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修羅雪姫


■公開:1973年

■制作:東京映画

■制作:奥田喜久丸

■監督:藤田敏八

■脚本:長田紀生

■原作:小池一雄、上村一夫

■撮影:田村正毅

■音楽:平尾昌晃

■編集:井上治

■美術:薩谷和夫

■照明:石井長四郎

■録音:神蔵昇

■主演:梶芽衣子

■寸評:

ネタバレあります。


明治初期、ホームレス一掃をもくろんだ柴山源蔵・小松方正を暗殺した修羅雪・梶芽衣子は、乞食の大将・高木均に、全国乞食ネットワークを駆使して、父と母の仇を探してほしいと依頼する。

徴兵令施行のために農村へやってくる明治政府の役人が白装束であることから、たまたま白い背広を着て村の小学校に赴任してきた修羅雪の父・大門正明を、役人だと嘘こいて惨殺した竹村・仲谷昇、塚本・岡田英次、徳市・地位武男、東映のゴッドマザー(嘘)こと、おこの・中原早苗は、村人から金を巻き上げてトンズラしてしまう。しかも行きがけの駄賃とばかりに修羅雪の母、小夜・赤座美代子を輪姦(おこの以外)する。四人の中ではボンクラだった徳市とともに東京へ出た小夜は、肉体を武器に徳市を篭絡しその絶頂の瞬間に刺殺。収監された小夜は獄中で修羅雪、こと、雪を出産し命を落とす。同房の女囚、お寅・楠田薫が小夜の遺志を受け継ぎ、雪を優秀なヒットマンに育成すべく、僧侶、道海・西村晃に預ける。

ようするに、いずれは父母の無念を知るだろうけれども、何も知らない娘には平凡な人生を歩ませてやってもよかったんじゃねえの?と観客は思うわけだが、死んだ母親の末路を聞かされた雪(子役)は素っ裸にされたり、池に突き落とされたりという和尚のスパルタ教育の賜物で、たぶん小学校にあがったころに改造手術でもされたんじゃないか?っつうくらいアクロバティックな殺人スキルを身に着けてしまうのだった。

やっと見つけた竹村は胸を病み、かわいい一人娘の小笛・中田喜子が身体を売って稼いだお金で暮らしていた。一瞬、ためらう雪であったが、小笛のために竹村をひそかに呼び出し、自殺に見せかけて磯で血の海に沈める。 次に見つけた塚本はすでに死亡していた。ムカついた雪は墓石に斬りつけて憂さばらし。その様子を見ていたジャーナリストの足尾竜嶺・黒沢年男(現・黒沢年雄)は道海にインタビューして雪のノンフィクションを出版する。その記事を読んだおこのは、竜嶺を捕らえて拷問にかける。

これらはアナキスト和尚の道海による、マスコミを利用して仇をおびき出そう作戦なのだった。雪の復讐に怯えたおこのは要塞のような館に逃げ込んだが、雪の執念が偽警官の包囲網を突破、追い詰められたおこのは首吊り自殺してしまうのだった。塚本に続いて、せめて一太刀浴びせたくなっちゃった雪は、首吊り死体を胴真っ二つに切断するのであった。

なりふりかまわず「やりすぎる女」それが雪なのである。

雪は、外見はクールビューティーなのだが、道義的な目的よりも、相手を痛い思いをさせて血みどろにしないと収まらない感情優先派なのである。ゆえに、心苦しいけれども小笛を敵に回すようなことも平気でやってしまうのである。

仇を討った(と思った)雪は竜嶺とラブラブになり、生まれて初めて女性としてのハッピーを知るのであった。その矢先、雪の復讐が完了していなかったことを竜嶺は知ってしまう。そして、よしゃあいいのに雪にその事実を知らせてしまう。なんとなんと!(by広川太一郎)塚本は生きていて、ちゃっかり死の商人として成功していた。そればかりでなく竜嶺は塚本の実の息子なのだった。

塚本を追って鹿鳴館に乗り込む雪。そのとき、鹿鳴館は紙製のちゃっちいマスクをつけて踊りまくる仮面舞踏会の真っ最中。鏡の間で、雪は塚本の手首をふっとば一刀両断にしたと思ったら、なんとそれは替え玉であった。怒髪天状態になった雪はからくり屋敷のような鹿鳴館の天井へ、竜嶺と一緒に向かった。天井にはドバトが乱舞、実の息子に拳銃を向ける塚本、竜嶺が拳銃の弾を乱射されつつ必死に塚本を押さえ込む、雪は「因果応報」と叫び親子セットで串刺しにし、さらに血ゲロ吐きまくりの塚本の頚動脈を分断するのであった。

大混乱の鹿鳴館を朦朧としながら歩み出た雪に父の仇を討つために小笛が突進する。ドテッパラにドスを食らった雪は、血まみれの雪を握りしめながら号泣するのであった。

「さそりシリーズ」で芽衣子さんに目覚めた輩は、その血みどろ加減が絶品な本作品を絶対に見逃してはならんぜ!ちなみに続編の「修羅雪姫・怨み恋歌」はさらに濃い内容なのでこちらも見よう。キャラ立ちまくりのスプラッター時代劇。

2007年01月14日

【追記】

※本文中敬称略


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■日のあたらない邦画劇場■

file updated : 2007-01-14