歌姫魔界をゆく |
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■公開:1980年 ■製作:パノラマ・フィルム ■配給:パノラマ・フィルム ■製作:宇佐美典久 ■監督:長嶺高文 ■脚本:長嶺高文 ■原作: ■撮影:志賀葉一 ■音楽:(ヒカシュー) ■編集:須藤千保 ■美術:郡山陽子 ■照明:渡辺敬三 ■録音: ■特撮: ■主演:謎 ■寸評: ネタバレあります。 |
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1980年、まだ日本国にはナンセンスとかパロディとかを受け入れる土壌が存在した。カルトというのは時を経て、観客が認定するものであるという常識を覆す、最初(ハナ)っからカルト狙いという暴挙に出た激安ホラー映画。ここまで馬鹿馬鹿しいとある意味、尊敬。 歌に自信の無いミッキー・栗田洋子と元女子プロレスラーのドナルド・藤原清世は駆け出しのアイドルユニットである。二人は冴えないマネージャー・桂歌はち(現・桂歌春)が運転するおんぼろ車に揺られて、日本のどこかの山間部へキャンペーン活動に向かう。象の群れに遭遇し、キリンが駆け回る(全部ホリゾントの映像)摩訶不思議な風景が展開しても脳天気な二人はわりと平気。ところがブレーキが故障してしまい、車は崖からダイビングした挙句にパンクして動けなくなってしまう。 そこへイカレタ宗教活動家のような扮装の召使・大泉滉が自転車に乗って現れ、一行を古い洋館に案内する。古いけどゴージャス、キャンペーン活動でこき使われるよりこの際だからと修学旅行気分のミッキーとドナルド。洋館の女主人・亀渕友香のペットは飛行訓練中のドラゴン「花子」。洋館のダイニングルームはエレベータで降下した地価にある。しかしそこは、地下の癖に夕日がばっちり差し込むという謎な空間なのだった。 豪華な夕食は花子の卵を焼いた巨大目玉焼き。マネージャーは今日が仏滅で満月であることをしきりに心配する。なにせ彼は「丸く光るモノ」を見ると、物凄く不細工な狼男(分かりやすいカブリモノ)に変身してしまうのである。召使にあやうく正体を見破られそうになったマネージャーであったが、ミッキーの機転で何とかセーフ。しかし、その夜、召使はひそかに凶器を準備して天井裏からマネージャーの頭を一突きにしてしまうのだった。 R指定確実な大量出血、股間から突き出た槍の先から滴り落ちた血が、階下の二人の部屋の薔薇を真っ赤に染めてしまう。ちょうどその頃、ドナルドは空腹に耐えかねてミッキーの喉元に噛み付いていた。ドナルドは吸血鬼ドラキュラの末裔なのだった。解体されるマネージャーの身体。だが彼もモンスターなのでなかなか死なない。そこで召使は彼の生首を冷凍庫にぶち込んでしまう。低体温には弱い哺乳類、とうとう狼男は絶命するのであった。 女主人は若い二人の肉体、っていうか肉そのものに食指がビンビン。洋館の秘密を暴こうとミッキーは探偵を始めるが、うっかり花子に食べられてしまうのだった。いよいよ最後に残ったドナルドに召使の巨大な剣が襲いかかる。一撃で首を跳ね飛ばされてしまうドナルド。噴水のようにイキオイよく吹き出す大流血を目の前に「よーし!二人をやっつけてやる!」と、叫んだかと思ったら首と胴とが超合金ロボットのようにガッシーンと合体、ドナルドはドラキュラ姫に変身し、洋館の中をひとっ飛びしてまずは召使を撃破するのであった。 続いて女主人を追うドナルド。慌てた女主人にライフルで反撃されるが、ところがどっこいびくともしない。二人はくんずほぐれつの大乱闘の末に魔界に転落。先に覚醒したドナルドに花子が火炎放射。しかしドナルドの反撃により花子は魔界の淵からさらに転落(そこから下?って地獄?)。女主人の反撃も凄まじく、ドナルドは大ピンチ。そこへ花子が産み落とした卵から、ミッキーが奇跡の復活。二人は無事に逃げおおせ、アイドル歌手として大ヒットに恵まれて、その年のレコード大賞のみならず、グラミー賞まで獲得してしまうのでありましたとさ。 どーだ、くーだらないだろう?字面追ってるだけでも馬鹿馬鹿しさがヒシヒシと伝わろうというものだ。とにかくこういう映画があったということは記憶に留めておいていいかもしれない。留めておくだけでいいかもしれない。 女主人はカニバリズムの魔女、召使は殺人狂、アイドル二人とマネージャーはモンスター。もう、一人くらいマトモなヤツはおらんのかい!花子(人形アニメによるダイナメーション)の造形がカワイイのが唯一の救いなのだが、ドラキュラ姫の「付けキバ」の貧乏臭さも途中から、ひょっとしたら癖になるかもしれない。 当時、歌って踊れるデブ女といえば亀渕友香であって、彼女の兄は深夜放送「オールナイトニッポン」において「カメカメエブリボデー!(come come everybodyのことだと思われる)」と馬鹿声張り上げていた、現在は、ライブドアの買収事件の際に男気を炸裂させた株式会社ニッポン放送取締役相談役の亀渕昭信である。 音楽はヒカシュー、挿入曲は「二十世紀の終わりに」、とことんカルト。 (2008年05月18日 ) 【追記】この作品は、邦画系ライターの方から頂いたDVDで鑑賞いたしました。一応、快気祝(筆者、手術直後につき)ということでありがたく拝見しましたが、縫合跡が裂けるくらいのトンでもない映画でした(爆)。本当にどうもありがとうございました>Sさん。(2008/04/08) |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2008-05-18