妖怪大戦争(2005年) |
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■公開:2005年 ■制作:『妖怪大戦争』製作委員会(角川映画、日本映画ファンド、日本テレビ) ■制作:角川歴彦、黒井和男、プロデュースチーム「怪」水木しげる、荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆき ■監督:三池崇史 ■脚本:三池崇史、沢村光彦、板倉剛彦 ■原作:荒俣宏「妖怪大戦争」 ■撮影:山本英夫 ■音楽:遠藤浩二 ■編集:島村泰司 ■美術:佐々木尚 ■照明:木村匡博 ■録音:中村淳 ■主演:神木隆之介 ■寸評: ネタバレあります。 |
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日本の全都道府県で位置がよくわからないマイベストは鳥取県である。災害情報でおもいっきり「島根県」と誤読されてしまう悲哀も相俟って、最近でこそ「水木しげる記念館」で名を馳せているが(そうか?)砂丘以外に何も無いのではないか?とすら思えるほどだ。(鳥取県の皆様申し訳ございません、が、実感です)そんな鳥取県が、積年の恨みを爆発させて全面協力したのが本作品である。がんぱれ!鳥取県! タダシ・神木隆之介は両親の離婚に伴い、キレイな姉・成海璃子は父親・津田寛治の元へ、そしてタダシは母親・南果穂の父、認知症勃発の祖父(じいちゃん)・菅原文太の元へ母子ともに引き取られる。コンプレックス満タンの田舎のガキどもに苛められる都会のもやしっ子タダシ。夏休みに突入したタダシが地元の祭礼で「麒麟送子」に選抜されてしまったことからこの映画は始まる。 タダシ選抜という結果、それは仮面に宿る妖怪、猩猩・近藤正臣の判断によるものであり、彼は麒麟送子としてのスペック(勇気&男気)があるかどうかタダシを試験をする。選んだ後で試験するってのはどうなのよ?という気もするが、まあ、いい。天狗山で妖怪バスに乗せられ肝試しされた挙句に川に転落したタダシを助けたのは下半身がムフフ状態の川姫・高橋真唯とその家来河童の川太郎・阿部サダヲであった。 その頃、人間の廃棄物が寄せ集まって妖怪化しつつあった。それらを操るのは、出世したなあ鳥肌実!かと思ったら、眉をすっぱり落とした(か、ビンで潰した)魔人、加藤保憲・豊川悦司。今回は憲兵ルック(「帝都大戦」参照)ではない。拉致した妖怪の恨み辛みと廃棄物を合体させてスクラップ機械獣に変身させるというナカナカにスグレモノの装置を開発した加藤さんなのであった。 予兆を感じたギニョールのモルモット、じゃなくて妖怪スネコスリは多くの仲間を失いつつただ一匹、タダシのもとへとはせ参じ、麒麟送子の役目であるところの大天狗・遠藤憲一から刀を貰ってくるミッションに同行、しかしそこへ加藤さんとの合体を夢みて手下になったちょっぴりセクシーな女妖怪、アギ・栗山千明が現れ、スネコスリと大天狗を拉致し、こともあろうに刀をぽっきり折ってしまう。 そんな大切な刀のわりには、いやにあっさり折れちゃったのでタダシ、びっくり。 「すわ、人間界の一大事!」と実年齢においても最年長(ただし、大首・石橋蓮司は除外)であり妖怪たちのご意見番的な猩猩の呼びかけに集まったのはロケンローラーなぬらりひょん・忌野清志郎、油すまし・竹中直人、ろくろ首・三輪明日美、雪女・吉井怜、砂かけ婆・根岸季恵、そしてどう見てもルックスが「電撃ネットワーク」の南部虎弾にしか見えない小豆洗い・岡村隆史。しかしながら、かつてゴジラやラドンがキングギドラの地球攻撃を目前にしながらモスラの説得に応じることなく人間に味方しなかったように彼らもまた圧倒的に強そうな加藤さんたちに対抗し戦うモチベーションがものすごく低い、特に雪女に至っては「夏だから」という理由でリタイヤである。おまえ、いつから季節営業になったんだよ!とツッコミを入れつつ。 ったく、どいつもこいつも!で、いよいよ麒麟送子の出番である。折れた刀を打ち直せるのは刀鍛冶の妖怪、一本だたら・田口浩正、彼の力がなければ加藤さんとは闘えない。加藤さんとアギとスクラップ軍団の要塞は巨大なガメラ、じゃなくてサンショウウオのような妖怪となり消費と享楽の中心都市である東京へ向かうのだった。 無名時代に「 江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間 」で双生児にチャレンジ、後年、某殺虫剤会社のCMで狸のカブリモノに挑んだ近藤正臣が今回は本格的に妖怪役。「水中花」で松坂慶子や田島令子を相手に濡れ場やってた頃を知る者としては、ブクブクに肥大した松坂慶子と同様に時の流れに身を任せたくなっちゃった次第。 大映版の「妖怪大戦争」が縄張り争いに端を発したストーリィであるならば、本作品は少年ジャンプあたりが得意とする「友情」がキーワード。お子様向けの映画であるから血と汗と反吐が大好きな監督はどのようにこうしたアイテムを処理するのかと思ったら、可愛い作り物の妖怪を殴る蹴る、切り裂いて血まみれ、しかも血液じゃなくて体液だからマンゴー色の液体(少量)でクリア。 お色気は川姫の大腿部の、必要以上に長い愛撫シーンでクリア。 妖怪たちの心を動かすサムシングが見当たらないならとりあえずお祭り騒ぎにして絵を動かしてみました、という展開も凄いが、スピリチュアルフードにノックアウトされちゃう魔人も凄い。ちなみに「赤目」ということなので彼は肉食獣ではなくなるほど元は人間だ、どうでもいいけどスピリチュアルフードで退治されちゃうのってどうなんだろう? 「電送人間」だって白川由美の生着替えシーンあったのに、せっかく「私、ヘンなところがある役が大好きなんです」という栗山千明がミニスカしてるのに、タイツだろ?なんで生足じゃないんだよ?てなところで特にクライマックスでスケてるけど、肝心なところじゃない!なんで加藤さんに惚れたのか?も今ひとつわからん。 その点、川姫はいい!妖怪になった理由もやるせないし、少年たちの精神的な筆おろしの対象ってのもいい!ようするに体は少女だが気持ちは娼婦。「復讐は人間のすること!私は人間が嫌いだからみたいなことはしない!」と加藤さんを喝破する実に男気あふれるキャラクター。健気な川姫の活躍だけでとりあえず筆者は満足。 大天狗を山崎努と見誤ったのは変身後の「大魔神」を緒形拳だと言い張ったのと同じミステイクだったな、個人的に。あとはコントとSF映画のパロディと芝居以前の妖怪ライター・宮迫博之、雑誌の編集長・佐野史郎、このほか大勢のゲスト出演者が出たり入ったりするだけで身内ウケの風情漂い(以下省略)。 菅原文太に痴呆老人役を当ててくる、というところが実は一番インパクトあったりなんかする、妖怪映画。 (2006年08月10日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2006-08-11