「日本映画の感想文」のトップページへ

「サイトマップ」へ


TRICK -劇場版2-


■公開:2006年

■制作:東宝

■製作:早川洋、島谷能成

■監督:堤幸彦

■助監督:

■脚本:蒔田光治

■撮影:伊藤伸行

■音楽:辻陽

■編集:伊藤伸行

■美術:稲垣尚夫

■録音:中村徳幸

■照明:川里一幸

■主演:南道郎

■寸評:

ネタバレあります。


トリックのパロディ、とどめは「貞子」であった。

パロディというのは難しい。魅力的な元ネタというのはそうは簡単に見つかるものではない。ちなみに筆者は「スチュワーデス物語」を見たことがないので、手袋をしている片平なぎさの価値がよくわからなかった。年齢的に見ていないのではなく「パイロットといえば田宮二郎」という嗜好の問題。パロディとはこのように観る者の共感を得なければならないのである。喜劇の基本は主人公が笑わないことだと思うが、その点において仲間由紀恵の表情の固さはすばらしいと言える。

シリーズはいつか終了する、そして大体の場合、その前に息切れする。

あいかわらずおだてに弱い日本科学技術大学の上田教授・阿部寛は、著書を持ち込んできた青年、青沼和彦・平岡祐太から幼少の頃、かくれんぼの最中に彼女・堀北真希(成長後)をタイムトラベラーな超能力者である筐神佐和子・片平なぎさに拉致られたので取り返して欲しいと頼まれる。上田は徹底的に超能力を否定している、だが怖い、というへっぽこなので今回も有能な弟子、山田奈緒子・仲間由紀恵を巻き込むことを思いつく。遊園地の営業くらいしか仕事がないマジシャン・マギー司郎の舞台でドジを踏んだ(しかも上田のせいで)山田は金のために上田とともに筐神島へ向かう。

疑い深い(というかまともな神経の持ち主であった)島民たちをめくるめくイリュージョンでだまくらかして手下にした筐神佐和子のインチキを暴こうとした二人は、崖から転落し、穴にハマリ、焼け死にそうになって、やっと見つけた幼馴染と筐神佐和子の秘められた過去にたどり着くのであった。

禿げに効能のありそうな富毛村という名前につられた馬鹿刑事、矢部・生瀬勝久とその部下、秋葉・池田鉄洋はまたもや温泉に漬かりっぱなしで活躍ゼロ。山田の母であり金の亡者でもあり影ながら結果的に娘のピンチを救う母の山田里見・野際陽子は選挙活動を展開、見事に落選するのであった。

とうとうシルエットやリアクションだけでなく、なつかしい「蝶々処理(注:昔、規制にひっかかっちまったイタリアあたりのエロい映像の大事な部分のエマルジョンをガリ版のペンみたいので直接ひっかいて視認できないようにする処理が多く行われており、アニメーションで蝶々が羽をひらひらさせているように見えたものである・・・って懐かしいねえ)」で上田の股間が大い強調されていたことは、ついにシモネタに市民権を与えてしまったのか?とトリックファンを大いに落胆させたと思われる。

インチキ宗教の教祖が過去の因縁でほにゃららして、親子の情がどーたらこーたらで、というオチはすでにマンネリなので観客は、いかにして山田奈緒子がトンでもない目に遭うか?そして上田次郎はどこでイチモツをネタにするのか?矢部刑事と秋葉はどこの温泉に入るのか?というあたりが見所になる。ようするに小芝居ネタに終始するのである。今回は、ゆーとぴあの古のギャグ「よろしく・ねっ」と口にゴムひもをくわえさせてはじくという芸(か?良い子も悪い子もマネしちゃだめだぞ)がシツコク登場する。

筐神島の要塞で「よろしく・ね」のギャグを集団で練習するシーンで「燃えよドラゴン」のほうを思い出したのだがそれは正解なのだろうか?だって、ほらあの天津敏みたいな悪役の人も義手だったわけだし。と、そんなことに囚われてしまうほど正直、底抜けの能天気さがなくてツライ仕上がりだったと感じる。

すでに山田奈緒子の因縁は岡田真澄の死去とともにとってつけたエピソードとなってしまい雲散霧消。野際陽子もコメディリリーフと化してしまい見るべきものが少なすぎるのだ。こうなったらあとはゴジラでも出す以外に続編はありえないのではないか?それくらいやりそうだが、その前に、客はいるのか?

2007年06月03日

【追記】

※本文中敬称略


このページのてっぺんへ

■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2007-06-17