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顔役と爆弾娘


■公開:1959年

■製作:東宝

■配給:東宝

■製作:安達英三郎

■監督:筧正典

■脚本:若尾徳平

■原作:

■撮影:玉井正夫

■音楽:松井八郎

■編集:

■美術:小川一男

■照明:石井長四郎

■録音:三上長七郎

■特撮:

■主演:中島そのみ、三橋達也

■寸評:

ネタバレあります。


ファニーフェイスで売り出した東宝のお姐ちゃんトリオの一人、中島そのみ主演の喜劇映画って言ったらいいか?アクション映画と言ったらいいか?微妙。

東京は上野にある老舗(ただ単に創業が古いだけ)の下駄屋、そこの娘の久子・中島そのみはアニメ声のお転婆娘である。徹底的に洋風を嫌う父親の金之助・沢村いき雄の目を盗んで歌のレッスンに精を出し、プロデューサ・中村哲の紹介でやっとこさ受けたオーディションの本番、緊張すると飛び出すシャックリのおかげで散々なことに。

久子の弟の信吉・西条康彦はとうてい高校生には見えないが正真正銘の高校生。久子の彼氏は靴屋のセガレの光雄・瀬木俊一なのだがこれが大の猫嫌い、身体はうすらデカイが存在感ゼロ。しかし、ここまでボーイズに華がないキャスティングというのはいかがなものか?大人のほうはどうだろう?

町を牛耳っている幸田組という暴力団の組長、幸田・中村伸郎は何者かの密告で現在、服役中。なんでこんなところにいるんだ?という感じがしないでもない中村伸郎はインテリヤクザのボスなのだが、こういう役は全部、平田昭彦(様)に任せておけばいいはずだ。忙しかったのか?アクションパートはどうか?

親分の留守を預かる穏健派の幹部はミサイルの健こと健二・三橋達也。そして、悪役は徹底的な武闘派の幹部、五十嵐・中丸忠雄。五十嵐は冗談みたいなスカーフェイス、顔に傷なんかつけなくても十分に怖いですから、というメイクの人のアドバイスとかなかったんだろか?それはさておき、高校生の分際でキャバレーで飲み代をホステスから借金しようとした信吉とそのお友達に鉄拳制裁の五十嵐に対し、弟の負傷に怒鳴り込んだ久子に紳士的な態度をとる健二。兄貴分の健二に、最初はおとなしい五十嵐であった。上手いなあ、この頃の中丸忠雄、態度のでかい暴力団の構成員(役)。

久子は地元の後輩が当たり屋をやって脅していた金持ちの息子を救ってやったおかげで、彼は婚約者・柳川慶子をふって久子にプロポーズ。気位の高い母親・一の宮あつ子は身分違い理由に最初から久子を嫌っているので、行儀見習いのために住み込んではみたものの、見事にソリが合わずに久子は金持ちの家を飛び出してしまうのであった。

おとなしい健二にイラっときたのか?親分のために保釈金を集めはじめた五十嵐たちは、これを断ったおでん屋・宮田羊容の店を破壊する。健二は五十嵐を諌めたが当然、無視。そうこうしているうちに幸田が出所、ヤクザから足を洗いたい健二は密告者の摘発を条件に出されてしまい悩む。

そこへ、ポジティブオーラ満載の久子が現れ健二を励ます。靴屋の親父、吉川・藤原釜足を拉致した幸田組は密告者の名前を白状するように迫るが、実は吉川も誰だか知らない。そこで幸田は五十嵐たちに商店街を木っ端微塵にするように命令。身体を張って止めた健二をフルボッコにした幸田たちであるが、健二の身を案じた久子の提案を受けて奮起した商店街の一同が、生活道具を凶器にしてリンチの現場を急襲し幸田一家を撃退。駆けつけた警官に保釈中の幸田を含めて全員逮捕され、久子は健二とラブラブになるのでありました。

おーい!久子!あのノッポの彼氏はどうしたんだ?光雄君、いつの間にか消えてるが?乱闘には参加してたけど。

このヤクザたちは拳銃もってなかったので、最後の乱闘シーンなんて特に幹部クラスの五十嵐には庶民が5人かかりで大騒ぎである。モブシーンだし夜だからよく見えないだろうと気が緩んだのか?西条康彦なんてずーっと笑いながら中丸忠雄をデッキブラシで小突き回していた。おそらく中丸忠雄のアクション俳優としてのキャリアにおいて、デッキブラシに敗北したのは後にも先にもこれ1本だけだろう。っつーか、顔はよく見えてないけど、若い姉ちゃんが腰にしがみついているので彼女が転ばないように遠慮しながら格闘、というかとりあえず暴れているのが笑えるんだが。

中島そのみの名前を聞いて顔はピンとこなくても「頭のてっぺんから声出す」と言えば思い出す人は多いかも。今で言うところの「アニメ声」である。この映画ではカーリーヘアで太っといボーダーのワンピース姿、まるで「アニー」。啖呵を切らせればピカ一で団令子、中島そのみ、重山規子「お姐ちゃんトリオ」というユニットだった。

アクション映画も多いけど三橋達也って実のところ運動神経いいのか?どの映画見てもこの人の素手の擬斗って野暮ったくて、てんでカッコ悪いと思うんだが。やっぱ銃器持たせないとダメだな。三橋達也はこういうお手軽な喜劇に引っ張り出されてもそれなりに楽しそうである。割り切ってんだろな、たぶん。

2008年04月13日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2008-04-13