江戸いろは祭 |
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■公開:1953年 ■製作:東映 ■企画:小倉浩一郎、高木貢一 ■監督:内出好吉 ■脚本:鈴木兵吾 ■原作:村上元三 ■撮影:石本秀雄 ■音楽:鈴木静一 ■美術:角井平吉 ■特撮: ■主演:高田浩吉 ■トピックス:月形龍之介って何をやっても「大物」だ。 ネタバレあります。 |
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町火消し「め組」の半次・高田浩吉は母子家庭。長屋のおちせちゃん・高千穂ひづるとは相思相愛、かつ、芸者の小稲・宮城千賀子にもモーションかけられてしまうくらいモテモテの半次、そのおかげで小稲に岡惚れしている浪人の金山・戸上城太郎とはライバル関係に。 ある日、謎の武士、とはいえ声とまるまっちい顔でバレバレの赤羽根主膳・三島雅夫に「江戸から出て行け」と脅された半次は母親から自分の素性を聞いてビックリ仰天。酒癖の悪い実父、だけど旗本の赤羽根多仲・菅井一郎が酔っ払ったいきおいで女房(半次の実母)を実家に返したその時に生まれた子供が半次。実父の家では腹黒い弟の主膳に家督を乗っ取られてはタイヘンだと、あわてて息子を探していた、とまあ勝手極まりない話です。 おまけに友達になった関取の親を無礼討ちにしたのが実父の多仲だと判明した半次は思いっきりな迷惑顔。半次に花形のポジションをゲットされておもしろくない「め組」の若い衆が、主膳に内通して半次は主膳の屋敷に拉致られます。事態は相撲取りと町火消しの壮絶バトルへ発展、どうなる半次&おちせちゃん! 上流階級の思惑にふりまわされた庶民が多くの善意によって幸せになるというストーリーは時代劇の古典、誰が見ても、たとえご都合主義のてんこ盛りでも、タイヘンに清々しいです。 特に「おまえそのルックスで純愛かよっ」とツッコミいれたくなる戸上城太郎がステキです。主膳に雇われていますが、小稲のことが好きでたまらずストーカーまがい(見張り、なんですけど)の行動も全然平気、小稲に「きいっ!」とにらまれるとデカイ図体でオロオロするのもグーです。で、その戸上先生が実はとってもいい奴で、身体を張って主人公を守るシーンに浪花節的なカタルシス炸裂。あ、でも戸上先生って殺陣は上手いし、迫力あるし、よーーーく見れば二枚目だから、実はファンだったりします<筆者。 いくつになっても、てか公開時42歳!のイイトシこいた大人が「おっかあ、おっかあ」ってのもよく考えれば不気味ですが、そこは万年青年、化け物のように(し、失礼な)童顔なので許してあげましょう。三十路を過ぎて高校生役をかました池部良の例もあることだし(関係ないけど)。 親の仇という事実をどのようの処理したかというと、これは最後のドンデン返しなんで秘密です。観たい人だけ→[半次を跡取りにすることをあきらめた多仲は贖罪の意味で関取を養子に迎え、万事めでたしめでたしとなります]←スンげー調子よすぎじゃん?いいの!これは映画なんだから! 半次を裏切るのは、歌う時代劇スターというポジショニングでもライバルの小林重四郎、「鴛鴦歌合戦」でも大活躍。血の気の多い弟子の喧嘩をとめつつ、やむをえず参加し、辰五郎・月形龍之介とガチンコ勝負をくりひろげる雷電・香川良介。戦前の時代劇スターの顔合わせもあって、オールドタイマーズには喜ばしい映画ではないでしょうか。それに、何やっても「大物然」とした月形にキャンキャンほえる奥さんが山田五十鈴っていうのもいい感じです。 大喧嘩シーンの大量動員、実はカメラワークでかなりごまかしてますが、撮影所時代の底力を見せ付けられます。あと、お奉行様の乗馬技術がもう少しよかったら言うことなしでした。だってへっぴり腰なんだもん。 この映画とシチュエーションがほとんど同じ作品が存在します。1957年、東映制作、美空ひばりと大川橋蔵主演で「大江戸喧嘩纏」という作品、そっちの原作は沙羅双樹。半次は事情があって出奔した武士、辰五郎は大友柳太郎、半次とラブラブになる美空ひばりの役どころは辰五郎の妹。喧嘩の仲裁に半鐘を鳴らすのも同じなら、奉行の計らいで半鐘が「ひとりでに鳴った」というオチで島流しになるというのも同じ。スター映画の「大江戸〜」よりも、登場人物のキャラクターがそれぞれ「立っている」先達の本作品のほうが個人的にはお気に入りです。 (2004年04月25日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2004-04-25