主役は目線命でしょうが、カラミの人たちは狭い空間で事故らないように始終目を配りながら動いているのですね。実際の舞台で遠目だとわかりませんが、アップだと目立ちました。 ところで三人は大学時代は先輩後輩、ということは学年で言えばその差が4年以内と推察され、それはおタカとボン(実はボンのほうが5歳も年長)はギリギリでも、小林桂樹は無理ありすぎ。「サラリーマン出世太閤記」からのコンビである監督は先の作品では学生服無理やり着せてましたが、小林桂樹が水野久美と並んだ絵柄は完璧に親子。 (2009年03月01日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2009-03-01