ゼブラーマン |
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■年度:2004年 ■制作:「ゼブラーマン」製作委員会、東映 ■企画:黒澤満、平野隆、福地公美、遠藤茂行 ■監督:三池崇史 ■脚本:宮藤官九郎 ■原作: ■撮影:田中一成 ■音楽:遠藤浩二 ■美術:坂本朗 ■録音:小原善哉 ■照明:三重野聖一郎 ■助監: ■特撮: ■主演:哀川翔 □トピックス:特撮ヒーロー(東映東京の)主題歌といえば、やっぱ水木一郎先生じゃないと。 ネタバレあります。 |
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ちなみに、ジャイアント馬場さんが覆面かぶって出てくる=偉大なるシマウマ、わけではありませんよ。 西暦2010年、小学校教師の市川・哀川翔は子供の頃に見た超どマイナーな特撮ヒーローTVドラマ「ゼブラーマン」の大ファンです。その頃、防衛庁では地球外生物の存在が察知されており、特撮ヒーローとかには全然興味がないけれどヘルスで性病にかかった(らしい)調査官の及川・渡部篤郎は、監視区域=横浜市八千代区で顔面が陥没したエイリアンの死体を発見します。 市川の勤務している学校に足の不自由な浅野という少年が転校してきます。「ゼブラーマン」をきっかけに市川は浅野を「さん」づけで呼び、尊敬する同士と感じるようになるのでした。市川の子供はイジメられており、娘・市川由衣は援助交際に走り、妻は浮気をしています。ゼブラーマンのコスプレをしていた市川は浅野さんに見てもらおうと夜中の街をうろついていたところカニのカブリモノをした男に遭遇、最初はやられ放題でしたが突如、映画「マトリックス」のようなアクションで相手を撃破してしまうのでした。 浅野さんの母親、可奈・鈴木京香といい感じになっていた市川は突然襲ってきたカニ男・柄本明と対戦しますが、残念ながらそれは夢でした。一体、どこからが夢でどこからが現実だったんでしょうか?その後も目玉が緑色に光るエイリアンが夜な夜な出没し、ゼブラーマンはバッタバッタと相手をボコって大活躍します。異常事件の続発にキレた教頭・大杉漣はなぜか浅野さんを転校させようとします。 ゼブラーマンである正体(っていつからそうなったのさ?)を隠して正義の味方活動を続けていた市川は、自分の子供がエイリアンにインベイドされたと知って愕然とするのでした。可奈の勤める病院でも異変は起こり始めており、緑色のドロドロとした物凄くダルいエイリアンは着々と地球を征服しつつありました。 市川はエイリアンに殺された教頭の自宅から「宇宙刑事シャリバン」やってた渡洋史が主演、視聴率不振のため放送打ち切りになったTV版「ゼブラーマン」のシナリオを発見します。教頭はかつてシナリオライターとして活躍しており、おまけにテレビドラマを通じて地球を征服遷都するエイリアンの侵略を警告し続けていたのでした。そして教頭の予定稿どおりに事態は最悪の結末に向かって驀進します。 エイリアンの拡大と住民のパニックを恐れた防衛庁は、エイリアンの巣と化した八千代小学校をターゲットに中性子爆弾の投下を米軍に依頼、住民ともども証拠隠滅を図るのでした。及川はこともあろうに最後の望みをゼブラーマンに託します。空飛ぶ練習でボロボロになったゼブラーマンは、エイリアンに人質として捕らえられた浅野さんを救出すべく学校へ単身突入します、もちろんバイクで! 最終段階で相当カッコよくコスプレする哀川翔の「なりきりぶり」が最大の見どころです。ココにいたるまでの前座はまったくチャラにしても十分に大丈夫です、この映画のコンセプトはAnything Goes=何をしてもかまわない、ですが、だからといって下手打っていいとは誰も言わないわけです、ここんところがポイントです。 冴えない主人公と変身後のギャップ、巨大化する敵キャラ、傷つくヒーロー、頭のかたいヒロイン、エロい女キャラ(生胸露出なのは過剰ですが)などヒーロー映画に必要な諸々はわりと揃っているのに、何かが足りません、て言うか見ているうちに妙にムカついてきます。やはり変身ヒーローには素の状態から無理やりなくらいの「はりきり」と「なりきり」がないといけません。この人たちったら「本気」なんだ!と思える言動がほしいのです。最初から「あるわけねえだろ」的な醒めたキャラ=及川のほうが立ってしまっているので、見てるほうが馬鹿にされているような気さえしてきます。 つまり本作品はクライマックスにむけて特撮ヒーロー映画を創っていく映画であると言えるのではないでしょうか?徐々に追加される必要十分条件が、エンディングで拍手喝采を浴びるゼブラーマンが「見得を切った」その瞬間にやっとこさ完成する映画。途中までのダルダルはその過程だと思えばよいのです。そう思えばなんという愛くるしい作品でしょうか。 ほか、ゲスト出演は古田新太、袴田吉彦、内村光良など。 (2005年01月09日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2005-01-10