SABU さぶ |
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■公開:2002年 ■製作:名古屋テレヒ、電通、セディックインターナショナル、キネマ旬報社 ■製作:松本国昭、松下康 ■監督:三池崇史 ■脚本:竹山洋 ■原作:山本周五郎 ■撮影:山本英夫 ■音楽:遠藤浩二 ■美術:松宮敏之 ■主演:藤原竜也 ■トピックス: ネタバレあります。 |
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山本周五郎原作の「さぶ」は、1964年日活が小林旭、長門裕之のコンビで映画化。 21世紀の本作品は、成長後の若者たちもいいが、冒頭の子役3人の演技は殊勲賞もの。若者の成長を年長者がサポートする映画というのは後味がたいへんによいので大好き。 首をくくった女郎を慕う少女が橋のところで出会った二人の少年。一人は泣きべそをかいて走ってくる、その少年のあとを追ってきたのが栄二・藤原竜也(成長後)、泣いていた方はさぶ・妻夫木聡(成長後)という。少女はおのぶ・田畑智子(成長後)といった。 経師屋に奉公していた栄二とさぶ。栄二は将来を誓いあったおすえ・吹石一恵と再会する。男っぷりの良い栄二は得意先の一人娘に結婚してほしいといわれるが職人とお嬢さんでは身分が違う。ある日、その得意先で金襴の布が紛失し、栄二の道具袋の中から発見されるという事件が起きた。無実を訴えた栄二だったが石川島の人足寄場へ送られる。 真犯人は娘との仲を裂こうとした主人・石丸謙二郎か、それとも、栄二の秘密を知っていた人物なのか?栄二は人間不信に陥り、周囲と打ち解けず、トラブルメーカーに。おのぶを女郎屋へ売り飛ばそうとした女街の六・堀部圭亮、役人の岡安喜兵衛・沢田研二 、松田櫨蔵・六平直政、人足仲間たちと触れ合うことで、世間を恨んで復讐だけを考えていた栄二の心境は徐々に変化していく。 さぶは、栄二の許婚であるおすえ・吹石一恵から事件の顛末を聞き、寄場にいる栄二のところへ会いに行くが、真犯人をさぶだと思い込んでいる栄二は会ってくれない。放免された栄二はさぶに連れられておのぶの店へ行く。 この映画は、走り去るところから始まって、終わる。最初はどしゃぶりの雨だが最後はカラリと晴れた空にかもめが飛び若者たちの行く末を祝す、こういう映画のシメ方っていいなあ。おのぶの回想という形で進み、監督の十八番である暴力沙汰が山本周五郎の原作とは馴染まないんじゃないか?と予想したが杞憂に終わったのはちょっとうれしい誤算。頭のネジがゆるい役どころというのは、いい芝居のできない役者を演技派に見せる飛び道具であるから、妻夫木聡はもうけ役。ただし、馬鹿っぽさが足りないのが難、思い切って藤原竜也と役を交換したほうが良かったかもね。 大変だったのは、大木のような小林旭という先人と比較された藤原竜也のどうしようもなく細い下半身だけ。これを救ったのが、沢田研二と六平直政のボリューム。そして、栄二に頭をカチ割られたが出場の少なさをJ・パランスみたいな存在感で圧倒した、寄場の無頼漢、義一・遠藤憲一と、最後に改心して味を残した堀部圭亮の脇役チーム。 男どもの活躍とともに、おのぶとおすえの対決もまた見所の一つ。 人の世は不条理なものだが、心を開けば見方も変わる。寄場の経験に感謝するまでになった栄二の心境の変化には物足りなさも残るし、ウソでしょ?というくらい善人(っつーか良心)のオンパレードであるが、生まれたときから悪だくみ全開な人はいないし、不幸のどん底でも人との出会いで救われることは多いもの。 いかにうそ臭くとも、山本周五郎原作の映画は「ちょんまげ」してるおかげでスーッと現代人に受け入れられている。 テレビ向けだからすっからかんに明るい画面が多く、深みは足りないが、それでもペラペラとした感じをあまり受けなかったのは東映京都撮影所チームの底力?浜辺のロケーションがきれい。 このほか、何でも出てるよなあ、の大杉漣がおすえの父親役で。寄場の役人の中では職能的で冷たいが、印象に残った小島・山田辰夫。 (2003年09月21日 ) 【追記】 |
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※本文中敬称略 |
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file updated : 2003-09-23