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忍術使いと三人娘


■公開:1961年

■製作:東映

■企画:吉辺恒生

■監督:井沢雅彦

■助監督:

■脚本:横山保朗

■原作:

■撮影:杉田正二

■音楽:阿部皓哉

■編集:河合勝巳

■美術:稲野実

■照明:徳永進

■録音:中井秀夫

■特殊メイク:

■主演:若山富三郎

■寸評:

ネタバレあります。


若山富三郎、大活躍ワンマン娯楽時代劇。ところでタイトルの「三人娘」ですが、花園ひろみ、水木淳子、あと誰だろう?っていうくらい東映のフレッシュ女優がてんこ盛り。ただし、名前と顔は全然一致せず、興味もないのでどうでもいいや。

女好きの忍術使いである弓さん・若山富三郎は師匠の竜玄・吉田義夫と一緒に、浜で地引網をしている村の婦女子たちの着物の裾をまくったり、襦袢一丁にさせてしまったりというオゲレツな暇つぶしに忍術を使用したため、師匠の娘である摩也・花園ひろみに、師匠ともどもキツイお仕置きをされてしまいます。魚に化けて池に隠れたまでは良かったのですが、摩也にあっさりとバレてしまい、彼女の「ジンジロゲ!」という、聞いてるこっちが恥ずかしくなるような呪文一発であやうく塩焼きにされそうになるのでした。

イイトシこいた大人たちがくだらない追いかけっこをしている頃、たびたび村を訪問している清国の使節団の団長、劉鐘東・戸上城太郎が、庄屋の若後家・久我恵子に目をつけて仮病をつかって庄屋の家に泊まる事になります。そうとは知らない若後家さんは真面目に団長をおもてなしするのですが、この団長、目が爛々ヤル気満々。抵抗する若後家を鈴の音を使った催眠術で言いなりにしてガッツリ強姦。我に返ってショックを受けたお滝はさっさと自害。コトに及んだところを下女のお清・高橋漣に目撃されるや、団長の妹の劉香麗・千原しのぶによってお清は拉致られてしまうのでした。

ことほどさように彼らは清国の貿易使節と名乗っていますが、まっとうな人たちではありません。ええ、なにせ戸上城太郎と千原しのぶが兄妹だっていうのですから。どんな遺伝子なのでしょうか?別にどうでもいいですが。彼はアヘンを輸入して若い婦女子を輸出しているトンでもない奴らなのです。おまけに団長とその妹は妖術使いというプレミヤです。さらに、用心棒の速見甲斎・阿波地大輔の得意技は稚拙な光学合成による吹き針攻撃です。彼らと結託しているのは大商人の十国屋・加賀邦男と役人の鳥取頼母・大邦一公。十国屋はライバル商人たちをアヘン中毒にして店を乗っ取って身上をゲットするというあくどい手口で成り上った男。弓さんたちの村で頻発している「神かくし」もほぼすべて彼らの仕業なのでした。

若後家殺害の汚名を着せられた弓さんは、現場で遭遇した盗賊の三日月小僧・山城新伍と使節団を追うべく、江戸へ向かいますが、田舎の野暮天のままでは花のお江戸ではチト恥ずかしいということで、弓さん得意の忍術「ドロンパ!」を使い、いなせな旅人や桃太郎、はては得意のキャラクターである人形左七に変身したりするのですが、ヤキモチ焼きの摩也の命令で「これならモテモテにならないだろう」ということで精力指数が限りなく低い、ヒゲ面の爺さんに変身させられてしまいます。

ところが摩也の監視が緩くなると弓さんは早速、カッコよくて喧嘩が強く、若い娘にモテモテのお兄さんへキャラチェン。偶然知り合った三日月小僧のパシリたち・国一太郎南方英二(ちゃんトリの頭)とともに使節団の秘密を探るのでした。実は三日月小僧の本名は仙吉といって、十国屋が潰したライバル商人の息子なのでした。仙吉の恋人であるお千代・水木淳子の父親も同じ目に遭っていたので二人は、与力の和崎隆太郎(現・和崎俊哉)に協力して十国屋と使節団の悪事を暴くために活躍していたのでした。

そんなこんなで(いや、実にどうでもいい感じで)、クライマックスは使節団および日本側の黒幕一味と、弓さん&仙吉&そのヘタレな子分達、および師匠と摩也の連合軍による大捕り物。

戸上城太郎と若山富三郎の対決とくれば、それはもう圧倒的な殺陣の勝負と誰もが思いますが、なんとこの二人、チャンバラではなくベアナックルによる打撃戦で勝負してしまいます。殺陣じゃなくて技斗。だけどそれもハンパなく、若山先生の運動性能が余すところ無く発揮されております。あの、丸まっちい身体で、障子にボディアタック(しかも連発)、階段(と言っても数段ですけど)落ちに、香港映画も真っ青なイキオイでテーブルへのダイビングしたり、カラミ役の頭部に容赦なく花瓶を叩きつけて木っ端微塵、まさに掴んでは投げの連続はあきらかに手加減なし。

最後は二人ともグロッキー状態ながら、若山富三郎のパンチの雨が一方的に戸上城太郎に炸裂。棒立ちの戸上は顔面血まみれでとうとうノックアウト。

清国使節団は壊滅、十国屋は健気な娘の助命嘆願で仙吉とお千代さに仇討ちされること無く逮捕され、途中で与力は憤死しちゃうけど、とりあえずメデタシメデタシ。弓さんは忍術道場を江戸で開くことになり、アイドル並の人気者になります。師匠は団長からゲットした鈴を悪用?して、ハーメルンの笛のごとく若い姉ちゃんたちを集めて雲に乗せて空中デートを満喫するのでありましたとさ。

おいおい、これ忍術対妖術って話じゃないの?迫力満点の技斗だったけど、チャンバラ対決だったらもっと・・・あ!戸上が外国人だからダメなんだ。それでも充分迫力あったし、花園ひろみの学芸会以下の芝居に何回もキレかかったけど、カラミ役が気の毒なくらいの(いつものことですが)若山先生のハッスルが見られて満足、満足。

2008年12月23日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2008-12-24