怪談三味線堀 |
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■公開:1962年 ■製作:東映 ■配給:東映 ■企画:石井寛治 ■監督:内出好吉 ■脚本:柳川真一 ■原作: ■撮影:杉田正二 ■音楽:小沢秀夫 ■編集: ■美術:塚本隆治 ■照明:中村清 ■録音:加藤正行 ■特撮: ■主演:品川隆二、伏見扇太郎 ■寸評:二枚目時代の品川隆二が血ゲロ吐く! ネタバレあります。 |
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全体的に物凄く薄い怪談映画、唯一の見どころは二枚目の品川隆二が大量血ゲロするところ(かな?)。 いかにもセックスがくどそうな越後屋・原健策をスポンサーに得て、踊りの発表会を催したおせん・千原しのぶは男嫌いの美人師匠。大師匠・三浦充子は男の好色につけ込んだ銭の代償は大きいのを知っているので越後屋にこまめなサービスをするようおせんを説得するが、身持ちの固いおせんはこれを断固拒否。ようするに男嫌いというのは「ブサイク、ドスケベ厳禁」ということなのであって実は「色男だったらウエルカム!」というのが本音。 発表会の会場で、華は無いけど実直そうな二枚目の青年、直吉・伏見扇太郎は、色敵タイプのスリの宗次郎・品川隆二に財布を盗まれてしまう。直吉は、実はおせんの生き別れの弟。放蕩のあげくに改心して気苦労をかけた実姉にお土産の珊瑚玉を買ってやっとこさ対面できると喜んだ瞬間のトラブル遭遇。そうとは知らない(あたりまえだけど)宗次郎は後を追ってきた直吉を匕首で刺して、通称・三味線掘に叩き込んでしまうのだった。その現場を目撃していたのが先輩不良の仁蔵・加賀邦男。宗次郎は直吉の財布の中身を半分取り上げられた上に、騒ぎを聞きつけた役人たちに追われて偶然飛び込んだのがおせんの家。 隠れていた宗次郎は、おせんと、おせんの尻を追い掛け回していた越後屋に発見される。おせんはこれ幸いと、宗次郎のことを知り合いだと紹介する。若くて男前でちょっとワイルドな感じの宗次郎とおせんが「デキてる」と誤解した越後屋はブツクサいいながらもすごすごと退場。金もあるし、いい女だし、独身だし、というわけで宗次郎はおせんの家の使用人兼ヒモ(結果として)生活をスタート。「やっと私のことを気にかけてくれる若い男ができたわ!」と内心狂喜乱舞のおせん、稽古もさぼって今日も今日とて若いツバメ(結果的に)と恋のアバンチュールを満喫。 だがしかし、好事魔多し。若くて美人でそんでもってセレブなのに気立てが良いお吉・北沢典子はおせんの弟子の一人。宗次郎は猛アタックをかけるが、お吉は世間知らずの超箱入り娘なので「まあ、なんて親切なお兄ちゃんなのかしら!」くらいな感じで無邪気に付き合う。そのころ越後屋は、おせんに対して可愛さあまってなんとやら、というわけで若い男から愛想尽かしされるように美人を台無しにするよう仁蔵へ依頼。最初は剃刀を凶器にしようとおもったがたまたま、行水用に沸かしてあった熱湯が手近にあったので、仁蔵はおせんの顔に大火傷を負わせるのだった。 宗次郎に入れあげていた段階で先輩オールドミスにして、身の回りの世話をしてくれていた女中・赤木春恵にも見捨てられたおせんをひたすら心配するお吉。宗次郎はすでにおせんは眼中になく、お吉にハートはロックオン。すがるおせんを振り切って宗次郎は家を飛び出す。失意のおせん。意外とケチだった越後屋の払いの悪さに怒った仁蔵は宗次郎と一緒に入った居酒屋でおせんの幽霊に遭遇。同時刻、おせんは三味線掘に投身自殺していたのだった。 実は直吉は生き延びていて、自分を襲った犯人探しと、お姉さんへの思慕が募ってもうすぐおせんの家に来るらしい。ヤバイと思った宗次郎はお吉を誘拐して逃げようとするが、越後屋は今度は宗次郎の始末を仁蔵に依頼。仁蔵もまたおせんの亡霊に追い回され、後を追ってきた越後屋を誤って刺殺。駆けつけた直吉の目の前で、仁蔵と宗次郎は互いを亡霊だと錯覚し、相打ちとなって三味線掘に沈んでしまう。 お姉さんの不幸な末路はショックだったが、ある意味、切り替えの早い直吉は、命を助けてくれた百姓の娘と小さな茶屋を開店。スポンサーは親父の罪滅ぼしもかねたお吉。ああ、なんていい子なんでしょう!お吉ちゃんてば!てなわけで大団円でメデタシメデタシ。 経済力のあるオールドミスが若い男に入れあげて、ジジイのジェラシーで顔面崩壊、そんでもって兄弟の因果応報。「真景累ヶ淵」とかアレやコレやで、どこかで聞いた様な話の筋だし、かといって色敵が妙に純情な奴だったり、幽霊がこれといって怖くなかったり、肝心の二枚目に華がなかったり(しつこい?)、というなんとも中途半端な怪談映画。いっそのこと、不良(宗次郎)が更正しようとして、正直すぎるところが災いして自滅する。そういう青春映画にしちゃったほうが良かったんじゃないか?幽霊なんだけど、正義の幽霊とかにして、若者たちをたしなめたり、悪い大人たちを懲らしめたり。全然怪談っぽくないけど、そのほうがキャラ的にも楽しめたと思うがなあ。 客が勝手にストーリー変えちゃダメだけど、どうにもダメな映画なので許して欲しいぞ。 東映の時代劇で活躍した千原しのぶは顔も薄いが幸も薄い役どころが多い。仇っぽいオネエさんやってても見た目の度量が狭くて、性格キツそうで、暗そうに見えちゃう。笑うとカワイイし美人だと思うんだけどどうにもこうにも割喰ってる印象だ。一方、新東宝のアイドル北沢典子は結果はどうあれ何時どんな映画でもほぼ「いい娘」役をゲットする。本作品同様、ちょと馬鹿っぽいけどそこが男性のハートをゲットして、同性からは「なにさ、あんな小娘!」とか陰口叩かれそうなタイプ。 二枚目から色敵への転落とまでは言わないけれども、血のりゲボゲボ吐いちゃったら二枚目台無しだろう、大丈夫だったのか?と、思わず心配してしまったのが品川隆二。大映時代のバリバリの二枚目や、後年のテレビ時代劇でマシンガントークの三枚目を見慣れている人(・・も少ないだろうけど、最近は)にとってはちょっとこの役、ドン引きだ。原建策と加賀邦男の下世話感は薬籠中のものだからノープロブレムだが、品川隆二じゃなんかカワイソウになっちゃう。同期の花形スターに比較して、影の薄かった伏見扇太郎は本作品でも主役なのだが、あまり登場しないし、活躍もしないし、印象にも残らない。 なんか、薄いんだよね、全部が。 (2008年08月14日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2008-08-14