悪名桜 |
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■公開:1966年 ■制作:大映 ■企画:財前定生 ■監督:田中徳三 ■脚本:依田義賢 ■原作:今東光 ■撮影:宮川一夫 ■音楽:鏑木創 ■編集:菅沼完二 ■美術:西岡善信、園田一佳 ■照明:中岡源権 ■録音:大角正夫 ■主演:勝新太郎 ■寸評:悪名シリーズ13作目 ネタバレあります。 |
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勝新太郎と田宮二郎の凸凹コンビ(当時の田宮さんと一緒に出れば大概凸凹になる。唯一の例外は高橋英樹と一緒に出た「宮本武蔵」くらいなもんか、コンビじゃないが)が繰り広げるアブソリュートリーな活劇映画「悪名」シリーズの原作は今東光。しかし現地(河内八尾)の品位を落としたということで一部ではあまり高く評価されていないようであるが、映画では汚名返上を考慮し、八尾の朝吉がまるで武闘派の水戸黄門とでも言うべき深い味わいを出しているので、やはりここは八尾にお住まいの方々は本作品シリーズで溜飲を下げていただきたいところだ。 13作目ともなるとかなり所帯臭くなったのか?朝吉は子供の教育問題解決に乗り出すのであった。 カタギの生活をおくるべく商店街の一角でやきとり屋を営んでいた八尾の暴れん坊、朝吉・勝新太郎と、朝吉を親分と慕いかつてその相方であったモートル貞の弟、清次・田宮二郎が、暴力追放キャンペーン中の新聞記者を襲撃したチンピラを叩きのめしたことが新聞沙汰となり、その記事を読んだ朝吉の幼馴染である菊枝・市原悦子が突然訪問してくる。菊枝は朝吉の父親が死んだこと、そして墓参りも許されない事情を伝える。長年の親不幸を悔いる朝吉。すると菊枝は突然、朝吉の嫁になりたいと言い出す。 その頃、商店街一帯の地主で質屋の亀之助・多々良純の息子、猛・酒井修が新興勢力の暴力団ABCクラブに入会を希望。対立している大鯛組のタニマチである亀之助を通じてトラブルになることを恐れた会長の乾・藤岡琢也は朝吉と清次のタマ(命)と引き換えに入会を許可すると言う。どーせそんなこたあできまいという大人のマインドによる判断であったが猛は果敢にこの難題に挑戦し、あっさりと清次に押さえ込まれる。親の愛情に恵まれない猛の境遇に同情した朝吉は彼を住み込みの店員としまっとうな労働の喜びを教えようとするが、世間体ばかりを気にする了見の狭い母親・沢村貞子の妨害により、猛は店を飛び出してしまう。 亀之助は大鯛組、組長の後藤・須賀不二男に猛の身柄保護を要請、しかし猛は大鯛組の組員をイキオイあまって刺してしてしまい、ABCクラブに匿ってもらおうとする。ABCクラブのターゲットは商店街の土地。地主である亀之助にとって猛がアキレス腱になることを本能的に察知した乾は、大鯛組を封じ込めるために以前はもてあました猛を熱烈歓迎。そんな胡散臭い場所から猛を救出しようとした朝吉であるが、単なる金づるにしかすぎないのにチヤホヤされたもんだからいい気になってしまった猛は耳を貸さない。そして猛は乾にそそのかされて後藤組長を射殺する。単なるボンボンのド素人のくせにビビリながらも結構な距離から移動している標的に銃身の短いハンドガンでよくぞ仕留められたものだと感心するのであるが、そこは映画であるからリアリティはどうでもよい。 取り返しのつかない状況になった猛は朝吉の元へ逃げ帰るが、ABCクラブの幹部によって証拠隠滅のために撃たれてしまう。瀕死の猛を病院へ担ぎ込んだ朝吉と清次、モタモタしていた実の父母、亀之助と母親の到着を待たずに猛は朝吉に見取られて死去。例によって例のごとく正義の怒りに燃えた朝吉は清次とともに、素手で(あくまでも殺傷が目的ではなく悪党の更正が目的なので)ABCクラブを襲撃し、乾を鼻血まみれのボコボコにして商店街乗っ取りから手を引かせたのだった。 意外とスミに置けない朝吉がちゃっかり故郷で幼馴染をハラボテにしたのか?と実にほほえましいエピソードだ。女性経験の豊富な清次は菊枝の妊娠を知るや、菊枝同居承認の理由が清次追放の目的だと抗議し、呆れる朝吉と口喧嘩の挙句、いったんは店を飛び出すが、行きがけの駄賃とばかりに大鯛組におもちゃの拳銃でカチコミをかけ後藤から金を巻き上げて懐妊祝いとする。収入を得る手段が多少乱暴でも使い方さえ清く正しければ万事オッケーという、さすがはドライな清次、一本スジの通った生き方であると言えよう。 後日談、菊枝の三つ子誕生という嬉しい知らせに笑顔の凸凹コンビであった。 ちなみに、朝吉は下戸という設定であるから祝いの席等で飲むのはいつもバヤリースオレンジ。かつて結婚式場で提供されるソフトドリンクを寡占していた感のあるバヤリースであるが、炭酸の入っていないソフトドリンクが他にあまりなかったからだと思われる。厳粛な席でオナラはいいけどゲップが出まくっちゃダメだろう、ということか。 (2006年01月28日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2006-01-28