初恋カナリヤ娘 |
|
■公開:1955年 ■制作:日活 ■製作:水の江滝子 ■監督:吉村廉 ■脚本:柳沢類寿 ■原作: ■撮影:中尾利太郎 ■音楽:清水保雄 ■編集:鈴木晄 ■美術:中村公彦 ■照明:大西美津男 ■録音:酒井栄三 ■主演:フランキー堺 ■寸評: ネタバレあります。 |
|
岡田真澄は最初から日活に所属していたわけではなくそもそもは東宝のニューフェース(6期)である。ただし映画デビューはこの作品。ちなみに小林桂樹は特別出演。 東京の深夜、こんな時間に起きて活動している奴はロクなもんじゃない。ただし、年中無休二十四時間営業の警察官・小林桂樹は除く。先祖代々続いている小鳥屋の主人、金八・清水一郎には歌の上手な娘、ハル子・神楽坂浮子がいる。ハル子は隣接する木造アパートの2階に居住しているバンドボーイの信吉・岡田真澄がかっこいいので大好き。信吉もハル子の歌唱力を高く評価している。信吉のトイレおよび炊事場共同のボロいアパートをさらにルームシェアしているのは同じくバンドボーイのフラ吉・フランキー堺である。 フランキーだから「フラ吉」この安直なネーミングがたまらない。 アパートの住人は皆、なんとなく怪しい。徹マンあけに雑魚寝する4人組、深夜に帰宅して巨大なスーツケースに話しかける不気味な男・有島一郎。たぶんそのケースの中身は「富江」に違いない(なわけない)。で、もう一人、つい最近越してきたのはヴァンプなお色気を振りまく姉御、キヨ・丹下キヨ子。彼女は海外でも活躍していた歌手らしい。 丹下キヨ子だから「キヨ」この安直なネーミングがたまらない。 信吉はハル子を勤務先のクラブで演奏しているビッグバンドのバンマス・弘松厳に紹介すると約束したが、すったもんだあって採用されたのはキヨのほう。歌手志望のハル子に父親の金八は「オマエの母親も歌手になりたいと言って家出した」と告白。「やっぱり血は争えないわ!」と自らの才能に確信を深めるハル子であったが、せっかくのデビューのチャンスを奪われて夢も一気にクールダウンするのだった。 キヨが採用された店に、金八が店内装飾用としてレンタルしている小鳥をリプレイスにやって来る。なんとキヨは金八の元女房、つまりハル子の母親なのだった。運命の再会を喜んだ二人、背丈はノミの夫婦だが実は金八のほうは未練タラタラ。しかしハル子の将来を考えた二人はすぐさま喧嘩をおっ始めるのであった。フラ吉が徹マン4人組とトラブルを起こす。乱闘の末、なんとか撃退したフラ吉であった。 ハル子もバンマスに認められて歌手デビューを果たし、母子競演も成功。金八ともヨリが戻る。フラ吉を付けねらっていた徹マン4人組は実は強盗団だったことが発覚し、警察官にしょっ引かれて行った。信吉とハル子がいい感じになった頃、一人さびしく銀座の町をさ迷うフラ吉がいた。 フラれるから「フラ吉」だったのか!こりゃ一本とられましたな。 だけどフランキー、すっげー!ドラム、すっげー!フランキー堺のドラムソロが1分弱。これだけのために映画作ったとしか思えない。 世の中にデブとノッポがいるかぎり喜劇のタネは尽きないのであるが、デブじゃないけど明らかにルックスで劣るフランキー堺に対して、あまりにも背が高いので頭頂部がスクリーンの上に出てしまう岡田真澄のデビュー当時の姿が拝める。 晩年、すっかり貫禄つきまくりではない岡田真澄はこの映画では演技以前であるけれど今時のジャニーズも尻尾巻いて逃げ出すくらいの美形なので婦女子の視界は良好だ。さらに劇中、浜口庫之助がマラカス持ってマンボを歌って踊る(もちろん作曲はハマクラだ)という嬉しいオマケ付。さらにさらにクレイジーキャッツに参加する前、フランキー堺のシティスリッカーズ時代の植木等と桜井センリが張り切りボーイよろしくパーカッションとピアノを担当している姿を発見することができる。当然、ノンクレジットだ。フランキーの乱闘シーンではショートコントも披露、一瞬なので見逃さないように。 本作品はいわゆる添え物映画であるが、今日的評価が別のところに見出されることもあるので侮れない。 ちなみに、いかにも怪しい男、有島一郎の正体は実は腹話術師なのだった。スーツケースの中には等身大の女性の人形が入っており、彼もまたクラブに就職できたので二人(有島と人形)は祝福のキスを交わすのであった。うーん、どうみてもそれってダッチワイフじゃないのか?と邪な考えを持ってしまったのは私だけ? (2007年04月22日 ) 【追記】 |
|
※本文中敬称略 |
|
file updated : 2007-04-24