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遥かなる男


■公開:1957年

■制作:東宝

■制作:田中友幸

■監督:谷口千吉

■助監督:岡本喜八

■脚本:八住利雄、木村武

■原案:池田一朗

■撮影:山田一夫

■音楽:別宮貞雄

■編集:

■美術:阿久根巌

■照明:横井総一

■録音:藤縄正一

■特撮:

■主演:池部良

■寸評:大塚国夫は騎座の深いブリティッシュスタイルだけど良ちゃんのは腰を浮かせる軍隊馬術。

ネタバレあります。


イケメンヤクザの男が親分の情婦と心中未遂を起こして親分の恨みを買い、逃亡生活の途中、養蜂業を営む父娘と出会い、ひなびた牧場で蜂にまみれて蜜を集めていると、牧場主の出戻り長女が意外と美人で、そこの牧童頭は不細工なくせにアッチのほうだけは大した野郎らしく、嫉妬深いグラマーな若い女とヤリまくりながらも、長女を狙っており、でも長女はちょっと陰のある男のほうにイチコロなので、自慢の乗馬も男にしてやられてしまっている牧童頭としては面白くない。牧童頭は品評会に出す名馬を盗み出して男の責任にしようとしたが失敗、ちょうどそのころ蜂屋の親父の一人娘が牧場主の長男と相思相愛になってしまい、親は大反対の真っ最中に、男の後を追ってきた若いチンピラ二名が牧場に現れて・・・とここまでがざっくり前段。

豪雨の中の峠の道(ジオラマとセット)でずぶぬれの八郎・池部良を拾った蜂屋の親父・田崎潤は、大根役者の、じゃなかった初々しい芝居の一人娘の萌子・家田佳子が、見かけはいかついが鬼嫁・沢村貞子には頭の上がらない牧場主・上田吉二郎の遺伝子から生まれたとは到底思えないインテリで軟弱な息子、陽一・大塚国夫との身分違いの恋をメキメキ発展させているのがちょっと心配。ちなみに出戻りの長女、弘子・新珠三千代は萌子を応援中。八郎は八郎でほっといてもモテるのに荒くれ馬をらくらくと乗りこなしちゃって牧童頭の野島・堺左千夫と大喧嘩。蜂屋は居候の身の上だから因縁つけてきた野島に対して八郎は頭を下げさせられ、なんでも暴力で解決してきたヤクザの人生に決別宣言。

そしていよいよ物語はクライマックス。

一度は追い払われたヤクザの二人組・佐藤允山本廉は兄貴分の安西・平田昭彦(様)を連れて舞い戻る。萌子と別れさせられた陽一がやけをおこして落馬、破傷風にかかってしまうのだが、なにせ山奥の牧場なだけに麓の町まで血清を取りに従業員たちが向かうのだが、折悪しく台風が来襲してしまい、崖が崩れて電話線は切断されるわ、交通手段はないわで、陽一は生死の境をさまよう。ヤクザが蜂屋の小屋に押し入ってきて八郎も観念しかかったところへ、血清を取りにいって欲しいと弘子が飛び込んできて、形勢逆転。八郎は無事に血清をゲットして山道を馬で急いで戻ってくるが、そこにヤクザたちと野島が待ち伏せをしているのだった。

おお!なんかハラハラドキドキの連続で、見せ場の嵐で、良ちゃんは相変わらずブッキラボーだけど物凄くカッコよくて、あ、でも欲を言えばもうちょっと胸厚欲しいかな?とか、ちょっとなで肩だなあとか、背高いし、足長いし、等々、池部良ファン的にはとってもオッケーなのだが、若い衆のままごとのような恋とか、凶悪なヤクザの銃撃戦とか、牧場の荒くれどもとか、そうした要素が今ひとつパンチが効いていないので全体のテンポがユックリズムなのが惜しい。

新珠三千代が気の強いヴァンプな感じで、アメリカ西部劇の空気感を再現しようとする努力は天晴れだ。八郎がヤクザに追われている秘密は首のバンダナに隠されているのだけど、いかにも優男な証拠の「傷」がなんともいい感じ。男前の傷は婦女子にはたまらない魅力の一つ。で、意外なほど乗馬が上手いのが大塚国夫と池部良。どうしようもなかったのが家田佳子の芝居。だって泣いてるんだか笑ってるんだか区別つかないし。

途中まで全然出てこないので心配(か?)してたら「お、出た!」っていう感じの平田昭彦(様)。元は池部良の弟分だったらしく、断末魔に助けを求めて、池部良は負傷しつつもギリギリまで助けてあげようとする。でもきっと助けちゃったら絶対に撃ってきそうな感じがするんだが。生き残るのが佐藤允だったらマジで良ちゃんヤバイですぜ。老婆心ながら。

日活の無国籍アクションの大先輩的作品。

2008年02月24日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2008-02-25