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社員無頼 (反撃篇)


■公開:1959年

■製作:東宝

■製作:三輪礼二

■監督:鈴木英夫

■脚本:岡田達門、井手俊郎

■原作:源氏鶏太

■撮影:逢沢譲

■音楽:池野成

■編集:

■美術:阿久根巖

■照明:石井長四郎

■録音:上原正直

■主演:佐原健二

■寸評:

ネタバレあります。


「社員無頼 (怒号篇)」の後編です。

大阪行きの夜行列車に乗った小牧雄吉・佐原健二。彼は倒産寸前の企業に融資した大阪の大手企業から派遣されてきた隈田・上原謙に、恋人の高沢美奈・白川由美を横取りされました。隈田は現社長の柿原・志村喬をないがしろにして、取引先や行きつけのバーに水増しの請求書を書かせて横領をしていました。その事実を掴んだ彼は隈田と腹心の鬼田・有島一郎をぶっ飛ばして「無頼漢」宣言をし退職。復讐に燃えた小牧クンは偶然知り合ったコールガール(ただし副業)の協子・水野久美から情報を得て、親友の由良・藤木悠の協力で隈田の行状を大坂本社に密告して失脚させようとしていたのです。

同じ列車に、協子と同じアパートにいた蘭子・団令子が、いかにも大物という感じのオッサン・千田是也と一緒に乗っていました。そういえば、たどたどしい関東弁の蘭子は大阪出身なのでした。蘭子は小牧クンに強烈なモーションをかけてきます。ちょっとタジタジの小牧クンであります。

本社での隈田の評判はあまり芳しくなく、由良の紹介でコンタクトを取ってきたのは社長と対立する専務派の湯川・村上冬樹でした。彼は社長派の隈田の悪行をきっかけに社長を失脚させる情報を欲しがっており、当事者である渡辺専務・中村伸郎から直接、隈田の不正の事実をもっと集めてくるように10万円で依頼された小牧クンでしたが、それが原因で柿原工業が倒産しては元も子もないので「スパイはするけど、隈田を追い出すだけにして、融資は続行してほしい」と依頼します。

小牧クンは早速、鬼田を金で買収し、柿原工業へ清掃員の臨時雇いとして再就職。見返りとして隈田と鬼田から屋上でぶん殴られても我慢の小牧クン。元同僚社員たち・大前亘小玉清(児玉清)からは「ああはなりたくないよな」と蔑まされてもじっと耐える小牧クンに並々ならぬ決意を感じた柿原社長。社長には本当の目的を打ち明け、彼が保有している自社株、ほぼ全株式の8割で時価総額6000万円は会社の負債と同額、を隈田に売り渡さないように懇願する小牧クンでした。

その頃、協子は母親が亡くなったので、嫌な思い出(小牧クンとのアレコレは除く)しかない東京を去っていきました。協子に遠慮していた蘭子でしたが、これで邪魔者(?)がいなくなったということでしょうか?ますます小牧クンにアタックしてくるのでした。柿原工業の社内では、失意の高沢美奈が自殺未遂を起こしてしまいます。当然、隠ぺい工作が行われ、無傷の隈田。何もかも失ってしまった美奈に、ますます打倒隈田を誓う小牧クンでした。

取引先に白昼堂々と、水増し見積書の事実を取材した小牧クン。もちろん隈田のデスクも掃除のついでにスパイしましたが、あっという間に隈田と鬼田の耳に入り、彼はまたもやクビになります。しかし隈田のレポートはせっせと送っていたのに、いつまでも大阪の本社が行動を起こさないことに不信感を抱いた小牧クンは由良にも勧められ、もう一度、大阪へ向かいます。

大阪で隈田の奥さん・久慈あさみが、亭主の不在をいいことに公然と遊び歩いている現場に出くわした小牧クン。焦り気味だった彼は、こともあろうに彼女を誘惑します。亭主が亭主なら女房も、という感じの熊田夫人、なかなかに美人です。小牧クンも今までの誠実ぶりは何処へやら?わりと上手に?アプローチしますが所詮は慣れない色事です。ちょうど同じ店に来ていた蘭子によって目論見は阻止されるのでした。

本社の状況はすっかり変わっていました。社長と専務の派閥争いは終結しており、すでに和解が成立。あえて社長派の隈田がどうでもいい柿原工業で犯している不正など微々たる金額なので「放置静観」が決定済み。小牧クンのレポートは何の役にも立っていなかったのでした。怒る小牧クンでしたがすでに報酬の10万円を受け取っていたので文句も言えず、失意の小牧クンは水の都、大阪をあてどなく彷徨うのでした。

蘭子と一緒に列車に乗っていたのは大阪の大手企業、大東工業の社長である相沢・千田是也でした。東京での蘭子は昼間から絵を描いていて働いている気配無し。金には不自由して無いけど家庭の事情でボロアパートに住んでいた蘭子は、実は先代社長の娘なのでした。母親と折り合いが悪いので、彼女の世話は相沢社長がしていました。社長は実の娘同然に蘭子を可愛がっており、蘭子もそのバックアップを期待して小牧クンの窮状を救います。

蘭子の鶴の一声で、柿原の株を6000万円で買ってくれ、ホワイトナイトになっちゃった相沢。イキナリな展開に驚く小牧クン、そして柿原社長。ついに隈田は柿原工業から追い出される予感。万事はめでたし、ブリブリの蘭子に対して相変わらずブッキラボーですが、ちょっとだけ明るい未来を見つけた小牧クンなのでした。

純粋な主人公が、曲者ぞろいの大阪の企業人たちに太刀打ちできるはずがこれっぽっちも感じられないのは主役が佐原健二だからでしょうか?それとも、悪役の上原謙はともかく、新劇の大物俳優たちが相手だったからでしょうか?それはたぶん両方ですが、それほど佐原健二は大苦戦という印象です。おまけに団令子の存在はりうっとうしくてたまりません。こういうコケティッシュなタイプは男ウケはするかもしれませんが、他の二名、水野久美と白川由美の美しさと情念の深さに比較して、努力の欠片も感じられず調子こいてるだけにしか見えない団令子(の役どころ)は同性からは総スカン。それに、彼女は結果的に「金で男をモノにした」わけですから、なおさらです。小牧クンにがもっと相応しい女性と今後、めぐり合って欲しいものだと切に願う次第でした。

で、映画のほうですが、よく考えると何も解決していないように思います。頑張れ小牧!自分の人生は自分の力で、自分のために切り開きましょう!と思わず応援したくなりました。

2009年02月22日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2009-02-23