将軍家光の乱心 激突 |
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■公開:1989年 ■制作:東映 ■制作:本田達男、厨子稔雄、中山正久 ■監督:降旗康男 ■脚本:中島貞夫、松田寛夫 ■原作:中島貞夫、松田寛夫 ■撮影:北坂清 ■音楽:佐藤勝、THE ALFEE ■編集:玉木濬夫 ■美術:井川徳道、園田一佳 ■照明:渡辺喜和 ■録音:堀池美夫 ■主演:千葉真一 ■寸評: ネタバレあります。 |
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なんでこんなところにいるんだ?織田裕二、若手侍としてしめやかに活躍。 実に親切でわかりやすい映画だ。説明を徹底的に省略してしまい、見ている客にアタマを使わせない見せ場と見せ場のてんこ盛り。こういう映画は感動はできないが感心できるものなのである。 顔の造作を除いてはオツムもカラダもダメダメな将軍、徳川家光・京本正樹は二人の世継ぎ候補のうち自分とよく似たダメ人間の次男を溺愛、子供ながらにがんばりやさんで心のやさしい長男、竹千代・茂山逸平の抹殺を計画。当然ながら幕府は分裂、長男派の堀田正盛・丹波哲郎は少数派の野党であるから金もなかったのであろう、凄腕の武芸者7人・織田裕二、浅利俊博、荒井紀人、成瀬正孝、長門裕之、胡堅強を募り石河刑部・緒形拳をリーダーにして竹千代警護隊を編成。 酒池肉林で性格も残忍である家光に、すでに人妻だった妹のお万・二宮さよこを献上して出世をこいた老中、阿部重次・松方弘樹は家光&次男派であり与党であるから財力にも恵まれており総勢百人超の武芸集団のリーダー、伊庭庄左衛門・千葉真一に竹千代の暗殺を依頼。 日光東照宮近傍の湯殿で竹千代たちは最初の襲撃を受ける。ゴミクズのようにばかすか倒される警護の侍、しかし間一髪で刑部たちが到着し竹千代を救出、裏街道を抜けて父親である家光が待つ江戸へ向かう。途中、命が惜しいか?それとも父親と対決するか?と幼い竹千代に刑部が問う。迷わず対決をチョイスする竹千代。これってどっかで見たシーンだと思ったら「子連れ狼」じゃん。 圧倒的な物量とオプチカル合成の必殺武器で続々に襲いかかるJAC軍団に対し、超人的な個人技で立ち向かう7人の侍。次々にいい芝居をしながら味を残して散っていく刑部の愉快な仲間たち、足手まといかと思いきや乗馬シーンでは一番騎乗姿勢が見事(っつてもスタント)であった乳母・加納みゆきも大活躍。 金のためと割り切っていた侍たちが徐々に男気を見せるのはよいが、個人的な趣味に走ってしまったのは戦闘ヲタクの伊庭庄左衛門であった。思ったとおりの展開だな。ま、主人公が目的の本質を見失って自分の欲望にまい進するのが千葉真一映画であるから一本スジが通っていると言えなくもないが。 やっと江戸城にたどりついた竹千代に発狂寸前の家光は阿部の静止を振り切ってお万の方に竹千代の毒殺を命じるが失敗して果てる。公式記録には堀田正盛、阿部重次ともに殉死と記録され、家光の法要が盛大に開催されるのであった。 竹千代役の茂山逸平が可愛い、愛想笑いしないのがいい。パパになりたかった石河刑部が父親のマインドで満足して死ねたのも彼のおかげと言ってよい。ただしあの家光の遺伝子なので将来が心配ではあるのだが。 本作品を安っぽいというのはたやすい、いや、実に出てくるやつがどいつもこいつも激安だ。芝居にも深みが全然感じられない、それ以前のような気もするが、そんなわかりきったことをいちいちあげつらうのは大人のやることではない。ここではむしろ余計なことは気にしない、今、目に見えているものだけを楽しむという姿勢に観客は徹するべきなのである。そう、そのスタンスはサーカスの観客に近いかも。 投資は的確にしたいもの。肝心なのは納得性である。 火薬と馬を使い放題、全編これJACのプロモーションビデオである。ろくすっぽ芝居をさせてもらえない長門裕之はやや気の毒であるが、松方弘樹と京本正樹のぐだぐだぐだぐだした田舎芝居はあまりにも浮き上がってむしろヘンだ。 飛んできた矢が首に突き刺さる(ただしアニメ合成)とか、大量の人馬転(馬が騎乗者もろとも転倒すること=乗馬用語)とか、血飛沫が大盤振る舞いとか、宿場町(セット)での千葉対緒形のタイマン(ただし緒形はほとんどスタント)とか、音楽が佐藤勝だとか。これって黒澤映画へのオマージュかそれともパロディか?そもそも7人の侍が主役ってところからして。黒澤映画にアルフィーとくれば、千葉ちゃん、それは間違った道だと言いたい。 (2006年01月15日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2006-01-15