人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊 |
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■公開:1968年 ■制作:東映 ■制作:大川博、俊藤浩滋、日下部五朗 ■企画:岡田茂 ■監督:小沢茂弘 ■脚本:棚田吾郎 ■原作:毎日新聞社編 ■撮影:吉田貞次 ■音楽:木下忠司 ■編集:堀池幸三 ■美術:鈴木孝俊 ■照明:増田悦章 ■録音:中山茂二 ■主演:鶴田浩二 ■寸評: ネタバレあります。 |
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予備役と予科練の学歴対決。それがひとつの目的、必死の攻撃へ向かって和解していく。 太平洋戦争末期、大里大尉・鶴田浩二は戦局打開のために破壊力抜群(予定)の新兵器の開発を上層部に進言。構造的な欠陥を指摘したのは大里と同室の三島少尉・松方弘樹であったが、協力し合って精度をアップしていくうちに仲良しになる。理論派の大里に対して直情径行の三島は、うだうだぬかした荻野大尉・小池朝雄を国賊呼ばわりする元気のよさ。「回天」と命名されたその新兵器は潜航艇に強力な爆弾を積んで目標へ突撃する特攻兵器。高度な操舵技術が求められるので高学歴の予備役が召集される。リーダー格の吉岡少尉・梅宮辰夫は実家が獣医、軟派の潮田少尉・伊丹十三の特技はバイオリン。 そんなこんなで試作機が完成する。湾内での実験訓練には予備役が協力。しかし吉岡と大里が乗った艇がいくら待っても浮上してこない。順番を譲った潮田と、整備の徳永兵曹・遠藤辰雄は責任を感じる。 大里には慎重すぎると見えた指揮官、片山少佐・池部良の予感は的中。回天第一号機の実験は失敗。翌朝、海中から引き上げられた艇内から脱出不可能と覚悟して自決した二人の遺体と遺書と壁の落書き(本物)が発見される。作戦そのものが極秘なので戦死の報告もできず、遺体も遺族に返せない。三島は大里の妻・藤純子に大里は転属したとウソの連絡するが、生前、死んだら渡すと大里が言っていた預金通帳を見た瞬間、妻は戦死を直感。 えーっ!もう死んじゃったの?鶴田浩二、あと、あとどうすんのさ!と心配しきりの客(筆者含む)であった。 軍神となった大里のおかげさまかどうか実験はその後順調に進む。残された三島と潮田、軍人教育バリバリの予科練出身である三島は「死ぬこと」を目標に、大学生の潮田は「生きること」を目標に、それぞれ教育されてきたので価値観の相違はしかたないのだが、大里の純粋なスピリットには共鳴していた。 第六艦隊の指令官長・近衛十四郎により回天特攻部隊、菊水隊が編成される。最後の思い出作りに親しい人や家族との面会を許された隊員たち。実家に戻った三島は極秘任務中なので一時帰宅の理由は説明できない。竹井二兵曹・山田太郎は許婚のイチ・小川知子に会う。三島はなるべくフツーに父・志村喬、母・荒木道子と夕食後の団欒をするが、正直な性格が災い?して別れの盃状態になってしまうのだった。 潮田と学生結婚していた妻・佐久間良子も勘のいいタイプだから、もう帰ってこないんじゃないか?と察してしまう。死んじゃった吉岡の家族の様子は三島が見に行くことになる。吉岡の兄・江幡高志と姉・桜町弘子は吉岡がかわいがっていた犬を三島に会わせたところ、軍服姿の三島に懐いて甘えた声を出す。犬のいい芝居に申し訳なくなっちゃった三島は泣き出してしまい、事情がバレバレになるのであった。 遠くに家族がいるため、会う時間のない17歳の芦沢二飛曹・宮土尚治(現・桜木健一)は母親代わりの旅館の女将・三益愛子に甘えてすごす。芦沢に白いマフラーをせがまれた女将は遠くまで白い絹布を探しにいくがなかなか見つからない。同情した呉服屋の主人・藤山寛美 が娘の婚礼衣装用にとっておいた絹布を分けてくれた。 まだ十代の若者を率いて特攻する指揮官のつらさを、大里大尉の遺影を前に実感する三島。 遺影になってもまだ強大な影響力を持つ、さすがは鶴田浩二、そういう場面じゃないですが。 いよいよ出撃の日。菊水隊は司令長官、片山少佐、栗原中佐・大木実、このほか大量動員された下士官や整備兵・東映の大部屋俳優軍団と吉岡がかわいがっていた野良犬の子犬、および女将に見送られる。 回天を発射する潜水艦は「イ」号、見送るのが池部良、運命の再会である。ここのセットが微妙にしょぼいがこの際、許す。極秘作戦のわりに民間人が続々と見送るのであるが、これも許す。 潜水艦を操舵する磯崎大尉・藤岡重慶(他の映画ではおよそ見られぬくらいの人格者、かつ、かっこいい)が渋い声で若者たちを激励。三島、竹井、芦沢がそれぞれ回天へ乗り込む。ハッチ閉鎖の無機質な音が響く。磯崎と滝口航海長・千葉真一との無線を最後に、回天は敵艦に突進していくのだった。 撃沈するところがやたらとリアルな映像だな、そりゃ記録映像だから?正確かどうかはわからないけど。オールスターなんだけど、里見浩太朗、天津敏、山城新伍とネタはやや小粒、しかもかなり出場が少ないので見逃さないように。 ドキュメンタリータッチで余計な演出がないからかえって悲壮感がアップ。随所に本物の映像を使っているのでよけいにそう感じるのかも。前段の開発苦労話はどうでもよくて(二人が実験中に亡くなるのはどうでもよくないが)最後の最後、狭くて息がつまりそうな空間に三人が個別に押し込められて突撃までの数分の、時間の短さが余韻を残す。この映画に出てくるいろんなものを止められなかった日本人の子孫として見ておくとよいかも。 (2007年02月04日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2007-02-12