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予言


■公開:2004年

■製作:ジェネオン

■製作:一瀬隆重、木藤幸江

■監督:鶴田法男

■助監督:

■脚本:高木登、鶴田法男

■原作:つのだじろう「恐怖新聞」

■撮影:栢野直樹

■特殊メイク:中田彰輝

■音楽:川井憲次、慶田次徳

■編集:須永弘志

■美術:斎藤岩男

■照明:

■録音:小松将人

■特撮:

■主演:三上博史

■寸評:

ネタバレあります。


恐怖新聞というのは読んだら寿命が100日縮まるという、未来の惨事を予言する新聞のことで、好むと好まざるとに関わらず投函されるという、まるで、大手新聞社の拡販員(恐怖新聞のほうは悪霊ですが)の押し売りのような、はた迷惑なシロモノです。

大学の先生をしている里見・三上博史は帰省の最中も仕事をしています。女房に運転させていた車の中から電子メールで原稿を送ろうとしたらエラーが出たので、しかたなく引き返して公衆電話からメールを送っていると、目の前にぼろい新聞の切れ端が。何気に読むと娘が事故死するという記事が掲載されていたのでした。里見、パニック。次の瞬間、シートベルトが外れなくなった愛娘が乗ったマイカーが目の前で暴走ダンプに突っ込まれて爆発炎上。偶然車外に出ていたので助かった女房の綾香・酒井法子(以下ノリピー)は爆発した車の破片によりスカーフェイスになってしまうのでした。

里見は新聞のことを話しますが誰も信じず(ショックで気がふれたと思われる)、ノリピー(そんな話、悪い冗談としか思えない)と離婚後、偏差値40をずっと下回るようなデキの悪い高校の臨時職員に成り下がります。ノリピーは事故直後に「ヘンテコな新聞を見た!」と言い張る亭主が本当にイカレたのか?それとも未来を予言する新聞なんて本当にあるのか?娘の死のショックも相まってオカルト研究に没頭。ノリピーは超能力者・吉行和子から、そういうのは恐怖新聞と呼ばれていることを知ります。その新聞の力に触れた少年は発狂し、予言を書き殴って一気に衰弱死。そして念写によって新聞の予言を表そうとした超能力者も死んでしまいます。ノリピーは最後の念写に里見が写っているのを目の当たりにし、新聞の存在を強く信じるのでした。

ハキダメに鶴のような可愛い女生徒・堀北真希もまた恐怖新聞が見えてしまいます。彼女は里見に「新聞に書いてある予言を変えようとしてはいけない」と忠告します。里見は黒板に向かって授業をしているときにも、ついうっかり予言を書いてしまうほど、急速に恐怖新聞に憑かれていくのでした。女生徒が通り魔に刺殺されるという恐怖新聞を読んでしまった里見はこれを防ごうとしますが間に合いませんでした。恐怖新聞の真相に迫るノリピーは、ヨリを戻した里見と一緒に恐怖新聞の研究者で現在行方不明中の鬼形礼(並べ替えると→レイガキタ)・山本圭の家を探し出し、そこで膨大な予言の書と、彼の最後の日々を撮影したビデオテープを発見するのでした。

ノリピーが電車の脱線大事故に巻き込まれて死ぬ運命と知った里見は、ダッシュでノリピーだけを救出。可愛い秘書・小野真弓を含め数百人もの乗客が犠牲になってしまいます。とうとう恐怖新聞の予言を変えてしまった里見は、同じく新聞の予言を変えたことにより、猛スピードで老化してしまい、最後は影となって時空をさ迷い続ける鬼形礼から「キミがいちばん苦しむように新聞が導くだろう」と言われます。ノリピーとの離婚やら、娘の事故の瞬間やら、時空を激しく移動させられる里見はまさに悪夢の連続波状攻撃を受けまくり、生きているのか死んでいるのか分からない状態。まるで無間地獄に落とされたようです。

そして事故の直前に戻った彼は、再び娘を焼き殺すわけにはいかないので、必死に助け出しましたが、今度はノリピーがダンプに轢殺されてしまいます。どっちに転んでも肉親見殺しかよ!と心の中で叫ぶ里見。そしてとうとう、里見に三度目のチャンスが訪れるのでした。果たして彼は家族を救えるのでしょうか・・・。

家族の絆ドラマから後半は、三上博史がトレードマークのガラス玉のような目の玉をグリグリさせて観客を混乱の渦に叩き込んでくれます。最後は「ろうそくをつぐ話」のようなハートウォーミングなオチなので、ちょっと泣けます。恐怖新聞を配る悪霊たちはターゲットを苦しめて地獄へ落とすのがミッションなので、結局は里見が犠牲になるように、しかも散々苦しんで、仕向けていくわけですね。実際のところオカルト映画というよりは、業に苦しむ人間ドラマという趣で予想外に重厚でした。

美人のスカーフェイス(傷面)ってなんか色っぽくてよいですなあ。特にノリピーですから、それだけでも見る価値があるといえます。そうそう、あまり冗談にもならないですがノリピーが遭遇するはずだった事故は、JR福知山線の大事故(2005年)のようで、不謹慎ではありますがあくまでも偶然とは言えスクリーン外の事実が効果として怖さをいや増します。

ある年代の方々にはひじょうに懐かしい、つのだじろう原作の「恐怖新聞」がアイデアソース。あの頃、つのだ先生は心霊研究の草分け(UFO方面は矢追純一)のコメンテイターとして夜の番組とかにもゲスト出演していました。同じ頃別の雑誌で連載されていた「うしろの百太郎」のようなエンタテインメント性(しゃべる犬とか出てくる)は少なかったと思いますが、あるときはポルターガイストが悪ガキに「悪いことは止めて良い子になれ!」と諭したりするので、そんなに悪い人(って悪霊ですけど)じゃないのでは?と主人公の鬼形クンと一緒に思ったりしました。

とはいえ、子供が炎上するシーンなんて、いくらCGでも見ていて不快です、ダメです、生理的にNGです。だからこそ?最後は三上パパと一緒に救われました。

里見の学校の教頭先生に、これまた懐かしい伴大介も登場するので、40歳以上の大人の頭にはさらなる電波が届くでしょう。ナレーションは津嘉山正種

2008年10月13日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2008-10-19